ヒメイカ

特徴

(写真:2023年3月下旬、三番瀬で採集。胴の長さ約1.5cm。成長しても2cmほどにしかならない世界最小のイカ。アマモ場などでよく見られるイカだが、三番瀬麗安側でも年に数回は目にする)

レア度:★★★★★★★★★☆ 軟体動物門 頭足綱 コウイカ目 ミミイカダマシ科 学名:Idiosepius paradoxus 英名:Japanese Pygmy Cuttlefish よく見られる季節:?

写真のヒメイカは2023年3月下旬に三番瀬で採集。ちなみに採集したのは私ではない。ヒメイカというと「アマモ場によくいる世界最小のイカ!!」というイメージが強いが、「アマモ」がほとんどない三番瀬浦安側でも毎年2~3回ぐらい目にする。

過去に発見した「イカの一種①」もおそらくヒメイカだったのだろうけど、私にはイカ類を同定する能力がないのでうやむやにしていた。だが今回は詳しい方の同定によってめでたく「ヒメイカ」のページを作成することができた。ありがたや。

小さく可愛らしい見た目に「世界最小!!」というキャッチーさを持つヒメイカだが、一般の方に生体を見せても何故か期待したほどの反応を得られないことが多い(私個人の感想です)。特に小さな子だと一瞬見て、「ふーん」という感じですぐに他の生物に興味が移ってしまう(私個人の感想です)。

見せ方が悪いのだろうか。「世界最小だぞ…この辺では珍しいんだぞ…!!」と内心やきもきしつつ、「小さすぎる生物ってのは一般人にはインパクトを与えにくいのかもなー」などと一人で納得した。

 

さて、余談が長くなってしまった。私はイカについては知識が全然ないので、『世界大百科 第2版』の『ヒメイカ(姫烏賊)』の解説を以下に引用させていただく。

『頭足綱ヒメイカ科のイカ。イカ類中最小で,外套(がいとう)長は1.5cmくらい。外套膜は細長い円筒形で後端はまるく,少し前に寄ったところにまるい耳状のひれがある。外套膜背面の後部に粘液を多く分泌する部分があり,ここで海藻や海底そのほかの物に一時的に付着する性質がある。

腕の吸盤は2列,触腕は弱い。北海道南部以南の日本各地の内湾などのアマモ帯にすんでいて,夏季に卵を1粒ずつ,地物に粘着させて産みつける。小型種のため,とくに産業的価値はない。→イカ 執筆者:奥谷 喬司』

 

実は最近(2023年)、何故だか分からないが、三番瀬浦安側や河口部で「アマモ」がポツポツと生えているのをよく目にするようになった。今までも単発的に、ポツンと1株だけ生えていたりすることはあったのだが、今年(2023年)のような規模は、私が浦安で生物採集を始めてからは初の事態である。

こうやって「アマモ」が増えるとヒメイカも増えていくのだろうか。

(2023年6月)

(2024年5月)

小さな耳状のひれをしきりに動かして立ち泳ぎ状態のヒメイカ。背景の目盛りを見てもらえば分かるが、小さい
横から撮影。外套膜(胴)にピントを合わせてみる。目盛りは5mm
今度はは頭部~腕にかけてピントを合わせて撮影。小さい上に体が淡色で動きもすばしっこいため撮影しづらい。目盛りは5mm
上の個体と同じ個体だが、体色と模様を著しく変化させている。大阪オバちゃんが着るヒョウ柄のような模様になっている
体色や模様を一瞬で変化させることができる。これ以外にも濃い赤褐色に体色を変化させることもあった