コウワンミノウミウシ?

特徴

(写真:2025年4月下旬、三番瀬で他の方が採集。大きさ約11mm。小さい!! このような見た目のウミウシをポツポツ見るような気がするが、大体いつも「たぶん~の仲間だろう(結局分からないし…)」とスルーしていたが、今回はその正体と生態に少し迫ってみた)

レア度:? 軟体動物門 腹足綱 裸鰓目 Trinchesiidae 学名:Trinchesia perca 英名:? よく見られる季節:?

(同定に自信がありません。間違っている可能性があります。他の資料を参照してください)

どの程度まで大きくなるかはわからない。写真の個体は2025年4月下旬の三番瀬で知人が採集したもの。私は採集に参加していなかったので発見時の詳細は不明。この日は丁度大潮干潮(潮位12cm)で一年で何回見るかどうかという広大な干潟が出現していた。

初めてこの個体を見た時の感想は、「「ベルグウミウシ」に似ているな…でもベルグに比べて背面突起が短く太いし、数も多い。あとは体も太短いし、触角の模様も違う。……深入りはやめておこう!!」。消極的である。最近海に全く出られていないので熱意がない。

でもせっかくなので、自宅で飼育中の「コロモガイ」のエサにならないだろうか? ということで持ち帰らせてもらうことに(すみませんねウミウシ君よ)。この選択が後に、あんな感動を与えてくれるとはこの時は知る由もなかった…(それについては「飼育する」の項で!!)。

 

さて形態を見ている。背面突起は片側7対?の36本ぐらい?で(写真上で数えたもので)、突起は表面は半透明で中身が褐色~黒褐色をしており遠目で見ると全体は黒褐色っぽく見える。また突起は体の後方に行くほど短くなっているようだ。

頭部には上側と下側に各1対、合計4本の触角が見られ、上側の2本は触角全体が薄い赤褐色に色づいている。また下側の2本の触角も上面の一部が薄い赤褐色に色づいている。頭部前方とその上面~少し後ろには褐色の斑模様が見られた。

背面突起の感じは「コウワンミノウミウシ」によく似ているが、触角の色彩はちょっと違うんだよな~。わからん!

体(軟体部)は半透明の薄~い肌色で後端の方は白色に近い。腹面から本個体をよく観察してみると、体内の内臓?が薄黄色に透けて見える。ん?これよく見ると卵みたいなツブツブがたくさんあるぞ?(下の写真参照)

 

これが「コウワンミノウミウシ」かは定かではないが、「コウワンミノウミウシ」は大西洋西岸のブラジルからカリブ海を原産とする外来種であり、現在では熱帯域から温帯域にかけて、広範囲に分布を広げている種らしい。また外来種か…。

また本種は内湾の閉鎖的な環境に特化?しており、夏場の水質悪化や低塩分、 貧酸素でも生存可能とのこと。これだけ聞くと、浦安近辺に生息していてもまったくおかしくないウミウシですねぇ。

(2025年5月)

上の写真と同個体を横から撮影
同個体の頭部を真上から撮影。頭部には上側と下側に各1対、合計4本の触角が見られ、上側の2本は触角全体が薄い赤褐色に色づいている。また下側の2本の触角も上面の一部が薄い赤褐色に色づいている。頭部前方とその上面~少し後ろには褐色の斑模様が見られた
背面突起は片側7対?の36本ぐらい?で(写真上で数えたので正確でない)、突起は表面は半透明で中身が褐色~黒褐色をしており遠目で見ると全体は黒褐色っぽく見える。また突起は体の後方に行くほど短くなっているようだ
背側の後半部を撮影
体(軟体部)は半透明の薄~い肌色で後端の方は白色に近い。腹面から本個体をよく観察してみると、体内の内臓?が薄黄色に透けて見える。ん?これよく見ると卵みたいなツブツブがたくさんあるぞ?
こちらに向かってくるのを正面から撮影

飼育する

(写真:まさかこんなシーンが見れるとは!!同じ水槽に「キセワタガイ」が産んだ卵をバクバク食うコウワンミノウミウシ? ウミウシというのは偏食家が多く、何を食べるのかよく分かっていない種も多い。そのため飼育にはエサの確保が大きな課題となる)

このウミウシ君には悪いが、「コロモガイ」のエサになってくれるのを期待して自宅水槽5号に投入。水温は20~24℃では全く問題なし。比重1.023。水の汚れにもかなり強い印象。混泳生物は5mmサイズのヤドカリ類、「ウミニナ」「キセワタガイ」(2匹)、「コロモガイ」というかなりの異色メンバーだ。

水槽に入れるとすぐに水槽内を縦横無尽に動き回る。移動スピードは想像よりかなり速い。秒速1cmは超えている。また体を逆さにし、自身の軽さと表面張力を利用して水面直下に張り付くように浮いて、水の流れに乗るという移動方法を見せた(このような移動方法は他のウミウシ類や巻貝類でも見られる)。

 

混泳生物にも全く臆していないよう。肝心の「コロモガイ」もエサとして認識していないのか、それとも動きが速くて補足できないのかこのウミウシ君には無反応である。

…………まぁ取りあえずしばらく飼うか。

 

ところが飼育開始翌日の朝に早速事件が起こる!!

ウミウシ君が何かの卵塊に抱き着いているではないか!! (写真) デジカメで拡大してみると、食ってる食ってる!! 「モォグモォグモォグモォグ」という音が聞こえてきそうなほど口を大きく開けてバクバク食っている。てか口、すげー伸びるんだな…体の長さの1/3以上伸びてるぞ。

この卵塊は見覚えがある。そしてこのタイプ、大きさの卵を産むのは水槽内にはやつしかいない。「キセワタガイ」だ。自然下でも食べているエサ(の1つ)なのだろうか。水槽内の「キセワタガイ」は週2ぐらいのペースで卵を産んでくれていたので、これでエサ問題は取りあえず解決しそう。

 

それから2週間ほど経ったが相変わらずウミウシ君は元気で、さらに体が15mmほどに少し大きくなったような気がする。しかしどうだろう…もう特に飼う目的が無いような…。取りあえず見守るとしよう。

卵塊をバクつく様子を別アングルから。口がものすごく伸びる。MAX伸ばし時は体の長さの1/3以上ほどまで伸びる
体を逆さにし、自身の軽さと表面張力を利用して水面直下に張り付くように浮いて、水の流れに乗るという移動方法を見せた(このような移動方法は他のウミウシ類や巻貝類でも見られる)
上で「移動している」と書いたが、実際は水の流れに乗っているという表現が正しいか(泳ぐ能力はなさそうだ)
夜間、部屋を暗くすると「キセワタガイ」の方へスーッと移動し背中に乗った! 何が起こるか期待したが、特に何もなく通り過ぎていった