ヒラコブシ

特徴

(写真:2023年9月中旬に三番瀬で採集。甲羅の幅約4mm。オスのヒラコブシ。まだまだ成長途中の極小サイズである。写真右下にスケールとして1円玉を置いた)

レア度:★★★★★★★★★★ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 コブシガニ科 学名:Philyra syndactyla 英名:? よく見られる季節:?

どのくらいまで大きくなるかはわからないが、少なくとも甲羅の幅が1.5cmほどにはなるようだ。2023年9月中旬に「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんが採集したものを撮影させてもらった。私がヒラコブシをみたのはこの時が初めてで、レア度はもちろんブッチギリのMaxである。​

今までに1匹しか見たことがないので、これが全てではないだろうが、特徴を書かせてもらうと、甲羅は平たい半球状で真上から見ると洋梨のように前方がやや細くなっている。甲羅の色彩・模様は様々なパターンがあるようだ。

同属で三番瀬でもときどき見られる「マメコブシガニ」のオス個体と比べるとハサミ脚の各節が細長く、さらにハサミの可動指・不動指も長くてあまり湾曲しない。

また、特に違うと思ったのは顔。これは写真で比較してもらうと分かるが、水中のヒラコブシの顔を真正面から見ると、触角が眉毛のようで目付きもギロッとしており化粧をした歌舞伎役者のようだと思った(下の写真参照)。

あとは動きもかなり違う。基本的に何をするのもスローで、逃げるスピードもかなり遅い「マメコブシガニ」に対し、このヒラコブシは非常に活発で動きも素早い。外敵が近づくと「テケテケテケテケ」と砂上を飛んでいるかのように移動する。そして砂に潜るもの早い。

ただこれらの特徴は今回採集したこの極小個体を観察した結果なので、もっと成熟したものや別個体では違う行動の可能性もある。

(2023年12月)

(2024年5月)

上の写真の個体を水から出して手に乗せてみる。甲羅はツルっとしていて少し光沢も感じる
甲羅は平たい半球状
「ふんどし」の形状は細長い二等辺三角形でオス個体であることが分かる。腹側は白い。同属の「マメコブシガニ」と比べるとハサミ脚が細長い
同オス個体のハサミ脚を拡大
歩脚を拡大
水中のヒラコブシの顔を真正面から見ると、触角が眉毛のようで目付きもギロッとしており、化粧をした歌舞伎役者のようだと思った。面白い顔だ。目盛りは5mm
自宅水槽4号でしばらく飼ってみた。水槽に入れるとすぐに砂に潜ってなかなか姿を現さない。エサはフレーク(ネオプロス)、クリル(乾燥エビ)、冷凍ブラインシュリンプを食べた。エサを捕るのも「マメコブシガニ」に比べるとかなり素早く上手い