シログチ(イシモチ)

特徴

(写真:2015年9月下旬、三番瀬で採集。全長約8cm。シログチ(イシモチ)の幼魚と思われる。三番瀬でワーム(ルアーの一種)をエサにしたハゼ釣り仕掛けを適当に投げていたら釣れた)

レア度:★★★★★ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ニベ科 学名:Pennahia argentata 英名:Silver croaker よく見られる季節:5~8月

(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)

全長40cmほどまで成長する。「シログチ」と言われてもピンと来ないが、「イシモチ」と聞くと「あぁ!あの魚か!」となる人も多いと思う。実はシログチの方が正式名称で、イシモチは通称である(昔はイシモチが正式名称だったそうな)。

釣り上げると鰾(うきぶくろ)を使ってグウグウ鳴き、これが愚痴をいっているようなので「白愚痴」の名前が付いたらしい。

またイシモチという呼び名については、シログチは耳石(じせき)という魚の頭の中にある石のようなもの(体のバランスを取るための器官)が、他の魚に比べて大きいので「石持ち」の名前が付いた。耳石自体はほとんどの魚が持っており、木の年輪のように大きくなっていくことから、魚の年齢を調べたりするのに利用される。

実は「イシモチ」と呼ばれる魚はシログチ以外にも複数いるが、このシログチが「イシモチ」の中でも最もメジャーな種だと思う。

浦安では夏に投げ釣りをしていると時々釣れるそうだが、2015年~2023年の8年間で私が釣ったのは写真の幼魚ただ1匹だけ。他の釣り人が釣ったという話もあまり聞いたことがない。

食性は肉食性で、小魚、ゴカイ類、エビやカニなどの甲殻類、小型のイカなどを捕食する。産卵期は5~8月頃。

 

以下に、『日本大百科全書』の『シログチ』の解説の一部を引用させていただく。

『体はやや長く、側扁(そくへん)する。体色は銀白色で、鰓蓋(さいがい)部に大きい黒斑(こくはん)がある。下顎(かがく)の先端に頭部側線感覚系の3対の小孔があることが本種の特徴。また、口内が白いことでクログチ(口内が黒い)と区別される。

産卵期は5~8月。東シナ海では1年で体長16センチメートル、2年で24センチメートル、3年で27センチメートルに成長し、極限体長は33.6センチメートル。食性は肉食性で、小魚、テッポウエビ、シャコなどの表在性底生動物を捕食するが、胃の内容物中に占める魚類の比率は約25%である。

本種はニベ類中ではキグチに次いで多く漁獲されてきたが、乱獲の影響で漁獲量は減少している。日本の沿岸では投げ釣りや船釣りでかかる。水揚げ場が消費地に近いときは鮮魚として利用されるが、おもにかまぼこの原料にされる。[谷口順彦]』

(2020年1月)

(2024年3月)

採集する

(写真:2016年6月下旬採集。全長約30cm。この個体は江東区にある若洲海浜公園で釣ったもの。なかなかのビッグサイズである)

タモ網での採集は今のところ成功していない。個人がやるなら釣りでの採集になると思う。

基本的に海底付近にいる魚なので、ゴカイ類などをエサにした投げ釣りで狙うのが一般的。またシログチは夜行性で濁りを好むと言われており、雨後など海水が濁ったり、曇り空の時を狙うと釣れ易いとか。

私は浦安ではちっちゃな幼魚を1匹釣っただけだが、江東区にある若洲海浜公園では毎年初夏~夏にかけてシログチ釣りを楽しんでいた。この時期のシログチたちは短い距離を小規模な群れで回遊しているのか、1匹釣れるとバタバタ釣れ、その後しばらく釣れなくなるというのを繰り返す。

釣り方はルアーロッドなどを用いたちょい投げ釣りだ(たしか今は若洲で投げ釣りは禁止だったかな?)。仕掛けは5~8号オモリの天秤に、2~3本針のキス仕掛け(自作)を使っていた。

仕掛けを少し細めにして仕掛け全体が潮の流れによって漂い易くし(モトス1.5号、エダス0.8号、針はキス針6号~)、時々竿を軽くシャクってエサに動きをつけてやると食いが良かったように思う。

またシログチが近くに寄っているときは、5g~のジグヘット(オモリに針が付いたルアーの一種。通常はワームなどを刺して使用する)にアオイソメを付けて海底付近を泳がせるようにするとよく釣れた。

独特な顔をしているなぁと思う。この個体は背側の青緑色が美しい。エラ蓋縁辺や胸びれ、腹びれが黄色に色づく
ほぼ全身が光沢のある銀白色をしている。ウロコは大きくしっかりとしているが、やや剝がれやすい

食べる

(写真:2018年6月下旬撮影。釣ったシログチを1日寝かせてから、皮を炙って刺身にしてみた)

高級カマボコの原料などに利用されることの多い魚だが、もちろんそのまま食べても美味い魚。シログチらしい個性的な味がする。

オススメの料理第一は塩焼き。皮と身にまるでマスの塩焼のような香ばしさと強い旨みがあり、口に入れるとジューシーな脂が溢れ、非常に美味い。

また新鮮な大型のシログチが手に入ったらぜひ、刺身に挑戦してもらいたい。釣った当日はあまり旨味がないので、最低1日は寝かせてから、皮を炙って刺身にする。皮に強い旨味があり、炙ったことによる香ばしさ加え、さらに噛むほどに湧いてくる身の味に箸が止まらない。冷酒が飲みたくなる味だ。