スジホシムシ

特徴

(写真:2023年9月中旬、三番瀬で採集。長さ約23mm。これはまだ成長途中の小型の個体。写真左が前方で、体の前端の吻を伸ばしたり体内に縮めたりを繰り返す)

レア度:? 環形動物門 スジホシムシ科 学名:Sipunculus nudus 英名:? よく見られる季節:?

長さは10~20cm、幅が1.5cmほどまで大きくなる。写真の個体は2023年9月中旬に「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんが三番瀬採集。これはまだ成長途中の小型個体で、このような小さなものが見つかることは珍しいそうだ。それにしても何とも珍妙な姿をした生物だ。ちなみに私がホシムシ類を見たのはこれが初めて。

 

例のごとくホシムシに関して全く知識がないため、まず『日本大百科全書』の『ホシムシ』の解説を以下に引用させていただく(ホシムシの分類に関しては現在(2024年6月)再検討の真っ最中であるらしく解説内の分類と現状の分類は異なる)。

『星口(ほしぐち)動物門に属する種類の総称、またはそのなかの1種。すべて海産で、石の下、岩の裂け目、海藻の根の間、巻き貝やツノガイなど死んだ貝殻の中などいろいろな場所にすみ、ほかの動物に寄生するものもある。

 体は細長い円筒形で、長さは2~20センチメートルのものが多いが、外国では60センチメートルぐらいになるものもある。体は前方の吻(ふん)部といくらか太い体幹部とからなる。体の表面は乳頭突起で覆われていて、なかには乳頭の上に小さなキチン質の小板をもつものもある。体節はない。

吻は体内に引っ込めることができ、その先端にある口の周囲にはいろいろな形の触手が配列している。触手の中には中空の管があって、これが消化管に沿って後方に伸び、触手器官とよばれている。吻の表面には環状あるいは不規則に並んだ棘(とげ)や鉤(かぎ)をもつものが多い。

消化管は、口、食道、腸に続き、腸は一度体の後端まで下がるが、ふたたび反転して上に向かい、体幹の前方背面に肛門(こうもん)として開く。血管系はないが、体腔(たいこう)内には赤血球や変形細胞を浮かべた体腔液が満たされている。

雌雄異体であるが、外部から雌雄を区別できない。成熟した卵が腎管(じんかん)内に満たされると、夜間あるいは早朝に勢いよく海中に放出される。同時に雄も精子を放出し、海中で受精する。トロコフォラ幼生になって浮遊生活後、変態して底生生活に入る。

 世界で約300種、日本には約60種が知られているが、人間生活とはあまり関係はなく、日本ではスジホシムシSipunculus nudusをタイ、スズキ、カレイ、コチなどの釣り餌(え)にしている。[今島 実]』

 

続いて『日本大百科全書』の『スジホシムシ』の解説を引用させていただく。

『星口動物門 ホシムシ科に属する海産動物。キゾウ、ゴンムシ、キドウなどの地方名がある。本州、四国、九州の潮間帯から浅海までの砂泥中に穴を掘ってすむ。

体はやや赤みを帯びた乳白色の円筒形で、長さは10~20センチメートル、幅1~1.5センチメートル。表面は滑らかであるが、体壁の縦筋層と環筋層が規則正しく交差して碁盤目状になっている。

体内に陥入している吻(ふん)は2、3センチメートルで、表面には多くの三角形鱗(りん)状の皮膚乳頭がある。釣りの餌(えさ)に用いられる。[今島 実]』

 

釣りのエサに使用されているのか…そういえば高級釣りエサの「ユムシ」と姿が似ている。環形動物門だが体節はない…環形動物というと真っ先に体節構造を持つゴカイ類を想像するが、かなり幅広い生物が含まれているのだな。消化管が一度体の後端まで行ってから反転して体幹の前方部に肛門として開くというのも面白い。

(2024年7月)

体の前半部を拡大。『表面は滑らかであるが、体壁の縦筋層と環筋層が規則正しく交差して碁盤目状になっている』とのこと。緻密な模様だ
体の後半部を拡大。消化管が一度体の後端まで行ってから反転して体幹の前方部に肛門として開くそうだ
こちらは体の前端の吻を伸ばした瞬間の様子。結構素早いので写真がブレてしまった