ムシモドキイソギンチャクの一種①

特徴

(写真:2022年4月下旬、三番瀬で採集。大きさ約1.3cm。これは触手を縮めた状態なのだろうか。私にはどちらが上か分からない。体表に砂粒がくっついている。目盛りは1cm)

レア度:? 刺胞動物門 花虫綱 イソギンチャク目 ムシモドキイソギンチャク科 学名:? 英名:? よく見られる季節:?

2022年5月下旬に行われた三番瀬生物調査で、「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんが採集。私が捕まえたのではないので、採集時の詳しい様子は分からない。この日は非常によく潮が引き、私が今まで見た中で一番じゃないか?というぐらい、広大な干潟が姿を現した。

発見した個体は、体壁はやや薄い黄土色で、その表面には砂粒が多数付着していた。また体壁?の片端(写真左側)は黒っぽい色でその先に半透明の袋状の物体が見える。

おそらく写真の個体は、触手などを縮めた状態なのだろうが、ムシモドキイソギンチャクについて全く知識のない私には判断が難しい。なので以下に、『日本大百科全書』の『ムシモドキイソギンチャク』の解説を引用させていただく。

『刺胞(しほう)動物門 花虫(はなむし)綱 六放サンゴ亜綱 イソギンチャク目 ムシモドキギンチャク科に属する海産動物。

隔膜糸内縁に三叉(さんさ)状の繊毛帯をもち、第2環列以後の隔膜が外腔にのみ発達してくるイマイソギンチャク類のうち、虫体下端が砂泥地に埋まって生活するように適応した丸い底球となり、槍糸(やりいと)を欠き、触手をもち、周口筋を欠き、8枚の完全隔膜をもつことを特徴とするムシモドキギンチャク科の1種である。

体が細長く、頭部、幹部、底球の3部に分けられ、幹部にはその中膠(ちゅうこう)内に埋まった凹部に大形の刺胞を蓄えた刺胞弾を散在させるEdwardsia属の仲間で、口盤近くにある小隔膜に不対隔膜をもつことを特長とするEdwardsioides属に属する。

この種は相(さがみ)湾および女川(おながわ)湾の浅海の砂泥底に産し、体長24ミリメートル、径4ミリメートルで、幹部は黄褐色の分泌物に覆われる。触手は短くて16~20本。刺胞弾は幹部全面に散在するが、小さく肉眼では見えない。

幹部の全長にわたり、よく発達した筋旗(きんき)をもつ8枚の完全隔膜が走り、虫体最上部の口盤付近にのみ発達の悪い第2環列の隔膜を備える。完全隔膜のうち背腹の4枚は2対の方向隔膜となるが、側方の4枚は対(つい)をなさない。

ムシモドキギンチャク科は、足盤をもたず砂泥底の生活に適応したいくつかの科のなかではかなり古くに分化して、原始的な形質を多く残した科であると考えられる。[内田紘臣]』

(2022年11月)

反対側から撮影。体壁に砂粒が多数付着している
半透明の球状になっている部分を拡大。こちらが下側だろうか?
球状の部分の反対側を拡大。こちらが上側で、触手が縮んでいるのだろうか?