シイラの幼魚
特徴
(写真:2025年7月下旬、河口付近で採集(採集したの私ではない)。全長約7cm。「シイラ」の幼魚。普段浦安の岸近くで見る魚ではないが、台風による強風と青潮の影響で沖合から漂流物と一緒に流されてきたのではと想像している)
レア度:★★★★★★★★★★(注意) 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 シイラ科 学名:Coryphaena hippurus 英名:Common dolphinfish よく見られる季節:?
最大2m、40kgほどまで成長する大型回遊魚。大きく成長した「シイラ」はそのインパクトのある見た目と強烈な引き、獰猛さから、ゲームフィッシングの対象魚として人気が高いが、食用としても日本のみならず世界的にもそこそこメジャーな魚である。
「シイラ」と検索すると予測変換で「シイラ 不味い」と頻繁に出るが、私は普通に美味い魚だと認識している。昔、秋に地方の市場で買った80cmほどのシイラをフライにして食ったが、かなりイケた。何より安くて歩留まりが良い(身が沢山取れる)。ただ美味いがタンパクで個性はあまり感じなかった。
もしかすると鮮度が悪かったり小型の物(「ペンペンシイラ」)だと不味いのかもしれない。釣り慣れた人では小型の「シイラ」はすぐにリリース! というシーンもよく見る。
前置きが長くなってしまったが、今回のシイラの幼魚を採集したのは2025年7月下旬、台風接近による強烈な北東の風に加えて、東京湾奥で重度な青潮が発生していた日だった。大体こういうときは、普段浦安では見られない珍しい生物たちがどこからか流されてくるんだよなぁ。
そんなことを考えていると、仲間から「シイラの幼魚と ×××× と ×××× ………が採れたよ!!!!」と連絡が来た。
「マジか!!シイラか!!」(他のXXXXもすごいのだけど)
しかし迷う。漂着したということは既に弱っている可能性大だし、さらに採集されてさらに弱っているだろう。何より自宅水槽や三番瀬水槽での飼育はたぶんムリ。そしてこの日は天気がスーパー悪く、私も体調不良で寝ていた…。
「いや、見に行こう」
性というか、エゴというか、執念?というか…。おそらく逃がしても永くはないだろうし、どうせなら。
その後、無事にシイラの幼魚+αたちを回収し、狭い自宅水槽5号に入れる(他の水槽は最近全て処分してしまっていた)。水温は27~28℃。釣れてくる前から弱っていたが、水槽の水質や温度も良くないのだろう。水槽底に沈んで必死に体を左右に震わせている。呼吸も苦しそうだ。
ダメ元で水槽に保冷材を入れて水温を25℃ほどまで下げると、やや落ち着きを取り戻し、水槽の中~上層を泳ぐ姿も確認できた。そしてその2日後息を引き取った。
ちょっと切ない出会いと別れになってしまったが、その風変りでインパクト抜群の見た目と鮮やかな色彩は、私の記憶に強く残った。
以下に、『日本大百科全書』の『シイラ』の解説を引用させていただく。
『硬骨魚綱スズキ目シイラ科に属する海水魚。別名マンビキ。地方によりクマビキ、トウヤクなどとよぶ。皮膚が堅く、よく側扁(そくへん)して薄身であることが粃(しいな)(十分に実らない籾(もみ))に似ていることから、シイラの名が生まれたという。
背びれの基底が長く、目の背方から始まって尾柄(びへい)に終わること、尾びれが深く切れ込むこと、成熟した雄では前頭部の背縁が著しく隆起することなどが特徴。全長2.1メートル、40キログラム前後になる。近似種に全長約90センチメートルのエビスシイラCoryphaena equiselisがある。シイラよりも体が高くて、丸く、より沖合いに生息する。漁獲量はシイラより少ない。
世界中の熱帯から温帯にかけて分布し、おもに外洋にすむ。大きな回遊をし、水温18℃になる春に日本近海へ来遊する。潮目付近で小さな群れを組む。また海面を漂う木材、舟、海藻などの固形物につく習性がある。肉食性で、幼魚は流れ藻につく魚類やエビ類、イカ類などの幼・稚魚を、体長約40センチメートル以上の個体はカタクチイワシ、マイワシ、トビウオ類などの中型魚類をよく食べる。摂餌は日中よりも、早朝のほうが活発である。
産卵期は熱帯では長いが、日本近海では春から夏に限られる。全長75センチメートル前後に成長したころから成熟する。卵は分離浮性で球形をし、直径1.4ミリメートル前後。受精後2日余りで孵化(ふか)し、4日目に卵黄を吸収する。ふ化仔魚(しぎょ)は全長4ミリメートルたらずで、尾柄(びへい)部を除く体側はたくさんの黒色素胞(こくしきそほう)で被われる。全長約13ミリメートルくらいになると体側に13本ほどの横帯があらわれる。日本の沖合いでは稚仔魚は7、8月ごろに多い。
日本では1万トン前後の漁獲があり、太平洋の南部と山陰の沖合いに多い。漁期は5月から11月にわたる。タケを組み合わせた漬(つけ)木を沖合いに浮かべ、これに集まったシイラを釣りまたは網によって漁獲する。これをシイラ漬漁法といい、シイラが物陰に集まる習性を利用したものである。ほかに巻網、定置網、巾着網などによる漁獲量は多い。
新鮮な刺身は美味であり、酢じょうゆで食べる。干物にもする。ハワイではマヒマヒとよばれ、ソテーやフライにする。[落合 明・尼岡邦夫]』
(2025年8月)
