アサリ

特徴

(写真:2015年4月中旬採集。貝殻の幅約0.5~4cm。東京湾のアサリ資源の動態調べる「アサリわくわく調査」にて。三番瀬の岸近くで採集したもの。写真は「浦安三番瀬を大切にする会」撮影)

レア度:★★★☆☆ 軟体動物門 二枚貝綱 マルスダレガイ目 マルスダレガイ科 学名:Ruditapes philippinarum 英名:Japanese short-neck clam よく見られる季節:4~6月(アサリ自体は周年いる)

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最大で貝殻の幅が6cmほどになる。古くから食用と利用され、私たちに最も馴染み深い二枚貝。日本全国のみならず、朝鮮半島、中国大陸沿岸にも生息し、さらにはハワイや北アメリカ、ヨーロッパにも分布を広げているらしい(カキの種苗に混じって移入されたそうだ)。

「もう浦安じゃアサリとか採れないんでしょ?」と聞いてくる人がたまにいるが、今でもそこそこ採れる。しっかりと潮が引いてるタイミングで半日ぐらい一生懸命やれば、大きめのボウルに一杯ぐらいは捕れるんじゃないだろうか。

小粒なものが多いが、正真正銘の天然アサリである。また先日出会った浦安に40年住んでいるという老人は「三番瀬のアサリを食ったら他のアサリは食えないね!(それほど美味い)」と言っていた。

アサリの貝殻は産地によって様々な色や模様をしており、浦安三番瀬では何故だか理由は定かではないが、かなりバリエーション豊かな色・模様のアサリが採れる。全体が黒っぽいもの、白地に黒や紺の模様が入ったもの、茶色っぽいもの、鮮やかな紺色のものなどなど(下の写真参照)。

アサリと他の貝との見分けは、貝殻を触ってみるとよく分かる。アサリの貝殻の表面は縦横に細かい布地のような筋が入っており、爪でひっかくとガリガリしている。また貝殻も比較的厚みがあり、表面が剥がれたりすることもない。

潮干狩りシーズンは普通4~6月で、その時期しかアサリが採れないと思っている人も多いが、実はアサリを含む貝たちはずっとそこにいて(もちろんある程度の範囲を移動はしているだろうが)、1年中採ることが可能。

4~6月は昼間に潮が大きく引き(加えて気候も良い)、またアサリも丁度その頃に産卵期を迎え、身が太ることから、4~6月が潮干狩りシーズンとなっている(関東の場合)。セミプロ漁師?のような年配の方々は春から秋までずっと採っているし、真冬の夜中にも潮干狩りをしている人をたまに見かける(冬季は夜にしか潮が大きく引かない)。

アサリは海水中の植物プランクトンや有機物のかけらを吸い込み、体内で濾し集めて食べる。つまりアサリは海水中のプランクトンや汚れを濾しとって水を綺麗にする作用を持っている。ちなみに産卵期は春と秋の2回あるが、地域によって多少時期が異なるようだ。

 

(追記:2021年6月11日)このページを作った際に「今でもそこそこアサリが採れる」と書いたが、2021年現在、東京湾奥のアサリの資源量は危機的状況なようだ。船橋漁協の貝類の漁獲量を見てみると(浦安には漁協がないので)、平成28年度は338t獲れていたが、翌29年度には76tにまで減少、そして平成30年度~令和2年度まではほぼ0tとなっている。長期的な漁獲量の推移については情報を持っていないが、少なくともここ数年は恐るべきペースでアサリが採れなくなっている。

 

(追記:2023年8月19日)現在も東京湾のアサリ資源がヤバいのは変わらないのだが、ここ2年ほど浦安三番瀬側ではそこそこ採れていた模様。採れていたといっても個人レベルの話だが。シーズン開始の4~5月頃には熟練老人たちが半日でバケツ半分~1杯ほどのアサリを採っていた(しかも殻長が3cm以上ある良いサイズのものばかり)。その後初夏~夏にかけては、小さいアサリばかりしか採れていない様子…。

