シラタエビ
特徴
(写真:2023年8月上旬、浦安市内河川の中流域で採集。体長約6cm(角(額角)の先端から尾の先端までの長さ)。今までずっと小さなシラタエビしか採集できなかったが、ようやく大人サイズと言っていい個体を採集できた)
レア度:★★★☆☆ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 テナガエビ科 学名:Exopalaemon orientis 英名:? よく見られる季節:初夏~秋?
(追記:2023年9月30日)過去に「大きなシラタエビが全然採れない」とボヤいていたが(下記を参照)、2023年8月上旬にようやく大人サイズと言っていい体長6cmほどのシラタエビの姿を拝むことができた(泣)
まぁ、採集したのは私ではないんだが(笑) というのも2023年8月上旬に浦安市内河川の中流域で、中高生と一緒に「マハゼの棲家調査」というのをやっていて、その際ある生徒がなんと「マハゼ」釣り用の仕掛けで、写真のシラタエビを釣ってくれたのだ。
釣った場所は、前日の雨の影響もあり塩分濃度はほぼ真水で水温も25~30℃ほどあり、酸素濃度も十分でない中々過酷な環境だったのだが、シタラエビにはへっちゃらだったのだろうか? またやはり淡水の影響が強い所に生息しているんだなぁと実感する。
(以下、2020年12月に書いた内容です)
最大で体長7cmほどになるそうだが、今のところ私は浦安でそんな大きなシラタエビを発見したことがない。私が採集した場所では、体長2~3cmのものがほとんどだった。
写真(上から11枚目の小型個体)のシラタエビは浦安市内河川の中流域で採集したもの。何年も前から「ここには体が透明で泳ぎが速く、やたら水面をピョンピョンと跳ねるエビがいるな~たぶんシラタエビってやつなんだろうな~」とその存在は認識していたが、なぜか捕まえる気が起きず放置していた。そして2020年10月、ようやく重い腰を上げて捕獲してみると、やはりシラタエビだった。
シラタエビは主に汽水域に生息するエビのようで、たしかに浦安の海沿いや河口でその姿を見たことは、今のところ一度も無い(今回採集した場所も河川の中流だった。しかし満潮時にその場所の表層水の比重を測ったら、ほぼ海水と同じ比重だった…)。
私が採集した個体は、全身がほぼ透明で、頭部(頭胸甲)の中にオレンジ色の内蔵が透けて見えていた。腹部~尾部にかけては褐色の小さな点が、まばらに散らばっているが、拡大しないと見えないレベル。
ネットで見る他のシラタエビは、褐色の点が目立つものが多いが、これは私が捕まえた個体がまだ未成熟の小さなものだからなのかもしれない(成熟するにつれ点が増える?)。また私は見たことがないが、成熟したメスの腹部側面には青い斑紋が現れるそうだ。
シラタエビの最大の特徴は、盛り上がった角(額角)と長く青い第2触角。角(額角)は目の上あたりで大きく山なりに盛り上がり、その先は上方向に反りながら伸びる。また青い第1触角は体長と同じぐらいの長さがある(下の写真参照)。
あとシラタエビは遊泳性が高く、私が採集したときにも、群れで水面近くを潮の流れに逆らって泳いでいた。
どうでもいい話だが、私は本種をよく「シタラエビ」と間違ってしまう。「シラタ」というワードが発音しにくいのは私だけだろうか。
(2020年12月)
(2023年9月)
採集する
(写真:2020年12月、自宅水槽2号にて撮影。体長約2.5cm(角(額角)の先端から尾の先端までの長さ)。体が透明なため水中では非常に発見しにくい。そして写真もとても撮りづらい)
浦安にいるエビ達の中では採集するのが少し難しいかもしれない。
理由としては、①体が透明で非常に発見しにくい、②泳ぎが速い(上手い)、③ピョンピョンと滅茶苦茶飛び跳ねる、④障害物の側もしくは死角にいる、の4点が挙げられる。
