イシダイ(シマダイ)

特徴

(写真:2017年7月上旬、三番瀬で撮影。全長約8cm。イシダイの幼魚。三番瀬の水深1.5mほどの場所で「メバルの一種」と一緒に群れをなして泳いでいた)

レア度:★★★★★ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 イシダイ科 学名:Oplegnathus fasciatus​ 英名:Barred knifejaw よく見られる季節:?

最大でどの程度まで大きくなるかは不明だが、日本で過去に全長80cm、重さ9kgほどのイシダイが釣れた記録がある。体のシマ模様が特徴的で水中でもよく目立つ魚(魚類学的にはこのシマ模様は「横ジマ」になる)。

イシダイと聞くと、水が綺麗な磯場に生息しているのをイメージするが、実は東京湾奥のテトラポットや防波堤などでもよく見られる魚で、狙って釣っている人もいるほどだ。

浦安など東京湾奥でよく見かけるのは全長5~30cmぐらいまでのイシダイの若魚で、これらを「サンバソウ」や「シマダイ」と呼ぶことも多い(特に浦安近郊ではシマダイというのをよく聞くような)。

10cmぐらいまでの小さなイシダイは体が黄色がかっており、また好奇心が非常に強く、泳いでいる人間を群れで追いかけてつついてくることがある(しかもそれが地味に痛い)。また大きく成長し老成したオスは体のシマ模様が見えにくくなり、口の周りが黒くなることから「クチグロ」と呼ばれる(メスは老成してもシマ模様が消えないそうだ)。

クチバシのような硬い歯を持つのも特徴で、成魚になるとウニや貝類、カニ類、ヤドカリるいなどを噛み砕いて食べる。その他、ゴカイ類や甲殻類など様々な底生動物を食べるようだ。

産卵期は4~7月(関東は5月頃との情報有り)。

 

私が浦安でイシダイを見たのは2017年7月の一回だけで、その時のイシダイは三番瀬の岸から5m、水深1.5mの浅瀬で「メバルの一種」と群れを作って泳いでいた(写真参照)。確認はしていないが、浦安周辺でも小型のイシダイが釣れるという話を聞いたことがある。その強烈な引きと貫禄あるルックスから、イシダイは「磯の王者」の異名を持ち、大きなイシダイを釣ることは磯釣り師達の目標の一つとなっている。

余談だが、私は銛突きが好きで、潜る時は大体イシダイをメインターゲットとしていた(味が良いし、見た目もかっこいいので)。イシダイは好奇心がとても強く、水中で岩を手でこすったりして音を鳴らすと、どこからともなく近寄ってくる。銛のゴムを引き、岩陰に身を隠して音を出しながらイシダイが銛の射程距離に入るのを待つわけだが、その瞬間の緊張感とスリルがたまらない。

大型のイシダイほど賢く、こちらの様子を伺ってなかなか近寄ってこないのも、またこちらをやる気にさせる。中~大型のイシダイを安定的に突けるようになると銛突き中級者といったところだが、私はまだその域に達していない。

(2020年1月)

(2024年1月)

山口県の磯で銛突きで捕獲したイシダイ。全長約20cm。これくらいのサイズは「サンバソウ」や「シマダイ」と呼ばれることもある
新潟県の磯で銛突きで捕獲したイシダイ。全長約50cm。写真のような大型のオスのイシダイはシマ模様が見えにくくなり、口の周りが黒くなることから「クチグロ」と呼ばれる

食べる

(写真:秋に新潟で捕獲した全長約50cmのイシダイの刺身。身が脂で白濁している。左下は皮を炙った腹の身)

身はしっかりとした歯ごたえで、旨みも強く、また個性的な味のする白身。なんと表現していいか分からないが、イシダイ独特の味がする。イシダイは大きくても小さくても、しっかりと「イシダイの味」を持っていると思う。

私は刺身で食べることがほとんどだったが、刺身は脂の乗りが良い割にくどさがなく、いくらでも食べれる感じ。厚くて少し食べにくいが、皮も旨みが強くて美味しい。

また皮を炙った腹側の身はその香ばしさと歯ごたえから牛肉の赤身のような印象を持った。またイシダイは鮮度落ちが遅いので熟成しがいのある魚である。他に塩焼きや煮付けでも食べたが、もちろん美味かった。アラからも良い出汁が出そうだ。