スズキ

特徴

(写真:2018年8月中旬採集。全長約50cm。三番瀬でルアーで釣った個体)

レア度:★★☆☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 スズキ科 スズキ属 学名:Lateolabrax japonicus 英名:Japanese seabass よく見られる季節:4~11月

最大で1mを超える。釣り人が大好きな魚その②。大きな口で魚やエビ、カニなどを捕食する典型的な肉食魚。そんな習性から、関東ではルアーフィッシングの対象魚として絶大な人気を誇り、今の釣り業界がもっているのはこの魚のお陰といっても過言ではないかもしれない。境川河口などで大きなタモ網を背負って、釣竿を何度も振っている人を見たら、この魚を狙ってると思ってくれていい。

東京湾は世界一スズキのいる海として知られ、毎年東京湾では2000トン以上のスズキが水揚げされている。また我が千葉県はスズキの漁獲量日本一で、さらにお隣の船橋市ではブランド魚としても売り出されている。

成長によって呼び名が変わる出世魚で、関東では20~30cmぐらいまでを「セイゴ」、60cm未満を「フッコ」、60cm以上を「スズキ」と呼ぶ。またルアーフィッシングでは、スズキのことをサイズに関わらず「シーバス」と呼び、その中でも80cm以上のものを敬意を込めて「ランカー」と呼ぶ。諸説あるが「スズキ」サイズに成長するには6年ほどかかるようだ。

産卵期は10~3月で、地域によって時期が前後する。東京湾では10月下旬~2月下旬頃だそうだ。

(2020年1月)

2014年5月下旬採集。全長約40cm。このサイズのスズキは「フッコ」と呼ばれる。スズキは個体によって体色が黒っぽかったり、黄色味がかっていたり、銀ピカだったりする。これは生息場所や生活スタイルによる変化なのだろう

スズキの顔。上アゴより下アゴの方が前に出ている。光の反射具合によって見え方は異なるが、宝石のような美しい眼をしている

採集する

(写真:2018年4月下旬採集。全長約3cm。スズキの幼魚)

比較的泳ぎが俊敏く、警戒心も高い魚なのでタモ網での採集は難しい。春先に三番瀬や河口の浅瀬で群れている、1~3cmほどの「スズキの稚魚・幼魚」なら泳ぎもそんなに速くないので捕まえるのは簡単。

もっと大きなサイズのスズキを捕まえたければ、やはり釣りだろう。よく釣れるシーズンは春と秋。スズキは基本的に生きたエサしか食べないようなので、アオイソメをエサにした釣りが初心者にはオススメ。また生きた小魚やエビを餌にしても釣れる。

もちろんルアーでも釣れるが、最初の1匹に出会うのにはなかなか苦労するかもしれない。口が大きな魚なので、うっかり針やルアーを飲み込まれないように注意が必要。またタモ網の準備も忘れずに。浦安では投網を使用する熟練者も見たことがある。

2022年5月下旬、浦安市内河川河口で撮影。全長7cmほどの「ボラ」の幼魚の群れに交じって、全長15cmほどのスズキの若魚が1匹混じって泳いでいる(写真中央上)。このスズキ若魚、「ボラ」群れを追いかけまわしたと思えば、一緒に泳いだりと一体どんな関係性なのだろうか?

食べる

(写真:浦安産スズキのレモンバターソース)

夏~晩秋までに捕れたスズキが肉付き、脂の乗りともに良く美味いと思う。クセのない白身で料理法を選ばない。

オススメ料理はアクアパッツァ、フライ、南蛮漬け、みりん干しなど。刺身もかなり美味いが、皮にぬめりや臭みが若干あるので、刺身にする際はそれらが身につかないように注意したい。また刺身は1日ほど寝かした方が旨みが増して美味しいと思う。

東京湾奥のスズキには賛否両論あるが、私は普通に美味い魚であると感じている。夏場に捕れる鮮度の良いスズキが高級魚なのも納得だ。ただしそれはきちんと活け締め、血抜き、そして捌く時は包丁とまな板を清潔に保つ等の適切な処理を行った場合である。

それを行わずに「東京湾奥のスズキは不味い」と判断するのはもったいないと思う。もちろん水質の悪い場所で捕れたスズキの中には臭くて食えないものもあるのは事実なのだが…。

それとスズキは食物連鎖の上位に位置する魚なので化学物質や放射性物質の蓄積という点も気になる。それについてはわからないことが多すぎるので私には言及できない(食べるときは自己責任でよろしくお願いします)。

2020年9月上旬に釣った全長約60cmのスズキ。活け締めと血抜きをしっかりと行った。キレイな白身で脂もよく乗っている
2014年10月中旬に釣ったフッコの刺身。ほんの少しスズキらしクセというか風味があるが、淡泊で程よい旨味と甘味がある。