シミコクラゲ

特徴

(写真:2023年2月中旬、三番瀬で採集。傘の直径約3.5mm。大きくても傘の直径が5mmほどの小型のクラゲ)

レア度:? 刺胞動物門 ヒドロ虫綱 Anthoathecata目 シミコクラゲ科 学名:Rathkea octopunctata 英名:? よく見られる季節:?(冬季?)

2023年2月中旬にブラっと「浦安市三番瀬環境観察館」に立ち寄ると、いつも水槽の置いてある机の上に、なにやら水を張ったプラケースが! 「これはもしや…」と思っていると、「あ、管理人さん!」、私が師匠と仰いでいる底生動物に詳しいスタッフさんのお声が(この方は月1ぐらいしか観察館に来ない)。

今日は調査日だったらしく、いつもなら私も同行させてもらうのだが、「あれ?今日のこと管理人さんに言ってなかったでしたっけ? 管理人さん来ないなーと思ってたんですよ」。

いや聞いてないです(笑) 2月頃は最も水温が下がる時期で生物も少なく、水に入る機会は貴重だったので行きたかった…。

そんな話はさておき、このシミコクラゲ、そのスタッフさんが採集したのだが、私がシミコクラゲをみるのは今回が初めて。巷では「クローンを作って大量に増えるクラゲ」などとして有名らしく、水族館でもよく展示されているようだ。

それについては『鶴岡市立加茂水族館』のHPの『シミコクラゲ』の解説が非常にわかりやすかったので以下に引用させていただく。

『庄内浜には1~3月の真冬に出現する、成長しても5mm前後にしかならない小型のクラゲ。親クラゲの口柄の付け根からからクラゲが出芽し、やがて離れて体外に放出され泳ぎ出す。放出されたクラゲは成長し数日間でクラゲを作るようになり、一個体いれば1ヶ月後数百個体に増殖する。もちろん、クラゲからの出芽の無性生殖だけではなく、受精卵からポリプになり無性生殖、ポリプからのクラゲの放出もある。』

なるほど…無性生殖で増殖の仕方も2通りあるのか。クラゲについては詳しくないのだが、口柄の部分から子クラゲが出芽するとは面白いな。

また口の先端には口触手というものがあり、その先端には球状の刺胞塊があるそうだ(下の写真参照)。

しかしこのシミコクラゲ、非常に見にくい(発見しにくい)。背景が透明や白だと、小さなケースに入れておいても、どこにいるのかすぐ分からなくなる。多分採集中にタモ網に入ったとしても、私ならスルーしてしまうだろう。恐るべし、スタッフさんである。

(2023年4月)

傘はドーム状で2重になっているように見える。口の先端には口触手というものがあり、その先端には球状の刺胞塊があるそうだ。確かに小さな球状の物体が見える
傘の下縁には8つのオレンジ色をした物体があり、そこからかなり細~い触手が3~4本伸びている(この個体は)
光の当て方を変えて、全体を撮影
透明な隔離ケースにいれて観察してみる。が、小さい & 透明度の高い体のため、どこにいるのかすぐ分からなくなる。自然光下では傘の下縁にあるオレンジの物体は黒っぽく見えた