ギンポ(大型個体)

特徴

(写真:2023年11月中旬、河口付近で採集。全長約17cm。大型と言うほど大型でもないが、このサイズの「ギンポ」が採集できるのは非常に稀なので、従来までの「ギンポ」とは別ページで紹介することにした(見た目も大分違うしね))

レア度:★★★★★ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ニシキギンポ科 学名:Pholis nebulosa 英名:Tidepool gunnel よく見られる季節:4~6月

最大で全長30cmほどになるようだ。写真の個体は2023年11月中旬に、河口付近に沈んでいた漁網の塊をタモ網で掬ったらその中に隠れていたもの。小型の「ギンポ」ならこれまでにイヤというほど捕まえてきたが、このサイズで「これはギンポだ!」と言えるもの採集したのは初めてかもしれない。なので別ページを作り紹介することにした。

捕まえた瞬間は「ダイナンギンポか?」と思ったが、「ダイナンギンポ」は側線が背中から腹側へ縦方向に走っており、それらがシワのように見えるという特徴があり、今回採集した個体にはそれが見られなかったので「ダイナンギンポ」は除外。

あと「ギンポ」は同属の「タケギンポ」と非常に良く似ており、どの図鑑やHPにも「同定が難しい」「同定は困難」などの記載がある。加えて私は「これはタケギンポです!」という実物を見たことがないので、さらに難易度は上がる。同定力も低いし。だが今回はちょっと頑張って、自分なりに本個体が「ギンポ」であるという結果に至ったので、その経緯を書かせていただきたい。

 

まずは①尾びれの違い。これは分かり易くて、「ギンポ」の尾びれは暗褐色で後縁が白く縁どられるが、「タケギンポ」の尾びれは全体的に褐色である。これは写真を見てもらえば分かるが、今回のケースではがっつり「ギンポ」の特徴に当てはまっている。

次に②眼の下に見られる暗色の横帯の有無。これは「タケギンポ」では割とハッキリした帯模様が見られるのに対し、「ギンポ」では横帯模様はないか、あっても不明瞭。これに関して写真の個体を見ると眼の下の模様が濃くなってはいるが、帯と言うよりは斑模様のようで、「タケギンポ」のそれとは異なると判断した。

そして③背びれの暗褐色模様の形。これは個体差もあるが「タケギンポ」では横長の長方形であるケースが多いのに対し(私が調べた限りでは)、「ギンポ」では三角形~三角形寄りの台形をしており、写真の個体の模様も「ギンポ」の特徴に合致すると思う。

あとは④体色と模様の雰囲気。これは口で説明するのが難しい。やや先入観もあると思うが、写真の個体の体色と模様は「ギンポ」っぽい。

他の分類形質としては、⑤「タケギンポ」の胸びれの方がやや小さく条数も異なる、⑥体側に並ぶ暗色の模様の形状、などがあるそうだが今回はそれを確認することはできなかった。

 

…どうだろう? 私的には高確率で「ギンポ」だと思うのだが。もし「違うよ!!」という方がいましたら、ご指摘いただけると嬉しいです。

(2024年2月)

水に入れて真上から撮影。太い!!(今まで捕まえた「ギンポ」に比べて)これなら天ぷらにして食えそうである
眼の下に見られる暗色の横帯に注目してみると、眼の下の模様が濃くなってはいるが、帯と言うよりは斑模様のようで、「タケギンポ」のそれとは異なると判断した

正面から撮影。胸びれの大きさやその条数も「タケギンポ」と異なるそうだが、写真からはそれを判断することはできなかった。よく見ると眼と眼の間あたりにウロコのようなものが見える

背びれの暗褐色模様の形を見ると、三角形~三角形寄りの台形をしており、これは「ギンポ」の特徴と合致する…と思う
尾びれは暗褐色で後縁が白く縁どられるのが「ギンポ」の特徴であるそうだが、写真の個体にもその特徴が見られる