ミドリイガイ
特徴
(写真:2022年9月中旬に三番瀬で採集。貝殻の長さ約3cm。足糸を使って虫かごの蓋に付着している。よく見ると薄紫色をした水管を伸ばしているのがわかる)
レア度:★★★☆☆ 軟体動物門 二枚貝綱 イガイ目 イガイ科 学名:Perna viridis 英名:Asian green mussel よく見られる季節:?
最大で貝殻の長さ6~10cmほどになるらしいが、私が今まで浦安で見たものは1~5cmぐらいまでのものが多かった。
ミドリイガイはインド洋、西大西洋、ペルシャ湾を原産地とする外来種で、1967年に初めて日本で確認された。おそらく船のバラスト水(船の浮力や重量を調整するために船体に汲み上げる水)に幼生が混入したり、船体に付着したりしてやってきたのだろう。
浦安では浅瀬で見られる近縁の「ムラサキイガイ」とは違い、少し深いところ(干潮になっても水の外にでない場所)に生息しているイメージがあり、護岸の上や、岸から手の届く範囲ではあまり見ない。
そういえば2019年10月に高洲、日の出の海岸を泳いだ際、岸から5m、水深2~3mのあたりでたくさんのミドリイガイを見たのを覚えている(そのときは「ムラサキイガイ」は全く見なかった)。
ムラサキイガイの貝殻は所謂「ムール貝」の形、涙型のようで、殻頂先端は尖りほんの少し曲がる。貝殻表面の色は縁辺が鮮やかな青緑色~黄緑色で、殻頂周辺は黄褐色~黒褐色。また同心円状の褐色、黒色のシマ模様が入ることもある。小さな個体では貝殻全体が鮮やかな青緑色であることが多い。貝殻の内側は白色で真珠光沢がある。
ミドリイガイは時に大発生し、養殖カキにダメージを与えたり、定置網や発電所の冷却水路系に付着して被害をもたらすこともある。そのため現在ではミドリイガイは「生態系被害防止外来種」に指定されている。ちなみに日本での産卵期は夏季と推測されている。
また近年ではミドリイガイの貝殻が犬用のサプリメントの原料として利用されているのをよく目にする。
(2020年2月)
採集する
(写真:2022年10月下旬に河口付近に沈んでいた漁網からむしり取ったミドリイガイ(「ムラサキイガイ」もちょっと混じっているが)。採集したあとに適当な入れ物にミドリイガイを詰め込んでおくと、写真のようにお互いの足糸を使って付着し合う)
浅瀬や岸から届くところではあまり見ない気がする。干潮になっても水から出ない場所、海に垂れ下がったロープやハシゴ、海中に沈んだ岩などをよく見て探すと見つかるかもしれない。
貝殻が薄い割に、足糸でかなりしっかりと付着しているので、採るときは貝殻を割らないように注意したい。
飼育する
(写真:2018年11月下旬撮影。貝殻の長さ約5cm。自ら出した足糸で隔離水槽の壁に張り付くミドリイガイ)
その美しい貝殻の色彩から、水槽に入れると映えてとても良い。だが三番瀬水槽ではエサとなるプランクトンなどが少ないためか、しばらくすると中身だけ消えて無くなってしまう(カニや「クロダイ」などに食べられたのかもしれない)。
長期的に飼育するにはイガイ類を食べる生物との混泳を避け、定期的にエサとなるプランクトンや懸濁物を与えてやる必要があるのかもしれない。
飼育してみて分かったことだが、ミドリイガイには非常に面白い能力がある。このミドリイガイよく移動をする。さらには自分の体一つで垂直の壁を登ることもできるのだ(特に若い個体の方がよく移動するそうです)。
その方法はまず貝殻から細長い足を伸ばし、少し離れたところに足の先端をくっつける。そして足を縮めることで、貝全体が移動する。そうしたらまるで足場を作るかのように、体から糸状の足糸を出して貝殻を固定する。
これを繰り返すことで、垂直の壁を登っていくのだ(写真)。初めてその姿を見た時は「動けないはずのミドリイガイが何故こんなところにいるの!?」と混乱した。