フクロムシの一種①(イソガニ寄生)

特徴

(写真:2019年5月中旬、三番瀬で採集。オスの「イソガニ」の「ふんどし」の裏側に付着している黄色い袋状のものが、フクロムシの生殖器だ。ちなみに採集時にこのイソガニは死亡していた)

レア度:? 節足動物門 顎脚綱 ケントロゴン目 フクロムシ科 学名:? 英名:? よく見られる季節:?

フクロムシは「節足動物門 顎脚綱 ケントロゴン目 フクロムシ科」に属する、他の甲殻類に寄生して生活をする生物。節足動物ではあるが、節足動物の特徴である体節と脚が退化しており、とても節足動物とは思えない外見をしている(分類的にはフジツボ類に近いらしい)。

浦安では写真のように、フクロムシに寄生された「イソガニ」を時々見かける。フクロムシはカニの体内に植物の根のような組織を張り巡らし、カニの栄養を吸い取りながら自身の生殖器を発達させる。

このカニの卵のように見える袋状の物体がフクロムシの生殖器で(「エキステルナ」という)、この中にフクロムシの卵巣と卵がたっぷり詰まっている。またカニの体内に根を張るように張り巡らされたフクロムシの本体?の方を「インテルナ」と呼ぶ。

さらにフクロムシは寄生したカニの神経系を操り、カニがフクロムシのエキステルナを、まるで自分の卵のように保護するよう仕向ける。さらにオスのカニがフクロムシに寄生された場合、脱皮をするごとに体が徐々にメス化し(ハサミが小さくなったり「ふんどし」が丸く大きくなったり、行動がメス化したりするらしい)、メスが卵を抱えるようにフクロムシの世話するようになる。そしてフクロムシの卵が孵化するときには、それらを一生懸命海中に撒き散らすのだ。

またフクロムシに寄生されたカニは生殖能力を失い、生殖にエネルギーを使わない分、より長生きしてフクロムシの世話をし続けるそうだ。

そしてフクロムシはどのように寄生して、どのような生活を送るのかなど、さらに詳しく知りたい方は、面白いページを見つけたので、これを読むとフクロムシマニアになれるかも!!→「珍獣図鑑(7):成体≒卵巣? 甲殻類に寄生しメス化させちゃう甲殻類、フクロムシの美学」「ほとんど0円大学」より)

実に恐ろしく、よく出来た生物だと思う。寄生されるのが人間じゃなくて本当に良かった。

そういえば寄生なのかわからないが、「ふんどし」の内側に小さなイガイ類がたくさん付着したカニも時々見かける。あれはどういう状態なのだろう?

 

(追記:2022年6月12日)2022年5月下旬に、「アナジャコ」に寄生したフクロムシを発見。このページのフクロムシとは別種の可能性があるので、別ページに掲載することにした。

(2022年6月)

(2024年1月)

黄色い袋状のものがフクロムシの生殖器(エキステルナ)だ。この中にフクロムシの卵巣と卵がたっぷり詰まっている

生物に詳しくない人が見たら、卵を抱えたカニだと思うだろう。よく見ると「ふんどし」の形状も、通常のオスの「イソガニ」のものに比べて、幅広で丸みがある形に変化している