ドロメ(大型成魚)
特徴
(写真:2025年4月上旬に撮影。全長約13cm。2024年7月上旬に河口付近で採集した、全長約6.5cmの「ドロメ」を飼育して大きくしたもの。食欲と食べる量がすごいので、9ヵ月で倍の大きさになった。さすがにここまでデカくなると「アゴハゼ」との見た目の差は歴然)
レア度:★★★★★★★★☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 学名:Chasmichthys gulosus 英名:Gluttonous goby よく見られる季節:4~?月
あっという間にデカくなってしまった…。
写真の個体は2024年7月上旬に、河口付近で採集した全長6.5cmの「ドロメ」を育てて大きくしたもの。主にマーレ水槽で飼育していたのだが、水槽底に落ちたエサを掃除機のように食いまくるので、9ヵ月で倍の13cmにまで成長してしまった。
エサを食いまくる割にはかなり警戒心が高く、水槽に入れても岩のすき間や自身が砂を掘って作った穴にずっと隠れていて、ほぼ姿を見せない。おそらく水槽に訪れた人の大半はその存在に気が付いていないだろう(飼い始めの時はそんなでもなかったのだが…)。これでは展示する意味が…。
やはり老成していくと知恵や経験がついて警戒心が高くなるのだろうか? また90cm水槽でこのような大きな捕食者がいるとなかなか新たな小型の生物を入れにくくなる。というワケで、自宅に一旦連れ帰ることにしたのであった。
私が生物観察をするエリアでこのような大型のドロメを目にすることは稀だ。なので記録としてこのページを作成することにした。
(以下、過去に書いたドロメについての解説)
全長15cmほどまで成長する。沿岸の岩礁域やタイドプールでよく見られる魚らしいが、私は浦安では4回ぐらいしか捕まえたことがない。同属で姿もよく似る「アゴハゼ」なら超頻繁に採集するのだが…。ドロメ成魚は「アゴハゼ」とは生息場所が異なったりするのだろうか(ちょっと深めのところにいるとか?)。
ただ春から初夏にかけては浦安の岸近く浅瀬や河口~河川内でアゴハゼ系の稚魚が大量に出現するし、その中に「ドロメの稚魚」も含まれていると考えている。にもかかわらず、タモ網採集でドロメの未成魚~成魚を発見することはとても少ない(見逃しているだけかもしれないが)。
先にも書いたがドロメは「アゴハゼ」という魚によく似ており(十分成長したものはそんなに似ていないが)、特に稚魚~幼魚だと見分けるのがなかな苦労する(結局結論が出せないことも多い)。
両者の見分けだが、①「アゴハゼ」の胸びれと尾びれの鰭条には明瞭な黒い点列が見られるのに対しドロメにはそれが見られない、②ドロメの尾びれの後縁には白いフチ取り見られるのに対し「アゴハゼ」にはそれが見られない、という特徴から見分けることができる。
また写真ぐらいまで大きく成長したものなら見た目はけっこう違うと思う。例えばドロメの頭部は「アゴハゼ」より潰れた感じで、またドロメの方が口の切れ込みが長い気がする。あとはドロメの体色の方が濃いというか…体全体が同じ色っぽいというか…。あと体の模様も「アゴハゼ」は横ジマ模様っぽくなるのに対し、ドロメでは体中に散らばる小白点が目立つ。あとは最大サイズはドロメの方が大きくなる。
それとドロメと「アゴハゼ」を飼育観察してみた感想だが、ドロメの方が良く動くし(じっとしている時間が少ない)、警戒心も高いように感じた。
ドロメの食性は雑食性で、小魚やゴカイ類、小型の甲殻類、藻類など様々なものを食べる。産卵期は早春~春で、転石の天井に産み付けられた卵をオスが保護する。
ハゼ釣りの外道として「ダボハゼ」と呼ばれる魚の1つでもある。釣り人の話ではなかなか味の良い魚らしく、天ぷらにすると最高だとか。
参考として、以下に『日本大百科全書』の『ドロメ』の解説を引用させていただく。
『硬骨魚綱 スズキ目 ハゼ科に属する海水魚。口が大きく、左右の腹びれは合して杯(さかずき)状をなす。黒褐色をした体側には白い斑点(はんてん)が散在する。全長13センチメートルに達する。
日本および朝鮮半島に分布する。岩礁海岸の潮だまりおよび浅所で単独の底生生活を送る。ダボハゼと俗称されるハゼのなかの1種である。雑食性で、ゴカイ類、小形の甲殻類などの小動物および緑藻類を食べ、貪食(どんしょく)である。
春に石の下面に卵塊を産み付け、雄の親魚がそれを守る習性がある。仔魚(しぎょ)は春に海岸近くの浅所で海藻の茂みの間などで群泳する。夏には3センチメートルを超える稚魚へ成長し、底生生活へ入る。食用にはされない。[道津喜衛]』
(2025年4月)
採集する