なので私はまず魚の死骸などの寄せエサ設置し、それに寄ってきたシラタエビを水槽用の小さな網で障害物の側から何もない場所へ追い込んでから大きなタモ網ですくうという、何とも面倒くさい方法で捕獲した(もちろん水面の光の反射を抑える「偏光サングラス」も装備して)。
網ですくってからも油断をしていると、スゴい跳躍力で網の外へ逃げることが多々あるので、フタ付きのケースに入れるまで気を抜いてはいけない。
たぶんこんなに面倒なことをしなくても、夜間に採集したり、トラップや、エビが寄り付くようなもの(例えば細い竹や木の枝を束ねたもの)を沈めておけばもっと簡単に捕獲できると思う。
(水中設置型の道具使用の可否は地域によって細かく決められているので注意しましょう)
飼育する①
(写真:2020年12月上旬、自宅水槽2号にて撮影。背景が透けるほど透明な体をしている)
2020年10月中旬に採集した個体を、現在(12月上旬)も飼育中。飼育はかなり容易な部類に入ると思う。
浦安でよく見られる「ユビナガスジエビ」や「スジエビモドキ」と比較すると、性格はおとなしい。また泳ぎが達者で、水槽内を泳ぎ回っていることが多い。
環境の変化に強く、低水温にも高水温にも適応できるようだ(水温28℃でも問題なし。また撮影のため、冷蔵庫に海水と一緒に一晩入れておいたのだが、再び水温が上がると活性を取り戻した)。汽水域によく見られるエビらしいが、比重1.024の自宅水槽でも全く問題ない。
食欲は旺盛で、水槽内にエサの匂いがすると一目散にエサに駆け寄り、ピンセットからエサを奪っていく(ちなみにエサは日清丸紅飼料の「おとひめ EP2」をあげている)。
ただ他のエビ類と同様、魚類との混泳には注意が必要で、ある程度の大きさの魚には簡単に食べられてしまう。
飼育する②
(写真:2023年8月中旬、自宅水槽5号にて撮影。ページの最初で紹介した体長約6cmの個体を飼育してみることに。うーん自宅水槽5号の簡易設備だとシタラエビの美しさも半減ですな)
2023年8月上旬、浦安市内河川の中流域で採集した体長約6cmの個体を自宅水槽5号で飼育してみることにした。
まず塩分濃度が淡水レベルの場所から採ってきた個体なので、水合わせをじっくりと行う(自宅水槽は全てバリバリ海水なので)。2時間ぐらいかけてゆっくり採集場所の水と水槽の水を混ぜていき、海水に慣らせていく(もっと時間かけるべきですかね?) そしてエビが自ら進んで水槽に入っていけばオッケー。
水槽サイズは横幅30cmの虫かご、水温は約28℃、比重1.023という環境。同居人は小型のスジエビ類が数匹、「ユビナガホンヤドカリ」が3匹、砂中に小さな巻貝が少々…まぁ安全だろう。
浦安で見られるエビたちのほとんどは環境の変化や水の汚れにも強く、また貪食であるため飼育は非常に容易だ。なので今回もシラタエビに関しても楽観視していた。しかしちょっとした問題が発生する。
エサを食わない。正確にはフレークやクリルをちぎったものを食べない。これは環境や個体差によるものもあると思うが、この鉄板エサ2種を口に付けないとは…。
じゃあもっと肉っぽい方が良いのかな?と思い、粒タイプの配合飼料(おとひめ EP4 粒径3~4mm)を与えてみる。するとススススーっと移動してきてパクリと食いついた。
「こいつはこういうのがいいのか…」
他のシタラエビのことは知らないが、この個体はちょっとグルメなようだ。
それから1週間ほど、特に何もなく時が流れ、「そろそろ三番瀬水槽で展示するか~」なんて思っていた矢先事件が起きる。
朝、水槽のライトを点けて水槽をチェックしていると、ある光景が寝ぼけた私の目に飛び込む
「やたらデカいエビの抜け殻があるな~それをヤドカリが食ってるな~…………………って死んどるやないかい!!!!」
どうやら脱皮に失敗して死亡し、亡骸が他の生物に食われていたようだ。あまりに早すぎる別れである。
もっと生物の密度が少なくて伸び伸びできる水槽で飼うべきだったか…反省である。