ヒゲソリダイ(幼魚)
特徴
(写真:2023年6月上旬、三番瀬で採集。ヒゲソリダイの幼魚と思われる。成魚は50cmほどまで大きくなる。全長約9cmになのに対し体高が4cmもあるという、肩から盛り上がったような独特な体型をしている。生きている時は各ひれを除く体全体が真っ黒であった(下の写真)。ストレスで苦悶死してしまったためこのような体色となっている(すまん…)。目盛りは1cm)
レア度:★★★★★ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 イサキ科 学名: Hapalogenys nigripinnis 英名:Short barbeled velvetchin よく見られる季節:?
(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)
ヒゲソリダイの幼魚と思われる。
2023年6月上旬に「浦安市三番瀬環境観察館」で行われたイベントにて、観察館のスタッフさんが採集。私が採集したわけではないので、採集時の様子は不明。この辺りではほとんど見られない種なので、この日の前日までの、台風と大雨によってどこからか流されてきたのではと推測している。もちろん私も浦安で見たのはこの日が初めて。
この日のイベントでは、スタッフさんたちが採集した生物の水槽展示を行っており、写真の魚は当初「コショウダイ(の幼魚)」として紹介されていた。自分もチラッとそれを見て「あ~コショウダイの幼魚採れたんだ~。シーズンインしたんだな~」などと思っていたが、同時に「にしてもやたらデカい幼魚だな…。あのサイズならもうコショウダイ成魚に似た体色と模様になっていてもいいもんだが…」と僅かな違和感も感じていた。
そしてイベント終了。疲れ果てているスタッフさんたちその他。もちろん私も例外でない。片付けが一通り終わると、ポツンと置かれたバケツを1つ発見。どうやら私のために、今日採れた生物の中でレア度の高そうなものをまとめておいてくれていたようだ。
う…嬉しい!!嬉しいのだがっ!! 帰宅後の写真撮影 & 水槽へ導入は…キツイっ(体力的に笑)
いや!!ここで折れては…ありがたく頂戴することとした。
さて、写真の幼魚だが、持ち帰る間にストレス酸欠その他によって苦悶死してしまっていた(すまん、今日は持ち帰る準備はしていなかったのだよ)。そのため体色と模様は大きく変化してしまっていたが、死がいなので各部を詳細に観察することができた。
まず先に感じた違和感の通り、「コショウダイの幼魚」ではない。似た雰囲気はあるが体型とひれの形状、色が大きく異なる(写真参照)。魚体をじっと見つめていると、「そういえばこのタイプの魚を過去に自分は見たことがある…そして…食ったこともある!!」。遠い記憶が蘇る。「ヒゲダイ」(系)だ!!
ヒゲダイ属、コショウダイ属あたりの魚を探っていくと、どうも「ヒゲダイ」かヒゲソリダイが怪しい。両者の違いを詳しく見ていくと、まず「ヒゲダイ」の下アゴのには肉質のヒゲが密生し目立つが、ヒゲソリダイの場合は名前の通り、ヒゲを剃った後のようにプツプツと痕跡的であるとのこと(下の写真参照)。ただしこの特徴は写真のような全長9cmほどの幼魚にも確実に当てはまるかはよくわからない。
あとは「ヒゲダイ」の主上顎骨にはウロコがなく、ヒゲソリダイの主上顎骨にはウロコがあるという違いがあるそうで、今回採集された幼魚の主上顎骨をマイクロスコープで見たところウロコが確認された(下の写真参照)。
というわけで、この幼魚はヒゲソリダイだろうという結論だが、正直ちょっと自信がない。他の資料を見ることをおススメする。
(2023年8月)