フクロムシの一種②(アナジャコ寄生)
特徴
(写真:2022年5月下旬に、三番瀬で採集したオスの「アナジャコ」に寄生していた。写真中央左に見える薄い褐色の袋状のものが、フクロムシの生殖器だ。目盛りは5mm)
レア度:? 節足動物門 顎脚綱 ケントロゴン目 フクロムシ科 学名:? 英名:? よく見られる季節:?
フクロムシは「節足動物門 顎脚綱 ケントロゴン目 フクロムシ科」に属する、他の甲殻類に寄生して生活をする生物。節足動物ではあるが、節足動物の特徴である体節と脚が退化しており、とても節足動物とは思えない外見をしている(分類的にはフジツボ類に近いらしい)。
浦安ではフクロムシに寄生された「イソガニ」を時々見かけるのだが、「アナジャコ」に寄生しているのを見たのは今回が初めて。
この卵のように見える袋状の物体がフクロムシの生殖器で(「エキステルナ」という)、この中にフクロムシの卵巣と卵がたっぷり詰まっている。また宿主の体内に根のように張り巡らされたフクロムシの本体?の方を「インテルナ」と呼ぶ。
さらにフクロムシは寄主の神経系を操り、宿主がフクロムシのエキステルナを、まるで自分の卵のように保護するよう仕向ける。さらに宿主がオスの場合、フクロムシに寄生されると、脱皮をするごとに体が徐々にメス化し(カニ類の場合だとハサミが小さくなったり、「ふんどし」が丸く大きくなったり、行動がメス化したりするらしい)、メスが卵を抱えるようにフクロムシの世話するようになる。そしてフクロムシの卵が孵化するときには、それらを一生懸命海中に撒き散らすのだ。
またフクロムシに寄生されたカニは生殖能力を失い、生殖にエネルギーを使わない分、より長生きしてフクロムシの世話をし続けるそうだ。
今回採集した「アナジャコ」も体色がやたら茶色っぽかったり、体全身が脱皮後のように柔らかかったり、動きが不安定だったり様々な異常?が見られた。
フクロムシはどのように寄生して、どのような生活を送るのかなど、さらに詳しく知りたい方は、面白いページを見つけたので、これを読むとフクロムシマニアになれるかも!!→「珍獣図鑑(7):成体≒卵巣? 甲殻類に寄生しメス化させちゃう甲殻類、フクロムシの美学」(「ほとんど0円大学」より)
実に恐ろしく、よく出来た生物だと思う。寄生されるのが人間じゃなくて本当に良かった。
(2022年6月)
(2024年1月)