特徴
(写真:2019年9月下旬撮影。傘の直径約20cm。ミズクラゲには心臓や脳と呼べるものがない。傘の中に見える4つの白いリング状の物体は生殖腺だ)
レア度:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 刺胞動物門 鉢虫綱 旗口クラゲ目 ミズクラゲ科 学名:Aurelia aurita 英名:Moon jelly よく見られる季節:春?(大雨後によく見る気がする。また真冬はあまり見ない気がする)
最大で傘の直径が30cmほどになる(希に50cm近くまで大きくなる個体もいるらしい)。日本全国のみならず世界中の温帯域で見られる、もっともありふれたクラゲの1つ。海や魚に興味がない人でも一度くらいは見たことがあるかもしれない。
浦安でも頻繁にではないがときどき目にする。どの季節に多いかはイマイチよく分からないが、春のまだ肌寒い時期によく見かける気がする。2020年2月には三番瀬で傘径約2.5cmのミズクラゲの子供も採集した(下の写真参照)。
また温かい時期に大雨が降ると河口や河川内に大量に現れたり、他には護岸の亀裂から淡水が湧き出しているような場所に何匹も固まってたりするのを、今までに何度か見たことがある(淡水が好きなのか?それとも淡水によって沸いたプランクトンを食べるため?)。
ミズクラゲの体は単純で、脳や心臓と呼べるものはない。まず中央に見える4つの白いリングは生殖器で、そしてそのリングの中が胃になっている。口は体の中心部にあり、そこからリボン状の口腕(こうわん)が伸びる。
傘に見られる白っぽい筋のようなものは放射管といい、胃で消化されたエサや呼吸のための海水はこの放射管を通り、さらにその先の水管によって全身に運ばれる。
先に「ミズクラゲには心臓と呼べるものはない」と言ったが、体内の栄養や海水の循環は、傘を開いたり閉じたりすることで行っている。つまり体全体が「心臓・ポンプ」の役割を果たしているのだ。また傘の開閉はエサを捉えたり、移動にも利用される(ただ遊泳力はかなり低いので潮に流される)。
主に動物プランクトンを食べるが、仔魚(しぎょ。生まれたばかりの魚)を捕らえて食べることもあるそうだ。
「刺さないクラゲ」というイメージがあるミズクラゲだが、実際には傘の縁辺部にたくさんの短い触手とそこに刺胞(毒針が入った袋のようなもの)を持っており、刺す。ただその毒針が短く、その毒もそれほど強くないので人間には効かないだけなのだ。とはいえ、肌が敏感な人は触れるとかぶれたりする可能性があるので、注意した方がいいと思う。
それにしてもクラゲとは面白い生物だ。体の作りもそうだが、その生殖生態が実に面白い(大まかに書くと、ミズクラゲは生まれた時は泳いでいるのに、しばらくすると岩などにくっついてイソギンチャクのような姿になり、さらにそれが分裂して複数の稚クラゲとなる)。興味のある人はWikipediaなどをじっくり読んでみてください。
(2020年12月)
(2024年5月)