(2023年8月)

2015年4月中旬、三番瀬で行われた「アサリわくわく調査」にて採集。貝殻の幅約0.5~2cm。このように小さなアサリの稚貝も一緒に採れことがある
イベントで展示中のアサリ。貝殻の幅約3cm。貝殻の外に2本の水管(入水管と出水管)が伸びている。その先端は灰黒色に色づき、毛のようなものが生えているのがわかる

採集する

(写真:2022年3月下旬採集。三番瀬で採集したもの。三番瀬で採れるアサリは色のバリエーションにかなり富んでいる。写真撮影後これらのアサリは全て放流した)

年や時期によって採れる量が大きく変動する印象がある。東京湾奥のアサリ漁獲量は壊滅的なものとなっているが(漁獲量0tが何年も続いている)、個人が採集する分にはまぁまぁ採れるという印象。

浦安では、干潟、河口、河川内など様々な場所で採ることができる。アサリ採りの常連の話によると、アサリは砂中をよく移動し、アサリが岸に寄って来やすい時期があるとか(本当かはわからないが)。

そのような上級者は大きなスコップで砂を一気に大量に掘って、その砂を自作のふるいにかけて、貝だけを選別するという方法をとっているのをよく見かける。道具をほぼ使わずにナイスサイズのアサリを短時間で採ってくる地元猛者にも出会ったこともあるが。

採れる場所によってアサリの貝殻の色彩が異なる。完全に砂地の場所では、写真のように白、紺、茶、などバリエーションに富んだ貝殻のアサリが出現し、岸近くの貝殻の欠片が混じった砂や河口、河川内では黒っぽいアサリが見つかることが多い気がする。

潮干狩りが終わって帰る時には、海水を持ち帰るのを忘れずに。貝を採った場所の海水を使うと砂が非常によく抜ける。

 

(追記:2021年6月11日)現在「千葉県漁業調整規則」によって、殻長(貝殻の幅)2.7㎝以下のアサリを採ることが禁止されている。違反した場合、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金。

三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。どのような意味があってこんな模様になるだろうか。粋な感じがする模様だ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。この紺色が実に美しい。この色彩を保ったまま標本にできないか色々と試したが、このような青系の色はすぐに退色してしまう。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬で採れたアサリ。目盛りは1cm
三番瀬の岸近くや河口、河川内、海底が泥っぽいところでは、このような黒っぽいアサリが採れることが多い気がする。目盛りは1cm

食べる

(写真:水管を長く伸ばすアサリ。思った以上によく動く貝である)

採ってきたアサリはまず、水をかけ流しながらアサリ同士をこすり合わせるようにして、表面に付いた汚れや砂をしっかり落とす。

その後、大きめのボウルや洗い物カゴの内側にザルを入れて、なるべくアサリ同士が重ならないようにアサリを入れたら、汲んできた海水をアサリがひたひたになるぐらいまで入れる。そして蓋をして暗くし、そのまま半日~1日程度置く。この間エアポンプで空気を送った方が良いと思う。

時々アサリの様子を確認して、アサリが水管を出しているか?水が汚れすぎていないか?確認しよう。あと暑い季節は水温が上がってアサリが死んでしまうことがあるので注意。

砂抜き後のアサリは、濡れた新聞紙で包んでからビニル袋に入れて(口をキツく閉じ過ぎないこと)冷蔵個に入れると数日は保つ。また砂抜きしたアサリは殻の付いたまま冷凍すると長期間保存できる。

他の地域のアサリをあまり食べたことないので、しっかりと比較はできないが、たしかに三番瀬で採れたアサリは旨みが強いような気がする(だだ小粒のものが多い気も)。料理法は多彩で、酒蒸し、バター焼、アサリ汁、アクアパッツア、パスタ、佃煮など何にしても美味い。