チチブ

特徴

(写真:2017年4月中旬撮影。全長約9cm。どこで採集したのかは忘れてしまった。真っ黒で一見地味な魚だが、よく見ると所々美しい色彩を持っている)

レア度:★★★☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 学名:Tridentiger obscurus​ 英名:? よく見られる季節:5~10月?

全長12cmほどまで大きくなる。浦安では真冬以外なら河口や河川内、三番瀬の岸沿いなど様々なところで見られるが、数はそんなに多くない印象がある(個人的感想です)。ありふれた魚らしいがタモ網での採集だとゲットできることは意外と少ない。穴釣りなんかをするとたくさん釣れるのかな?

ただ私のよく行く採集場所の潮だまりの中にある特定の石をひっくり返すと、その下から高確率で見つかるので、「お、今日もいたね」という風に印象に残っている魚でもある。

体色は一見真っ黒だが、頭部には小さな白点が密在し、また胸びれの付け根に黄色~山吹色の明瞭な横帯が見られる。加えて第1背びれの棘条がオスメスともに糸状に伸びることも特徴。成熟した個体では背びれの上縁がオレンジや黄色、黄緑に薄く染まることがあり、よく見るとなかなか美しい魚だと思う。

チチブは「ヌマチチブ」という魚に姿がとても似ているらしく、それとの見分けは、①胸びれの付け根にある黄色の横帯がチチブでは黄色~山吹色の単色だが、「ヌマチチブ」では黄色の横帯の中に明瞭な枝分かれした橙色の線がある、②チチブでは第1背びれの棘条がオスメスともに糸状に伸びるが、「ヌマチチブ」ではオスのみ糸状に伸びる、という2点が挙げられる。ただ今のところ(2024年3月現在)、私は浦安で「ヌマチチブ」は発見していない。

チチブに話を戻すと、産卵期は5~9月頃で、オスは縄張りと巣を持ちメスを誘って巣の天井に産卵させる。その後卵が孵るまでオスが卵を保護する。

食性は雑食性で非常に貪欲であり、小さな魚や小型の甲殻類、藻類など様々なものを食べる。

ちなみにハゼ釣りの外道として「ダボハゼ」と呼ばれる魚の1つ。

(2020年1月)

(2024年3月)

頭部には小さな白点が密在し、また胸びれの付け根に黄色~山吹色の明瞭な横帯が見られる。加えて第1背びれの棘条がオスメスともに糸状に伸びることも特徴
成熟した個体では背びれの上縁がオレンジや黄色、黄緑に薄く染まることがあり、よく見るとなかなか美しい魚だと思う

採集する

(写真:2023年11月中旬に三番瀬で採集した個体。全長約5cm。この写真だと第1背びれの棘条が糸状に伸びる様子がよく分かる。そう、チチブは背びれが美しいんだよ)

私が生物採集をする場所では潮だまりにある大きめの石を引っくり返すと、その下に隠れていることが多い。しかもいつも特定の石の下から見つかる。ありふれた魚らしいがタモ網で採集できたことは意外と少ない。

また非常に貪欲な魚でエサを見つけるとすぐに食いつくので、釣りでの採集も面白い & 簡単かもしれない。河口や河川内の護岸際や、岩と岩との隙間などを狙う。エサは何でも良いが、エサ持ちの良いゴカイ類や、コスパ最強のベビーホタテの貝柱などを使うと良いのではないだろうか。最悪その辺にいる巻貝を潰してその身を使うという手もある(ホント何でも食う魚なので…)

あとはにはカキの身(そこら辺の護岸に付着しているカキを使う)をエサにしたペットボトルトラップ(びんどう)で採集したこともある。

飼育する

(写真:上の写真と同じ個体を正面から。ちょっとおマヌケな感じで愛嬌のある顔をしているが、その性格は…)

水の汚れにも強く配合飼料もすぐにバクバク食べるので、飼育は簡単だと思う。海水魚入門に適した魚かもしれない。

ただ大き欠点がある。それは非常に気が強く、縄張りも形成するため、他生物との混泳に向かないという点だ(これは飼育環境にもよるが…)。また貪欲で食欲も旺盛なため、自分の口に入るような生物なら魚類、甲殻類、その他etc 何でも食ってしまう。その性質から水槽内での成長も速く、「何か生き物が少ないなぁ」というチチブ帝国水槽が形成されやすい(小型水槽なら特に)

チチブと体サイズが同等、もしくは大きい生物たちとなら何とかやっていけると思う。現在(2024年3月)も120cm水槽にチチブを2匹入れているが、これだけの水槽の大きさがあればまぁ何とか混泳は可能。それでも水槽内の1/4ぐらいの範囲を支配領域においているが…。

身を隠せる洞窟のような隠れ家を好むので、飼育する場合はそのようなものを準備してやると良い。エサは本当に何でも食うので問題なし。高水温(28℃ぐらい)でも平気。慣れると人間を見つめるようにしてフワフワと漂うので可愛く見える時もある!