ガンテンイシヨウジ

特徴

(写真:2019年7月上旬採集。全長約14cm)

レア度:★★★★☆ 脊索動物門 条鰭綱 Syngnathiformes目 ヨウジウオ科 カワヨウジ属 学名:Hippichthys penicillus 英名:? よく見られる季節:初夏~夏?

最大で15cmぐらいまで成長するヨウジウオの一種。ヨウジウオとはタツノオトシゴ類などが属する「トゲウオ目」の魚で、名前のとおり爪楊枝のような細長い体を持つ。また扇子のような形の尾びれと、長く伸びた吻(ふん)の先に小さな口がちょこっと付いているのも特長だ。そんなヨウジウオの中でも本種は河口や河口に近い海域で見られる種類らしい。

体は褐色で、白い小さな点々が体中に散らばっている。背びれや胸びれは小さく透明。触ってみると表面はザラザラしており、体も柔らかい針金のようなしっかりとした感触をしている。それらの特徴を活かして、木の枝や、海藻類に擬態して生活いるのだろう。

ちなみに写真の魚は2019年7月上旬の三番瀬で、海底に沈んだ「オゴノリ」のかたまりの中に隠れていたのを捕まえたもの。「三番瀬にヨウジウオがいる」ということは前から知っていたのだが、捕まえたのはその時が初めてで、一人やたら興奮したのを覚えている。

ヨウジウオ類のオスはお腹のあたり育児嚢(いくじのう)と呼ばれる、卵を抱えて保護する器官をもっている。メスがオスの育児嚢に卵を産み付け、卵が孵り稚魚が泳ぎだすまオス間オスがそれを保護する。魚の世界はイクメンが多い。

食性は肉食性で、小型の甲殻類などを食べるそうだ。

(2020年5月)

採集する

(写真:ガンテンイシヨウジの顔。細長い吻(ふん)と小さな口を持つ。目盛りは5mm)

障害物に寄り添って生活してるので、海底に沈んでいる海藻や、石などを見つけたらそれごと網ですくうと捕れるかもしれない(私は海底に沈んでいたオゴノリを網ですくって採集した)。またカキの貝殻があるような場所にも生息しているらしい。

とにかく目視では発見しにくいので、シーズン中に怪しいと思ったポイントをどんどん網ですくっていこう。

飼育する

「ヨウジウオ類は生きた小型甲殻類やプランクトン(イサザアミ類やヨコエビ類、カイアシ類など)をエサとして与えなくてはいけない」という話を聞いていたため、それが難しい三番瀬水槽では飼育は行っていない。過去にマーレ水槽で一週間ほどだけ展示したことがあり、その際試しに冷凍ブラインシュリンプや釜揚げ桜えびをすりつぶしたものを与えて見たが、やはり食べなかった(その後は海に返した)。

詳しい人によれば、ガンテンイシヨウジはヨウジウオ類の中でも丈夫で、配合飼料にも餌付きやすいらしいので、また機会があったら飼育に挑戦してみたいと思う。