ヒラムシの一種①
特徴
(写真:2015年4月中旬、河口付近で発見。体長約3cm。名前の通り、体は非常に薄っぺらい)
レア度:? 扁形動物門 渦虫綱 多岐腸目 学名:? 英名:? よく見られる季節:?
種類不明。どのくらい大きくなるかは分からない。
写真のヒラムシは2015年4月中旬に河口の石をひっくり返したら石の裏側にくっついていた。浦安では冬が終わり暖かい時期になると、このタイプのヒラムシが石の裏側に張り付いているのをときどき見かける。
ヒラムシ類は見た目と動きが面白いので個人的にはワクワクする生物だが、他人に勧めてもあまり盛り上がってくれない。
体はヒラムシの名前の通り非常に薄っぺらく、左右対称で節のようなものもない。またこの個体は肌色~褐色をしており、肉眼では表面は滑らかでツヤツヤと光沢があるように見える。。体は柔らかく非常にちぎれやすいので扱いには注意が必要。
体の両サイドをヒラヒラとさせながら這うように移動し、その移動スピードはかなり速い(5cm/秒ぐらいのスピードがありそうだ)。
以下に『改定新版 世界大百科事典』の『ヒラムシ』の解説を引用させていただく。
『渦虫綱 多岐腸目 Polycladidaに属する扁形動物の総称。体が扁平なところからこの名がある。すべて海産で,潮間帯の石の裏側にすむものが多いが,なかには他の動物に内部あるいは外部寄生するもの,または浮遊生活するものもある。体は幅広い葉状や帯状。体長は0.7~50mm,体の表面をおおっている細胞層には繊毛をもった繊毛細胞,腺細胞,感覚細胞などがあり,腺細胞から液を分泌し,繊毛によって岩の上などをすべるように移動する。
体の前方に脳があり,光線を感ずる単眼はいわゆる色素杯単眼で組織の中に埋没している。種類によっては体の前縁に沿って多数並んでいるものもある。腹面の中央に口があり,口から咽頭,腸とつづくが肛門はない。口はよく開いて大きな餌をのみこむことができる。咽頭から前後左右に多少放射状に腸が分かれ,さらにこれから多くの分枝をだして体の周縁に達している。この腸は消化吸収の働きをし,不消化物は口から外へだされる。排出器は原始排出器であって,体側を前後に走る1対の排出管から組織内に小枝が分枝して入りこんで排出物を集め,それを排出管へ送り,さらに排出孔より外にだしている。
雌雄同体で,同一個体に雌と雄の生殖器官があるが,体制に比較して,その構造は複雑である。交尾によって体内で受精した卵は海中に産みだされ,発生がすすんで直接幼体になるか,ミュラー幼生Müller's larvaやゲッテ幼生Goette's larvaになってしばらく浮遊生活をし,その後変態して成体になる。
一般に肉食性で,小型甲殻類,二枚貝,環形動物などほとんどどんな動物でもとらえたものを食べる。イイジマヒラムシStylochus ijimaiやフロリダ産のS.frontalisはカキを好んで食べるので養殖ガキに大きな被害を与える。
潮間帯でふつうに見られるヒラムシ類にはツノヒラムシPlanocera reticulata,ウスヒラムシNotoplana humilis,チチイロウスヒラムシN.japonica,カリオヒラムシCallioplana marginataなどがある。浮遊生活するのはオキヒラムシPlanocera pellucidaで,太平洋,大西洋,インド洋などに分布する。執筆者:今島 実』
ちなみにヒラムシ類は外見が似たものが多いうえ、研究も盛んに行われているわけでもなく、またヒラムシ類の図鑑も数少ない。種類に判別は専門家が顕微鏡下で内蔵を観察してようやく同定できるレベルらしい。
またヒラムシはその見た目とは裏腹に獰猛な肉食性の種が多く、さらにフグ毒で有名なテトロドトキシンを体内に持つものもいるそうだ。すげ~。こえ~。
(2023年9月)
(2024年8月)