モズミヨコエビ

特徴

(写真:2019年4月下旬、三番瀬で採集。体長約14mm(触角を除いた体の長さ)。生きた状態で撮影。鮮やかな緑色の体色をしたオス個体。他には褐色っぽい体色をした個体もよく見かける。よく見ると体全体に小さな黒点が散らばっている)

レア度:★★☆☆☆ 節足動物門 軟甲綱 端脚目 ヒゲナガヨコエビ科 学名:Ampithoe valida 英名:? よく見られる季節:?

最大で体長20mmほどになるそうだ。写真の個体は2019年4月下旬の三番瀬で海藻の表面にくっついているのを採集したもの。モズミヨコエビは干潟や磯、藻場など様々な場所に生息しているヨコエビで、浦安でも最もよく見るヨコエビかもしれない。「オゴノリ」やアオサ類などの海藻表面から見つかることが多いが、カキ殻などの隙間からも見つかる。

体色は薄い褐色や緑色をしており、体全体には小さな黒点が散らばっている。またわかりやすい特徴としてはオスの第2咬脚(腕のような部分)の前節は台形で大きく、その第2咬脚前節の掌縁に四角い小さな出っ張りがある(下の写真参照)。

ここでヨコエビとは何なのかということについて触れたい。ヨコエビとは「節足動物門 軟甲綱 端脚(たんきゃく)目 ヨコエビ科」に属する甲殻類の総称で、「エビ」と名前が付いているがエビの仲間ではない(エビ類は十脚(じっきゃく)目)。大きさは0.5cmほどから5cmと様々で、その種数は世界で7000以上おり、日本では300種ほどが確認されているそうだ。ほとんどは海に生息しているが、河川や湖、沼、畑などにも生息している。

ヨコエビの体は左右から押しつぶされたような平たい体をしているものが多く、石の上を横向きのままはい回る姿や水中を横向きに泳ぐ姿から「横エビ」の名前が付いた。

ヨコエビ類は非常に高密度で生息することがあり、海藻の上や泥の塊の中に巣を作って1㎡あたり数千~数万匹いることもある。そのためヨコエビ類は魚類など他の生物の重要なエサ生物になっている。

私は正直ヨコエビ類の同定には全然自信がない。ヨコエビの体はその小ささの割に、構造が非常に複雑で、種類を見分けるには実体顕微鏡などを使ってしっかりと各部の形態を見なくてはいけない。ヨコエビについてもっと詳しく知りたい方は「東邦大理学部 東京湾生態系研究センター」のHPで公開されている「東京湾ヨコエビガイドブック(小川洋 氏著)」を是非読んで欲しい(めちゃくちゃ詳しい & 分かり易いです。PDFがダウンロードできます。リンクを張らせていただきました。ご迷惑でしたら仰ってください)。

(2020年5月)

(2023年12月)

上の写真と同じ個体の頭部周辺を拡大
同個体。体全体に小さな黒点が散らばっているのが分かる
こちらは2020年2月下旬に河口付近で採集した別のオス個体。体長約14mm(触角を除いた体の長さ)。生きた状態で撮影。上から強い光を当てて撮影したため、上の写真の個体とは違った雰囲気に見える。体色は緑と褐色が混ざったような感じ。よく見ると眼が複眼のようになっており、またいろも赤褐色に見える。目盛は1cm
こちらは2020年2月下旬に河口で採集した別のオス個体。体長約16mm(触角を除いた体の長さ)。生きた状態で下から光を当てて撮影。こちらの個体は褐色が強い体色をしている。目盛は0.5mm
オスのモズミヨコエビのわかりやすい特徴として、オスの第2咬脚(腕のような部分)の前節は台形で大きく、その第2咬脚前節の掌縁に四角い小さな出っ張りがある
同個体の体の後半部を拡大。目盛は0.5mm

こちらはメス個体と思われる個体(自信がない)。体長約10mmちょい(触角を除いた体の長さ)といったところか。いつどこで採集したかは忘れてしまった。第1、第2咬脚の形状と大きさがオス個体と比べてかなり違う