ビリンゴ

特徴

(写真:2021年4月下旬採集。全長約5cm。浦安市内河川の中流域の浅瀬で採集。「マハゼ」の幼魚に似るが、よく見るとひれや口の形状が異なる)

レア度:★★★☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 ウキゴリ属 学名:Gymnogobius breunigii 英名:Chestnut goby よく見られる季節:春~初夏?

7cmほどまで大きくなる。2021年4月下旬に浦安市内河川の中流域で採集(この場所はほぼ海水)。水深が30cmも無いような水際を、タモ網で適当に引いたところ「マハゼ」の幼魚(全長約3.5cm)と一緒に採集することができた。採集した当時は写真のビリンゴも全長3.5cmほどで、「マハゼ」の幼魚と勘違いしたまま飼育していたが、しばらくしてから各部の形態や生活スタイルが「マハゼ」の幼魚と異なることに気付き、きちんと調べ直した結果ビリンゴであることが判明した。

ビリンゴの特徴としては口は小さく口の後端が眼の後端を越えない、上アゴより下アゴの方が前に突き出ている、眼から口にかけて黒いラインがあること、背びれの縁辺あたりが黒く染まることなどが挙げられる。それとハゼ科魚類は海底付近で暮らすものが多いが、ビリンゴは中層を泳ぐことも多い。

ビリンゴは「ジュズカケハゼ」という魚に非常に似ているそうで、見た目での同定はかなり難しいらしい。ただ「ジュズカケハゼ」は河川の中流域に生息していることが多い淡水魚であるのに対して、ビリンゴは河口や干潟など汽水~海水域にも生息しているので、採集場所の状況から考えて今回の魚はビリンゴの可能性が高いと思う。

 繁殖期は春頃で、メスのビリンゴの婚姻色は強くあらわれ、尾びれ以外の各ひれが黒く染まり、体側に不明瞭な黄色の横ジマが出るそうだ。 「アナジャコ」などが掘った穴やオスが掘った穴の中に卵を産み付ける。卵はオスが保護する。

食性は雑食性で、小魚、小型の甲殻類、微小な藻類など様々なものを食べるそうだ。

(2021年9月)

口は小さく口の後端が眼の後端を越えない。また上アゴより下アゴの方が前に突き出ている。眼から口にかけて黒いラインがある
体の後半部

採集する

(写真:吸盤状に変化した腹びれで体を支えている。よく見ると背びれの縁辺あたりが黒く染まっている)

あまり数を捕まえたことないの、浦安のどのような場所に多くいるのか分からないが、春~初夏にかけて河口~中流域の穏やかな場所でよく見かけるような気がする。

飼育する

(写真:この辺りで見られるハゼ科魚類の中では珍しく、中層を漂うように泳ぐので、群れで飼育すると水槽映えしそうだ)

今まで1度しか飼育したことがないので多くは語れないが、とりあえずこれまでの歩みをまとめてみる。

環境、水温の変化にはかなり強いように思う。水温21~26℃の範囲では特に問題なく飼育できているし、採集した場所(4月下旬の河川中流域)の水温はもっと低かっただろうから、飼育可能水温の範囲はかなり広いのではないだろうか。また三番瀬水槽は硝酸塩濃度がかなり高いが、それも特に問題無さそう。

エサは配合飼料への餌付きは少し時間がかかったように思う(具体的にどのくらいかは確認していないのだが)。ただ特に生エサを与えたりしなくても、気が付いたらフレーク(ネオプロス)やクリルを食べるようになっていた。口が小さい魚なので、エサは指で軽くすり潰した方が良いと思う。現在では粒タイプの配合飼料(おとひめ C2)をバクバク食べるように。ただ底に落ちてしまったエサをあまり拾い食ってはくれないので、エサは水面に浮かせてやるようにしている。

気性は穏やかで、他の生物を攻撃したりエサを奪ったりというところは今のところ目撃していない。

以上のように飼い易い部類に入る魚だと思うが、若干気が弱いというか虚弱というか、水槽内に攻撃的な魚や生物がいるとそれらによるストレスで弱って死んでしまう可能性があるように感じる。なので三番瀬水槽で飼育時は横幅20cmぐらいの虫かごに入れて隔離飼育していた。