特徴

(写真:2019年6月上旬採集。全長約8cm。体の前方に小さなツノ状の触手が2本と、背側後方に花のような二次鰓(にじえら)が見える)

レア度:★★★★☆ 軟体動物門 腹足綱 裸鰓目 クロシタナシウミウシ科 Dendrodoris属 学名:Dendrodoris fumata 英名:? よく見られる時期:5~6月

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最大で10cmほどまで大きくなるらしい。2019年6月に河口付近で発見。「浦安にこんな派手なウミウシがいるとは…」。こいつを見つけたときは私もそう思った。浦安では5~6月頃に、カイメン付着した岩があるような浅瀬でときどき目にする。また護岸の上でうずくまって?じっとしているのを見かけることもあった。

本種は鮮やかな山吹色の体色に、黒いマダラ模様が美しいウミウシ(場所や個体によっては、体が赤っぽかったり、茶色っぽいものもいるようだ)。しかしデカい。普通ウミウシというと1~5cmぐらいのものを想像するが、本種は10cmぐらいまで成長する。そのボリュームから、ウミウシといういうよりは「アメフラシ」のような印象を持つ人もいるかもしれない。

2本のツノのような触覚を持ち、背中の花のようなものはエラ(正しくは二次鰓(にじえら)という)。このようにエラが体外に露出しているので「裸鰓目(らさいもく)」というグループに含まれる。

ここで、「そもそもウミウシとは一体何なのか?」という問題に触れたい。これは現在でもどこからどこまでの生物をウミウシと呼ぶのか議論が続いているのだが、簡単に言うと、巻貝類(腹足綱というグループ)の中で、貝殻が退化して小さくなったり消失したものや、体の中に埋没して見えなくなった種類をひっくるめて「ウミウシ」と呼ぶようになったらしい。ちなみにウミウシ類は雌雄同体で、一匹のウミウシがオスメス両方の生殖器官を持っている。

また実は、「マダラウミウシは「クロシタナシウミウシ」の色違いバージョン」と言う研究者もいる。たしかに両種は形態も似ており、同じような場所で見られ、また歯舌を持たないという点も共通している?が、見た目が明らかに違うので(触覚や二次鰓の形状と色も微妙に違うように見える)、ここでは別種と扱うこととした(何となくその方がロマンがあるので)。

「クロシタナシウミウシ」同様に、カイメン類をエサとするようだが、どの種類のカイメンを好んで食べるかはよく分かっていない。

(2020年1月)

上から見たマダラウミウシ
水槽の中のマダラウミウシ。物陰や岩下に隠れるのが好きなようだ

採集する

(写真:2018年5月下旬撮影。全長約7cm。潮が引いた護岸の上でじっとしていた。この個体は暗いオレンジ色をしている)

採集は単純で、見つけて拾うだけ。カイメン類が付着した岩があるような場所を探すと良いと思う。

ただよく見る年もあれば、ほとんど見ない年もある。何故だろう?

飼育する

(写真:2019年6月下旬撮影。石の裏側に産み付けられたマダラウミウシの卵塊)

三番瀬水槽では1度飼育したことがあるが長期飼育は成功しなかった。考えられる原因は「クロシタナシウミウシ」で書いたように水質とエサだろうか。過去に「クロシタナシウミウシ」を飼育した時より水質は向上していたためか、あまり不調な様子は見られず、また常時「オレンジ色のカイメン」(マダラウミウシと同じ場所にいたもの)を水槽内に入れておいたのでエサも問題ないかと思われたが、だんだん体が小さくなっていき、水槽に入れて3ヶ月した頃に死んでしまった。

マダラウミウシの性格は穏やか?で、他の生物に危害を加えたり、逆に攻撃されたりするということもほとんどなかった。岩の下や隙間などせまいところに隠れるのが好きなようで、一度隠れると数日姿を見せないということもよくあった。

また本種や「クロシタナシウミウシ」は水槽に入れると、必ず産卵をした。水槽という非日常環境に入れられると生存の危機を感じ、生殖本能が刺激されるのだろうか。そうだとしたら申し訳ない。今後ウミウシ類を採集したときはよく考えてから水槽に入れようと思う。