ミズヒキゴカイの一種①
特徴
(写真:2019年5月中旬、三番瀬で採集。全長約50mm。三番瀬浦安側ではなかなか見ないヴィヴィットなカラーをしている。写真左の赤い部分の方が前方となる。目盛りは0.5mm)
レア度:? 環形動物門 多毛綱 学名:? 英名:? よく見られる季節:?
ミズヒキゴカイの一種であると思うが、種類は不明。写真の個体は2019年5月の三番瀬で、海底の砂を採集したらその中から見つかった。春~初夏にかけてまで三番瀬の海底を掘り返したり、転石をひっくり返したりすると見つかることが多い。
ミズヒキゴカイ類については知識がほとんどないので、まず以下に『日本大百科全書』の『ミズヒキゴカイ』の解説を引用させていただくので、読んでもらいたい。
『環形動物門 多毛綱 定在目 ミズヒキゴカイ科に属する海産動物。日本および世界各地の海岸に分布し、有機物の多い泥の中にすむ。
体を砂泥中に埋め、糸状で黄色の感触糸と紅色の鰓糸(さいし)を水中に出して動かしているところからこの名がある。
体は円筒形で軟らかく黄橙(こうとう)色。長さ6~15センチメートル、幅4~5ミリメートルで、体節は約300節。体の前部背面に約20本ほどの感触糸の束が1対あり、また各体節の両側から1本の鰓糸が生じている。
近似種のチグサミズヒキCirratulus cirratusは、同じような場所にすむが、頭部に赤い眼点が4~8個斜めに1列に並び、感触糸の束が第1剛毛節にあることで区別される。[今島 実]』
なるほど体の前方に生えているモジャモジャした触手のようなものは感触糸と鰓糸で、鰓糸は体全体の体節から1対ずつ生えるが(感触糸は体前方部のみ)、鰓糸は体前方で長く多く、体後方へ向かうにつれ短くまばらになるという感じか。
この感触糸と鰓糸を砂の中から水中出して動かす様子が「水引き」の由来になったのだな。
『体は円筒形で軟らかく黄橙(こうとう)色』とあるが、私が今まで見た個体は頭部周辺は赤く、後端に向かうにつれ黄橙色が濃くなっていく印象がある。また体内の消化管内容物が黒~暗緑色に透けていることも多い。
このミズヒキゴカイだが、刺激を与えるとまるで自分の体で結び目を作るかのように、団子状に丸まる。こちらとしては解けた真っすぐな状態で写真を撮りたいのだが、体が柔らかいため無理やり引っ張ることもできずいつも苦労する。
みなさんにお伝えしなくてはならないことがある。ゴカイ類(多毛類)というのはまだまだ未知の部分が多い生物群で、研究者の数もが少ないため研究も十分には進んでおらず、さらにまだ発見同定されていない種(未記載種)が大量にいることが推測されている(2023年現在)。
またゴカイ類(多毛類)を正確に同定するには、その道のプロフェッショナルが顕微鏡下で「口の周りにある黒い点の数が~」や「体側にある疣足の先端の形状が~」というのを確認したり、動き方やどのような場所(底質)にいたかなど様々なファクターを総合して判断する必要がある。
つまり超マニアックな世界で、私などが「これは~ゴカイです!!」なんて迂闊には言えない領域なのだ!!…というのを現在(2023年)になってようやく自戒している。なのでこのページに書いてあることは話半分に聞いて、是非論文や専門家の方の解説等を参考にして欲しい!! ちなみにゴカイ類(多毛類)の研究者の間では採集したゴカイ類(多毛類)を生きたまま食べる風習があるとかないとか…(「魚に人気があるヤツはやっぱり美味いですよ!」って言っていたなぁ…)。
(2023年9月)