アカカマス

特徴

(写真:2019年9月中旬、日の出の海岸から釣りで採集。全長約13.5cm。メタルジグ(ルアーの一種)に食いついてきた。スケールは30cm定規)

レア度:★★★★☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 カマス科 学名:Sphyraena pinguis 英名:? よく見られる季節:8~10月

最大で40cmほどまでに成長する。食卓に馴染み深いカマスだが、日本でカマスというと、このアカカマスか「ヤマトカマス」のことを指すことが多い。

アカカマスの方が大型になり、脂の乗り、味ともに良いので「本カマス」とも呼ばれる(対して「ヤマトカマス」は「水カマス」と呼ばれる)。個体によっては魚体を触るとベタベタするほど脂が乗っていることから「アブラカマス」の別名もある。新鮮な大型のアカカマスは高級魚らしい。

ヤマトカマスとの見分けは第1背びれと腹びれの位置関係を見る。第1背びれより腹びれが前方に位置すればアカカマス、第1背びれと腹びれが同じ位置であればヤマトカマスだ。

アカカマスは鋭い歯を持つ獰猛な肉食魚で、小魚や小型のイカなどを捕食する。浦安では9月頃の夕方~夜間にルアーを投げていると釣れることがあり、写真のような小型のものも釣れるが、時に40cmクラスの大型が釣れることもある。

この時期は浦安だけでなく東京湾奥全体で岸から大きなアカカマスが釣れるようだ(おそらく「カタクチイワシ」などのエサとなる小魚の接岸が関係しているのだろう)(以上は2020年当時の状況で、現在の浦安におけるアカカマスの動向は不明)。

繁殖期は晩春~夏(6~8月頃)だそうだ。

(2020年1月)

(2024年1月)

体の前半部を拡大。頭部はエンピツの先端のように尖り、眼はギョロっと大きい。口の中には鋭い歯が並び、うっかり触ると流血することも。目盛りは1mm
体の後半部を拡大。ウロコは細かく剥がれやすい。各ひれは黄色味を帯びる。この個体は痩せ気味だね。目盛りは1mm

採集する

(写真:2018年11月下旬、江東区の若洲海浜公園にて釣りで採集。全長約45cm。特大サイズである。このような大型のアカカマスが浦安でも岸から釣れる)

基本的に少し沖合を泳いでいるので、タモ網での採集は難しい。個人がアカカマスを狙って採集するなら釣りしかないと思う。浦安だと夏から秋にかけて日の出や高洲の海岸など東京湾に面した場所で、回遊してきたものを拾い釣る感じになると思う。

釣り方は様々で、魚の切り身をエサにしたウキ釣り、生きた小魚をエサにした泳がせ釣り、カマスサビキを用いたサビキ釣り、大きな針がたくさんついた仕掛けで引っ掛ける引っ掛け釣り、ルアー釣りなどが挙げられる。

キラキラしたものや金色に良く反応するようで、金色のカマスサビキの先端にルアーの一種である「メタルジグ」を付けた、所謂「ジグサビキ」という仕掛けも手軽で有効。

釣り人にとってはそこそこ馴染みのある魚で、私も今まで日本各地でアカカマスを釣ってきた。個人的な印象としては釣れる釣れないのオンオフがはっきりとした魚で、釣れるときは(魚に食い気があるときは)どんな釣り方でもガンガン釣れるが、ゴールデンタイムを過ぎるとパタッと釣れなくなる(もちろん例外もある…外房の小〇港とか)。

ただ写真のような超大型個体は何気ない瞬間にポツッと釣れたりする。大型個体だと群れを形成しないのだろうか?

そういえば8~9月頃にアカカマスの子供かはわからないが、全長5cmほどのカマス系の幼魚を浅瀬で目にすることがある。それならタモ網で採集できるかもしれない(かなり動きが素早いが)。

食べる

(写真:冬に外房で釣ったアカカマスの干物。サイズ、脂の乗り共に丁度良く非常に美味であった)

干物や塩焼きにしてとても美味しい魚。大型の新鮮なアカカマスが手に入ったら、個人的には刺身をオススメしたい。それも皮を炙った刺身だ。

釣ったものなら、釣り場で血抜きしウロコと内臓を取り除いてしまうと良い(カマスは内臓の腐敗が速いので)。そしてすぐにクーラーボックスに入れしっかり保冷する。

まず三枚に卸したら腹骨と中骨を取り除いて、皮に横方向に切り目を入れる(炙った際に皮が縮むので)。そして皮目に塩をパラパラと振りかけて、皮をガスバーナで炙る(串を打ってコンロで炙ってもいい)。

炙ったらすぐに氷水にとって、水気をしっかり拭き取る(水に浸けると水っぽくなるので冷凍庫に数十秒~1分ほど入れるという方法もある)。そして切って盛り付ければ完成。カマスは皮に強い旨みがあり、炙った香ばしさと相まって非常に美味い。

あとは干物もオススメ。20cmぐらいのアカカマスを背開きでも腹開きでもどちらでも良いので開いたら、内蔵と血合いをキレイに取り除く。そして15%の塩水に15分ぐらい(だったかな?調べてみてください)浸けて、水分を良く拭き取って干す。

一晩ぐらい干して表面がベタベタしなくなったら完成。気温が高い時期(初夏~秋)は屋外に干すと腐ってしまう可能性がるので、冷蔵庫干しにすると良い。

あとは頭や背骨をカリカリに揚げて骨せんべいみたいにするのも美味しい。また内蔵もしっかりと処理をすれば美味しくいただくことができるそうだ(私は試したことないが)。

ただ東京湾奥で釣れる大型のアカカマスの中には脂が乗り過ぎという個体もいるので、もしかしたら上記の料理法が合わない場合もあるかもしれない。以前、東京湾奥で釣った40cmクラスのアカカマスを塩焼きにしたら、脂がすごすぎて揚げ物みたいになってしまった。まぁ美味しかったんだけどね。