ドロメの稚魚・幼魚
特徴
(写真:2024年5月上旬、河口付近で採集。全長約2cm。以前から私を悩ませてきた「この稚魚、ドロメ?アゴハゼ?どっちなんだ!?問題」。じゃあ稚魚から育てて確かめてみればいいじゃないか!! と思いつつ今まで手を付けてこなかったのだが…)
レア度:? 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 学名:Chasmichthys gulosus 英名:Gluttonous goby よく見られる季節:4~?月
写真の稚魚は2024年5月上旬に河口付近で採集したもの。このような稚魚は春から初夏にかけては浦安の岸近く浅瀬や河口~河川内に大量に出現するのだが、それが「ドロメ」の稚魚なのか?それとも「アゴハゼ」の稚魚なのか?はたまたそれ以外なのか?を判断することが非常に難しく、これを個人的に「この稚魚、ドロメ?アゴハゼ?どっちなんだ!?問題」と呼んでいた。
全長5cmほどまで大きくなれば両者の違いがハッキリと現れるので、「じゃあ大量に稚魚を捕まえて成長段階を記録しながら飼育してみれば良いのでは?」と考えたが、正直面倒なので手を出さずにいた。2024年初夏もそれが頭に浮かびつつも、「…よし!やめておこう!!」という結論に至ったのであった。
………至ったはずだったのだが、持ち帰った生物に稚魚がポツリと1匹混じっている。しかもかなり状態が良く、元気一杯だ。
「コイツだけ育ててみっかぁ」
そんなこんなで自宅水槽5号で写真の稚魚の飼育がスタートした。水温20℃ちょい、比重1.023、混泳魚なし、同居人はヤドカリ類とウミニナ類という安全な水槽である。私の見立てでは魚体の黄色味の強さから「ドロメ」の稚魚と予想。
稚魚といってもこのくらい大きいと結構丈夫で、水槽に入れた翌日にはフレークタイプのエサ(ネオプロス)をガツガツ食い始めた。それから粒タイプの配合飼料(おとひめ)に移行するのにそんなに時間はかからなかったように思う。
飼育から2週間ほど経過し全長は約3cmまで成長。見た目は「アゴハゼ」の幼魚とも「ドロメ」の幼魚ともとれる感じで、水槽の底にいることが多くなった(下の写真参照)。
そしてそれから1ヵ月が経過(途中記録を取るのをサボってしまった)。全長は4cmほど。胸びれに点列はなく軟条の遊離もない(「ドロメ」の特徴)、尾びれの後縁に白い縁どりがある(「ドロメ」の特徴)、しかし尾びれに点列?みたいのがあるぞ!?(「アゴハゼ」の特徴) うーんこれを「ドロメ」と言うにはもう一押し足りない!!
それからさらに2週間が経った2024年7月下旬。「ドロメ」になりました(祝)
下の写真を見てもらうのが手っ取り早いが、疑問点だった尾びれの点列?は不明瞭になり、尾びれ後縁にハッキリとした白い縁どりが現れた。また決定打となったのは、この1週間ほど前に全長約6cmの「確実にこれはドロメ!!」という個体を採集して飼育しており、それと全く同じ外見となったこと(笑)
ただこれを読んでいる人の中には既に気付いている人もいるだろうが、結局全長2cm以下の小さな稚魚の見分け問題は解決しておらず、ただ単に「こんな感じの稚魚がこんな感じに育って「ドロメ」になったよ」という経験値を得たに過ぎない。浮遊生活をしている稚魚段階で見分けられるようになるにはまだまだ修行が必要だろう…というか見分ける必要あるのか?
ちなみに「アゴハゼ」と「ドロメ」では着底サイズ(浮遊生活から底生生活に移るサイズ)が異なり、「アゴハゼ」の着底サイズが2cm前後なのに対し「ドロメ」では3cm前後という情報があるが、今回の飼育経過を振り返ると「たしかに!!」と思った。
あと飼育を通して感じたのは、似た魚として一括りにされる「アゴハゼ」と「ドロメ」だが、生活スタイルが結構違うなということ(あくまで狭い水槽内での話だが)。ざっくり言うと「アゴハゼ」より「ドロメ」の方が良く動き(遊泳性が高い?)、警戒心も高い。
「アゴハゼ」は水槽底や壁に張り付いてじっとしていることが多いが(「じっとする」7:「泳ぐ」3って感じ)、「ドロメ」は結構頻繁に動き回る(「じっとする」5:「泳ぐ」5って感じ)。また「ドロメ」は人影が近づくとヒュッと物陰に隠れ、人間とも一定距離を保つ。
まぁこの特徴もたまたまそうだっただけかもしれないが、もしかするとこれが、私の採集エリアにおける「「アゴハゼ」は簡単に頻繁に採れるが「ドロメ」が採れることは稀」という状況の一因ではないか!?と妄想が膨らんだのであった。
(2024年7月)
続いて「ドロメ」の胸びれ。鰭条に黒い点列は見られない。目盛りは1cm
