アカエイ

特徴

(写真:2019年7月採集。全長約1m(頭から尾の先端までの長さ)。三番瀬で釣りをしていたらルアーに食いついてきた。アカエイの口元に引っかかっている赤白の物体がルアー)

レア度:★★★☆☆ 脊索動物門 軟骨魚綱 トビエイ目 アカエイ科 学名:Dasyatis akajei​ 英名:Res stingry よく見られる季節:6~9月

最大で2m(頭から尾の先端までの長さ)、体重は15kgを超える。サメなどと同じ全身の骨格が軟骨で出来た「軟骨魚類」の一種。

北海道から東南アジアまで生息しており、おそらく私たちが最もよく目にするエイだろう。砂浜や干潟など海底が砂の場所に多く生息しており、普段は砂に浅く潜って目と噴水孔だけを外に出してじっとしているが、危険が迫るとかなりのスピードで泳いで逃げていく。別名「干潟(サーフ)の地雷」。

浦安沿岸は基本的に砂地なので、かなりの数のアカエイが生息していると考えられる。特に夏の三番瀬では潮が引くと、アカエイが潜んでいたと思われるクレーター状の砂のくぼみを多数見ることができる。

肉食性で貝やゴカイ類、甲殻類、魚などを幅広く捕食する。そのためルアーにも果敢にアタックしてきて、凄まじいパワーで釣り糸を引きちぎっていく。繁殖期は初夏~夏で、メスのアカエイは体内で卵から孵化した10cmほどのをアカエイの稚魚を出産する。これを「卵胎生(らんたいせい)」という。

そしてアカエイと言えば毒針。尾の中間あたりに、細長く周縁がノコギリ状になった強力な毒針を持っており、刺されると非常に危険。世界一有名なオーストラリア人として知られる”クロコダイル・ハンター”スティーブ・アーウィン氏がアカエイに胸を刺されて死亡した事件はあまりにも有名。

ただ、こちらからアカエイに近づいたりアカエイを踏んづけたりしなければ、そう刺されることはないので、砂浜や干潟ではすり足で歩く、棒で海底を突きながら移動するといった対策をした方がいいだろう。最近では電流によってアカエイを遠ざける「アクティブエイガード」という商品も販売されているので、万全を期したい人は一度調べてみるといい。

万が一刺された場合は、①すぐ海から上がる②毒針を取り除いて血と毒を搾り出し傷を海水で洗う③すぐに病院へ(夜間は救急へ)。「大丈夫だろう」と自己判断しないように。私は刺されたことは一度もないが、話によると刺されるとしばらく経ってから、激痛と失神、嘔吐、痙攣などの症状が現れることがあるそうだ。

ちなみに食用となるエイで、エイ類の中ではかなり美味らしい。ひれ部分はもちろん肝臓も食べられる(アカエイの肝臓はバカでかい)。エイヒレの原料にも利用されている。

(2020年1月)

(2024年1月)

こちらは2022年5月下旬に三番瀬で採集したオスのアカエイ。全長約50cm(頭から尾の先端までの長さ)。アカエイのオスは体盤幅35cm前後が成熟サイズらしいので、これはまだ子供サイズと言えるだろう
体の幅は20cm程度
ギョロっとした眼の後ろに「噴水孔」と呼ばれる、口から入った水や砂を排出するための孔がある
ひれを拡大して見てみる。ちなみにこれは胸びれにあたる。若干赤みがかった色をしている。酒のつまみとしてメジャーな「エイヒレ」は主にアカエイ類やガンギエイ類のひれから作られるそうな
尾の中間にある毒針(尾棘(びきょく)という)を見てみる。黒い皮に覆われており、触るとヌルヌルとしている
体を裏返してみる。まず2つの鼻の孔(鼻孔)があり、その下に口、さらにその下に5対のエラ(鰓孔)が並ぶ
エラ(鰓孔)を拡大
胸びれも裏から見てみる。胸びれ裏側は薄いオレンジ色で、縁辺部が黒く染まっている
小さな2枚の腹びれと、その間にお尻の穴(総排出孔)がある。またそのしたに小さな突起が2つ見えるが、これはオスが持つ「クラスパー」という器官で、おちんちんのことである
尾を裏側から見てみる

採集する

浅瀬をヒラヒラと泳いでいた20cmほどの個体をタモ網で掬ったことが何回かあるが、浦安でアカエイを捕獲したいとなれば、やはり釣りだろう(とんでもない大きなアカエイがヒットしてしまうこともあるが)。

シーズンは初夏~秋。何でもいいので長めで硬く頑丈な竿と頑丈なリール、それに太い糸を巻き、仕掛けはシンプルに重めの中通しオモリと針だけ(ジェット天秤でも可)。

エサは匂いが強いものが良い(死んだ「サッパ」、アジ類、イワシ類などを1匹丸々使うのがオススメ)。投げた時にエサが外れないようにと、アカエイにエサだけ持っていかれないよう、エサのつけ方は工夫しよう(調べてみてね)。それらを「アカエイが釣れる」と言われる場所に投げ込んでおけば高確率で釣れると思う。

アカエイの引きは強烈なので、アカエイがヒットした際に竿を持っていかれないよう、竿をロープ繋いだりリールのドラグを緩めておこう。もちろんヒットしたアカエイを陸にあげるための大きめのタモ網も必要。釣り上げたら毒針には十分注意すること(先に毒針だけ折って取り除いてしまうのも手)。

参考までに私の釣り仕掛け紹介する。竿:磯竿4号~、道糸:ナイロン4号~、ハリス:フロロカーボン5号~、針:チヌ針6号~、オモリ:中通しオモリorジェット天秤15~20号ぐらい これくらいの仕掛けで時間をかければ、メーターオーバーのアカエイでも余裕を持って釣り上げることができると思う。

またルアーでも釣れる…というか釣れてしまう。特に「バイブレーション」や「メタルジグ」といった重量があり、沈むタイプのルアーで砂地の海底付近を狙うと、時期によっては「またアカエイかよ…」というほど釣れてしまう時がある。

大抵、ルアー釣り道具はアカエイを釣ることを想定していないので、アカエイの強烈な引きにどうすることもできず、仕方なく自分から釣り糸を切り、ルアーを失うこともしばしば(こちらの財布も痛いし、アカエイにとっても迷惑な話だが…)。

思いがけず、大きなエイが釣れてしまったときは、お互いの安全のために無理に陸に引き上げようとせず、エイの負担が少なるなるようなるべく糸を短く切って逃がしてあげよう(奥まで飲み込んでいなければ、釣り針やルアーは自然と外れたり、サビて朽ちるそうだ)。

食べる

見た目のグロテスクさや、毒針などマイナスイメージが多いアカエイだが、実はとても味の良い魚。エイの中で最も美味いと言われ、しかも1匹釣れば十分過ぎるほどの肉が取れる優秀な食材である(釣ったら活け締め、血抜きをして、しっかり保冷すること)。まず塩で揉んで表面のヌメリをとってから調理するといい。

オススメ料理…というか私はこれしか試したことがないのだが、煮付けと竜田揚げは普通に美味しかった。フワフワとした身でジューシーな肉汁、そしてクセといっていいのか分からないが、アカエイ独特の少し酸味がかった旨みがあった。

鮮度が良ければ刺身(洗い)にして食べたり、肝臓を刺身で食べたりもできるらしい(アカエイの肝臓は薄紫色でバカでかい)。

ただ鮮度が落ちると体内の尿素が分解されアンモニアが発生し、臭いがきつくなるので、なるべく早めに調理することをオススメする。