(写真:こちらは2019年10月下旬に日の出の海岸で採集した「ドロメ」と思われる魚。全長約8cm。テトラポッドの穴釣りをしていたら釣れた。この個体はオレンジっぽい体色をしており初めは「ドロメ」と分からなかったが、よく見ると「ドロメ」の特徴である尾ビレの白い縁どりがよく見える)
私が生物採集しているエリアだと、タモ網で採集できるのは稀。過去の発見記録を遡ってみると、河口付近の穴釣りで釣れたものが2個体とタモ網でが1個体、それと三番瀬でタモ網で採れたものが1個体だ(もっと採れていたかもしれないが当時は知識がなく見逃している可能性がある)。
そのような結果から、たくさんいる「アゴハゼ」と比べると「ドロメ」の個体数が少ない印象があるが、ただ単に「ドロメ」が潜んでいる場所にアプローチできていないだけかもしれない(ドロメ成魚は潮間帯より下にいたりするのかなと勝手に想像している)。
(追記:2024年7月19日)現在自宅水槽4号で全長6cmほどのドロメを2匹飼育しているが、「アゴハゼ」と比べて遊泳性が高い…というかじっとしていることが少ない。あとこれは個体差もあると思うが、「アゴハゼ」より警戒心も高いように思う。これが私の採集エリアで「アゴハゼ」に比べて「ドロメ」が捕まりにくい要因の1つかもしれない。
飼育する
(写真:マーレ水槽から自宅水槽へ引っ越したドロメ(大型成魚)。私を警戒して、常に障害物の陰に隠れて姿を見せることをとても嫌う。昔はそうじゃなかったんだけどなぁ。成長によるものか、マーレ水槽で何か嫌なことでもあったのか…)
ここでは主に全長10cm以上の大型個体の飼育体験について書きたいと思う。
このページで紹介しているドロメくんは2024年7月下旬から約9ヵ月飼育し、その期間で全長6.5cm~13cmまで成長した。個人的にはビックリの成長スピードである。
大きくなったドロメは環境の変化や混泳魚によるストレスにもとても強く、かといって攻撃的過ぎない、タフで飼い易い魚と言えると思う。ちなみに飼育環境(マーレ水槽)は90cm水槽オーバーフロー、水温は一年中22℃前後、比重1.023、サラサラの底砂を超厚め。
混泳生物は、アイゴ、メバル、ハオコゼ、イソギンポ、トサカギンポ、イソガニ、ユビナガホンヤドカリなどで、このメンバーでは上手くやっていた。エサも配合飼料の「おとひめ」オンリーですくすく成長したので、動物質メインのえさなら何でも良さそうだ(ただたくさん食べるので大粒の配合飼料を与えるなど、満腹にさせやすい工夫をすると良いかも)。
飼育し始めの頃は、良い感じで動き回り存在をアピールするので、観賞魚としてなかなかナイスだな~と思っていた。しかしある頃から常に石の後ろや、石の下を掘って作った巣穴?に隠れてほとんど姿を現さなくなった。全長が10cm近くになった頃だろうか…。
成長するにしたがって警戒心が増したのか、マーレ水槽で何か嫌なことがあったのか、単にそういう生態なのか…。姿を見せるのはエサを与えた時のみ。ただ人間が水槽に接近すると隠れてしまい、そして人気が無くなると水槽底に残った残餌を掃除機のごとく貪り食っていた(お掃除ありがとうね。だから成長速かったんだな)。
こんな状態では展示する意味があまりない。そしてこんなに大きなドロメがいると小さな新しい生物を入れられない(ドロメが食べちゃう)。とういことで、取りあえず自宅へ連れ帰ることにした。
9ヵ月ぶりの帰郷? 写真から分かる通り警戒心スーパーMAXである。まぁしゃあないわな…。しばらく飼ってみてその後のことはそれから考えよう。ただエサは翌日から食っていた(笑)
自宅に連れ帰って最初の夜。部屋の明かりを暗くする。すると…
「ガサ…ジャラララ………ガサ…ジャラララ………」
水槽から聞き慣れない音がする。ドロメに気付かれないようにそ~っと水槽を観察すると、ドロメが底砂(サンゴ砂)を口で掘っては運び、別の場所に積み上げていた!! そうだ!!こいつらにはコレがあった!!
この行動を行う条件や目的ははっきりとは分からないが、ドロメ(と「アゴハゼ」)は水槽に入れると高確率でこの「底砂を掘り返してスペースを作る」という行動をする。これだけ聞くと「他にもそういう生物いるじゃん」と思うかもしれない。でもこいつらはその程度が凄まじい。
下の写真を見てもらうのが手っ取り早いのだが、簡単に言うと、とんでもない量の底砂をすごいスピードで掘り返す。そのため水槽のレイアウトがことごとく破壊されるのだ(全てのドロメがどうかは不明です)。一晩で水槽内は工事現場のようになった。
そしてできたスペースに体全体を隠して、出てくるのはエサを与えかつ人が視界にいないとき。どうしたもんか~。しばらくしたら採集した場所に逃がそうか…。そんな考えが頭によぎるのであった。
