シロメバル
特徴
(写真:2022年8月中旬、三番瀬で採集。全長約8cm。写真は死んでしまった個体を冷凍保存し、その後解凍して撮影したもの。そのため生時の体色やツヤ、鮮やかさは失われてしまっている。目盛りは5mm)
レア度:? 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 メバル科 学名:Sebastes cheni 英名:Japanese rockfish? よく見られる季節:4~5月(幼魚)
後述するが、今まで「メバル」として1種にまとめられていたものが2008年に「アカメバル」、「シロメバル」、「クロメバル」の3種に分けられた。
今まで浦安には何メバルがいるかはよく分かっていなかったが、死亡個体が入手できたので(ごめんね)その形態を詳しく見てみたところ、本種が「シロメバル」であることが分かった。そのため既存の「メバル(の一種)」とは別に「シロメバル」のページを作成することにした。
(追記:2024年3月22日)写真の個体に加えて、2022年~2023年に三番瀬で採集された2個体の「メバル(の一種)」を詳しく同定してみたところ、そのいずれもシロメバルであった。感覚的にはなるが、浦安周辺で見られるメバルはシロメバルっぽいものが多い気がする。
シロメバルは全長30cmほどまで成長するが。大きな顔と口、そして何より大きな眼が特徴。その眼の大きさから「目張(めばる)」の名前が付いた。
シロメバルを含むメバル類は「メバルの煮付け」などの料理で食卓にも馴染み深い魚だが、近年は高級魚として扱われることが多いので、食べる機会はそんなにないかもしれない。成長の遅い魚と言われており(個人的には疑問だが)、地域にもよるが20cmを超えるのに5年ほどかかると言われている。
浦安では4~5月に3~4cmほどのメバルの一種の幼魚をよく目にする。特に三番瀬で海底に沈んだ「オゴノリ」やアオサ類などの海藻のかたまりを網ですくうと、その中から見つかることが多い。また夏~秋季に三番瀬南東のテトラポッド帯の水中を観察してみたところ、敷石の間に隠れる全長10~15cmのメバルの一種をポツポツ目と目にする。
あと数は多くないものの、冬~春にかけては浦安沿岸で釣ることも可能らしい(私はまだ釣ったことないが)。冬の魚というイメージが強いが、メバル自体は周年釣れる。ただメバルは低水温に適応しているので(沿岸の生息するメバルの適水温は14℃前後らしい)、水温が下がって他の魚が釣れなくなる冬場でも釣れることから、そのようなイメージが付いたのではないだろうか。
食性は肉食性で、場所によりその食性も変化するが、幼魚は主に小型の甲殻類を、そして成魚にになるとエビやカニなどの甲殻類や小魚、小型のイカなどを大きな口で丸呑みにする。このような食性からルアーフィッシングの対象魚としても人気がある。
メバル類は「カサゴ」など同じく卵胎生(らんたいせい)で、冬に交尾したメスは体内で卵を孵化させ、交尾の1ヶ月後ぐらいに5mmほどの稚魚を出産するそうだ。
(2022年12月)
(2024年3月)
3種類の「メバル」
(写真:過去に山口県の磯で捕獲したメバル。全長約25cm。場所や体色から「クロメバル」だろうか?)
先に書いた通り、メバルには体色や生息場所などが異なる3つのタイプがあると言われていて、海に潜ってよくメバルを見ていた私も同じ印象を持っていた。
専門家達による議論が繰り返された末、とうとう2008年にそれらのメバルに遺伝子的に違いがあることが判明し、今まで「メバル」として1種にまとめられていたものが、「アカメバル」、「シロメバル」、「クロメバル」の3種に分けられた。
ざっと違いを説明すると、まず「アカメバル」は体色が赤っぽく(金色っぽくもある)、胸びれの柔らかい筋(軟条(なんじょう))の数が15本(が多い)で尻びれの軟条が7本。また個人的には穏やかな藻場やアマモ場に生息しているイメージがある。
次に「シロメバル」は体色が白っぽく、胸びれの軟条が17本(が多い)で臀びれの軟条が8本。
そして「クロメバル」は体色が黒っぽく、胸鰭の軟条が16本(が多い)で臀びれの軟条が7もしくは8本。個人的には主に岩礁域に生息していて、遊泳性が高い印象がある。
ただ体色は成長段階や生息環境で変わることもあるし、正直見た目で判断するのはちょっと難しい。見分けには上記にあるよう、ひれの軟条の数を数えるのが有効だが、そのためには魚に手で触れて確かめる必要があり、小さな幼魚にはそれがかなり負担となるので、私は今まで行っていなかった。そんな理由から、私は浦安で採集したメバルを「メバル(の一種)」と紹介していた。
せっかくなので、胃を開いて何を食べているのか調べてみた。このシロメバルの胃からは「イサザアミ」(の一種)という小型の甲殻類が多数見つかった。目盛りは0.5mm