ゴカイの一種⑦

特徴

(写真:2020年3月上旬、河口付近で採集。全長約60mm。釣具屋で売られている「アオイソメ(アオゴカイ)」によく似ているが、どうも違う種のようだ)

レア度:★★☆☆☆ 環形動物門 多毛綱 学名:? 英名:? よく見られる季節:一年中?

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種類不明。護岸に付着している「マガキ」をはがすと、その裏からよく見つかる。「マガキ」の貝殻の凹凸を住処としているようだ。見つかるサイズは様々で、2~3cmの短いものから10cmほどのものもいる(そのすべてが同じ種類なのかは確証はないが)。

高温や高塩分など、環境の変化に非常に強く、夏場に護岸上にできた潮だまりとも言えないような、温水の水溜りの中でも平気で生活している。そのため飼育(というか保管)も楽なので、ときどき飼育生物の餌付け用のエサや釣りエサとして利用することがある。

見た目は私達がイメージする「典型的なゴカイ」といった感じで、個人的には釣りエサとしてよく利用されている「アオイソメ(アオゴカイ)」によく似ているなぁと思う。

背面は暗い緑色や赤茶色をしており、腹面はピンク~赤っぽい。

頭部には触手が左右4対合計8本あり、口には大きなキバが2本ある(下の写真参照)。

みなさんにお伝えしなくてはならないことがある。ゴカイ類(多毛類)というのはまだまだ未知の部分が多い生物群で、研究者の数もが少ないため研究も十分には進んでおらず、さらにまだ発見同定されていない種(未記載種)が大量にいることが推測されている(2023年現在)。

またゴカイ類(多毛類)を正確に同定するには、その道のプロフェッショナルが顕微鏡下で「口の周りにある黒い点の数が~」や「体側にある疣足の先端の形状が~」というのを確認したり、動き方やどのような場所(底質)にいたかなど様々なファクターを総合して判断する必要がある。

つまり超マニアックな世界で、私などが「これは~ゴカイです!!」なんて迂闊には言えない領域なのだ!!…というのを現在(2023年)になってようやく自戒している。なのでこのページに書いてあることは話半分に聞いて、是非論文や専門家の方の解説等を参考にして欲しい!! ちなみにゴカイ類(多毛類)の研究者の間では採集したゴカイ類(多毛類)を生きたまま食べる風習があるとかないとか…(「魚に人気があるヤツはやっぱり美味いですよ!」って言っていたなぁ…)。

(2023年9月)

頭部には触手が左右4本ずつ、合計8本ある。
口には大きなキバを持つ

飼育する

飼育…というか、水槽の生物のエサや釣りエサとして利用するために、採集して短期間保管することがある。

保管方法は単純で、発泡スチロールの箱に綺麗な海水を少し注ぎ(この辺の海の水だと水がすぐ腐るので注意)、その中に入れておくだけ。この時箱を少し傾けて、水に浸からない部分も作っておくのもポイント。

夏場でも保冷材などは必要ない。毎日海水を交換してやり、ゴカイの体に海水をかけて湿らせてやれば、1週間以上はもつ。

ただ欲に駆られて、このゴカイを採るために必要以上にカキ(「マガキ」)を剥がしてはいけない。このゴカイの成長スピードはわからないが、カキがこのゴカイの隠れ家になるようなサイズまで成長するには1年以上かかるだろう(養殖でも7~8ヶ月ぐらいはかかるそうだ)。

カキが無くなり真っ平らになった護岸は、生物の数がとても少なくなってしまうし、再びカキの幼生も着生しにくいだろう。

効果があるかは分からないが、私は剥がしたカキの生存率が少しでも上がるように、採集後はカキをなるべく動かないよう、波あたりの弱い場所に固めてから現場を去るようにしている。