オサガニ

特徴

(写真:2020年8月上旬、三番瀬で採集。甲羅の約1.3cm(甲羅の幅)。オスのオサガニ。長い眼(眼柄)を持つ。同属の「ヤマトオサガニ」と比べると甲羅が横に長い)

レア度:★★★★★ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 オサガニ科 学名:Macrophthalmus abbreviatus 英名:? よく見られる季節:?

最大で甲羅の幅が3~4cmほどになる。2020年7月上旬に行われた小学校の三番瀬観察会で、他のスタッフが偶然採集。そのスタッフも生物にかなり詳しい人なのだがその人が「これヤマト(オサガニ)と違うっぽくない?」と言うので、私が持ち帰りよく観察してみたところ、オサガニのメスという結果になった(ちょっと自信がないが)。

(追記:2020年8月22日)その後、2020年8月上旬に三番瀬でオスのオサガニを発見。学芸員の方のお墨付きももらったので、オサガニで間違いないだろう。三番瀬浦安側ではオサガニは少しの沖の海底が細かい砂の潮間帯でよく見られるらしいが、「最近は潮干狩り客に砂を掘り返されまくっているので心配だ」とその学芸員の方は言っていた。

本種は「ヤマトオサガニ」や「ヒメヤマトオサガニ」とよく似ているが、オサガニの方が甲羅がより横長で、「ヤマトオサガニ」や「ヒメヤマトオサガニ」が泥底の場所に生息しているのに対し、オサガニは砂底に生息するそうだ(たしかに採集した場所も砂底だった)。

またオスのオサガニのハサミには、小さなイボ状のツブツブがたくさんある(「ヤマトオサガニ」、「ヒメヤマトオサガニ」にはない)。オスはそのような特徴から見分け易いが、メス(特に若い個体)はかなり見分けにくいそうだ。

採集した個体の甲羅は灰黒色で、以前採集した「ヤマトオサガニ」のメスと比較すると、やはり甲羅は横に長い。そのため脚は短く見える。また甲羅の下半分には黒い斑点模様が見られる。腹側は白く「ふんどし」のあたりが土色に色づいていた。

その他にはハサミの先端と脚の先端が淡いオレンジ色をしているという特徴があった。ちなみにオサガニも「ヤマトオサガニ」と同様、オスのハサミの方がメスより大きくなる。

普段ほとんど目にしないカニなのでレア度を高めに設定しているが、私が知らないだけで意外と近くにオサガニたちがたくさん暮らしている場所があるのかもしれない。

(2020年7月)

(2023年11月)

オスのオサガニ。水に入れた状態で撮影。甲羅はやや横長で角の取れた長方形をしている。また遠目でみると、脚にシマ模様があるように見える。スナガニ科らしい長い眼(眼柄)を持つ。目盛りは5mm
オスのオサガニを真上から撮影。ハサミ先端や脚の先端、付け根が淡いオレンジ色に染まっている
オスのオサガニの甲羅。色や模様は「ヤマトオサガニ」似ているが、「ヤマトオサガニ」の甲羅と比べると横長の形をしている
オスのオサガニの腹側。腹側は白く「ふんどし」は二等辺三角形をしている。またオスはへの字に曲がった大きなハサミを持つ。この個体はハサミの先端が淡いオレンジ色に染まっている
2020年7月上旬採集。メスのオサガニ。水に入れた状態で撮影。甲羅はやや横長で角の取れた長方形をしている。また遠目でみると、脚にシマ模様があるように見える
メスのオサガニの甲羅。オスとの目立つ違いは私の眼では見られない。目盛りは1cm
メスのオサガニの腹側。腹側は白く「ふんどし」のあたりが土色に色づいている。またハサミの先端と脚の先端が淡いオレンジ色をしている
メスのオサガニのハサミ。ハサミはオスに比べると小さく、先端が淡いオレンジ色に色づいている
メスのオサガニの脚。この個体の脚には黒いシマ模様がはっきりと見られる。目盛りは5mm