イタボヤの一種⑤
特徴
(写真:2022年10月下旬、三番瀬で撮影。群体大きさ15cm四方ほど。浦安三番瀬の南東にあるテトラポッド帯で発見。水の外に出ている状態だからだろう、べっとりとした質感をしていて、初めは別の生物かと思った)
レア度:? 脊索動物門 ホヤ綱 マボヤ目 シロボヤ/スチエラ科 学名:? 英名? よく見られる季節:?
(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)
これ、おそらく過去に掲載した「イタボヤの一種②」と同じ種の色違いバージョンではないかと思う(パッと見判断です。お暇があれば見比べてみてください)。
2022年10月下旬の三番瀬の浦安側南東方面にあるテトラ帯を探索していたところ、潮が引いて露わになったテトラポッドの、丁度底面あたりに付着しているのを発見。
ベットリとした質感にややグロテスクな朱色がよく目立つ。カンザシゴカイ類の棲管を飲み込みながら群体を形成していた(実際はどちらが先にテトラポッドに付着したのかは分からないが)。見た目通り体は脆く、金属のヘラで簡単に剥がすことができた。
採集した当初は何の生物かよく分からなかったのだが、採集したものを海水に入れると、こんもりと膨らみ、見た目がかなり変化した(下の写真参照)。どうやらこれが本来の姿らしい。拡大して見ると、小さな円筒形~ドーナツ形の物体が密集しているのがわかる(おそらくこれらが個虫だろう)。
以下に『日本大百科全書』の『イタボヤ』解説を引用させていただく。
『原索動物門 尾索綱 壁性目 ボトリルス科に属する群体ボヤ。群体は膜状で厚さ3ミリメートル程度。他物を覆って広がり、ときに直径10センチメートルほどになる。共同外皮は柔らかい寒天質で、ほぼ無色透明。外皮にぎっしりと埋まり込む個虫の体色が透けてみえるため、群体は生時、紫褐色あるいは淡褐色を呈する。
個虫の体長は約3ミリメートル以内。鰓孔列(さいこうれつ)数は10~11。卵巣は精巣の後背方にあり、直径0.1ミリメートル以下の卵を含む。親の体壁が陥入してできた育嚢(いくのう)に入り込んだ排卵直後の卵は、親個虫の退化後も群体の血管系から養分を供給され続け、排卵後約5週間で直径1ミリメートルほどの胚(はい)に成長し、有尾幼生として群体外に泳ぎ出る。着底した幼生は出芽により群体を広げる。
日本の沿岸の潮間帯から潮下帯に普通にみられる。群体や成体個虫の構造が本種と区別しにくいボトリロイデス・シモデンシスB. simodensisなどの近似種がある。[西川輝昭]』。
つまり複数の個虫が集まって群体を形成しており、小さな円筒状のもの1つ1つが個虫というわけだ。またホヤには「シロボヤ」のような「単体ホヤ」とイタボヤのような「群体ホヤ」の2タイプがあるそうだ。
(2023年6月)
(2024年5月)