エビジャコの一種のゾエア幼生

特徴

(写真:2020年4月下旬撮影。大きさ約2.5mm。生きた状態で撮影。卵から生まれたばかりは、このような姿でプランクトン的な生活を送る)

レア度:? 節足動物門 軟甲綱 十脚目 エビジャコ科 エビジャコ属 学名:? 英名:? よく見られる季節:4~6月頃(だと思う)

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2020年4月下旬の三番瀬で、抱卵した4cmほどの「エビジャコの一種①」を採集し自宅水槽で飼育していたところ、水槽に入れて数日経った頃に、お腹に抱えていた卵から写真の幼生が孵化した。このような姿の幼生を「ゾエア幼生」と呼ぶ。ちなみに孵化が起こったのは日暮れ頃だった(水槽はライトで照らしていたが)。

生まれた幼生はものすごい数で、一時は水槽中が幼生だらけになったが、翌日には水槽内の魚やエビたちに食べ尽くされてしまった…。そして最初の孵化の翌日にもう一度小規模な孵化が起こった後、役目を果たしたのか、親エビジャコは静かに息を引き取った。

ちなみにゾエア幼生とは『日本大百科全書』によると、『節足動物門 甲殻綱 十脚(じっきゃく)目(エビ、ヤドカリ、カニ類)の発生過程中に出現する幼生。ノープリウス幼生に次ぐ時期で、有柄眼(ゆうへいがん)が完成し、八対の胸部付属肢に続いて前五対の腹肢ができ始める。海中を浮遊し、数回の脱皮によってメガロパやミシスなど各群特有の幼生形に至る。丸い甲らに棘(とげ)をもつカニのゾエア幼生がもっともよく知られ、幼生がもつ長い棘は浮力の保持に役だっている。[武田正倫]』だそうだ。

(2020年5月)

ゾエア幼生を横から撮影した
親の「エビジャコの一種①」。腹部に灰色の卵を大量に抱えている。孵化時は腹部にある脚を盛んに動かして幼生を水中へ放っていた