セジロムラサキエビ
特徴
(写真:2024年3月下旬、三番瀬で採集。体長約1.5cm(角(額角)の先端から尾の先端までの長さ)。)
レア度:★★★★★★★★★★ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 テッポウエビ科 学名:Athanas japonicus 英名:? よく見られる季節:?
2024年3月下旬に、三番瀬で採集。採集したのは私でなく「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんだが。毎度のことだが、この一見変化のない干潟環境でどうやってこんな小さなエビを見つけてくるのだろうか。恐るべし、専門家のポテンシャルである。もちろん私がセジロムラサキエビを見たのはこの時が初。
さて、このセジロムラサキエビ、まず名前がカッコいい。つい口にしたくなる名前をしている(私だけ?)。その名の通り、体の背面の中心に白く太い帯模様が走る。そして今回採集した個体は体全体が藍色をしており、確かに「ムラサキエビ」と言ってもいい粋な体色だと思う(もっとしっかり紫色の個体もいるのか?)。
ただネットで他の方が採集したセジロムラサキエビの写真を見ると、この体色は個体や生息場所?によって異なるようで、他に赤っぽいものや褐色が強い個体もいるようだ。
また大きな特徴として折りたたまれた長いハサミ脚が挙げられる。人間でいうと肘関節を下に折り曲げ、肘を前に突き出すような格好だ。これはムラサキエビ属のエビの多くに見られる特徴だそうだが、どのような利点があるのか実に興味深い。
そしてこのセジロムラサキエビ、スナモグリ類やテッポウエビ類の巣穴に共生する習性を持つとのこと。
(2024年5月)
飼育する
(写真:粒タイプの配合飼料(おとひめ)を食べるセジロムラサキエビ。長く折りたたまれたハサミ脚を器用に使って食べている)
自宅水槽4号で飼育観察してみた。
水槽にそのまま放ってしまうと姿を見失う & 誰かの餌食になる可能性が高かったので、セジロムラサキエビには悪いが浮くタイプの隔離水槽での飼育となった。環境は水温20℃前後、比重1.023(自宅水槽4号)。
もちろん飼育環境によるストレスのせいもあるだろうが、大人しい、動かないエビだなという印象。この辺りでよく見られる「ユビナガスジエビ」なんかは水槽に入れた直後から動き回るしエサも食いまくるが、それと比べると全くの異質なエビである。上記の隔離水槽内ではほぼ動かない。細かな底砂や隠れ家的なものがあると行動も違うのだろうが…。
餌付くのにも思いのほか時間がかかった。初めに定番の生きゴカイのミンチを与えるが…無反応。これならどうだ!の冷凍ブラインシュリンプ…無反応。アサリのミンチならどうだ!?…無反応。やはりストレスから拒食気味になってしまっているのだろうか。
エサを食っているシーンが見れないまま1週間近くが経ってしまった。が、弱った様子は見られない。その時水槽内には微小なプランクトン類やカイアシ類が沸いていたので、もしかするとそういうものを食っていたのかもしれない(推測ですが)。ただやはり何かを食べているのを確実に見たい。
意外とコイツがイケる時があるだよなぁ…ということで粒タイプの配合飼料(おとひめ)を軽く砕いて与えることにしてみた。このエサ、元は養殖業界で広く使われており高栄養とコスパの良さから、観賞魚業界でもかなり支持を得ているものだ。私も食してみたが、人間舌には美味く感じなかったけど。
エサを隔離水槽内に投入し、刺激を与えないよう水槽から離れしばらく放置した後、そっと様子を覗いてみる…。
お!食ってる食ってる!!
折りたたまれた長ーいハサミ脚を器用に使い、粒を抱えるようにしてむしゃむしゃむしゃむしゃと。食べる量はそんなに多くないようで直径1.5mmほどの粒も半分以上は残していた。
これで一先ずは安心だ。その後1ヵ月間は特に調子を崩すことなく飼育を続けることができた。が、やはりほぼ動かない(笑) もう十分観察できたので自宅水槽5号に放つことにした。そして現在は当初予想していた通り絶賛行方不明中である。
(追記:2024年8月18日)自宅水槽5号移してからさらに1ヵ月…余裕で生存していた。水温も26℃以上に達したが問題ない様子。隠れる場所と水槽内に積極的な捕食者がいなければ飼育自体はそんなに難しくはなさそうだ(長期飼育はまだ分からないが)。ただ、動きがなく、鑑賞する楽しみは薄い。