シロボヤ

特徴

(写真:2020年3月上旬採集。高さ約8cm。3匹のシロボヤが隣あってくっついている)

レア度:★★☆☆☆ 脊索動物門 ホヤ綱 マボヤ目 シロボヤ/スチエラ科 学名:Styela plicata 英名:? よく見られる季節:一年中?

【この生物の解説動画はこちらから】

最大で10cmほどになるらしい。北海道を除く日本全国に生息するホヤの一種で、浦安でも岸壁や「マガキ」の貝殻などに付着しているのをよく見かける。台風などで海が荒れた時には、海岸に大量のシロボヤが漂着することもある。

形は楕円形で体の表面はボコボコしている。体色は白や薄茶色をしており、表面に泥のような汚れがついていることも多い。

手触りは革のように硬く、刺激を与えると2本の水管(入水孔と出水孔)を縮ませる。入水孔(長い方)で水中のプランクトンなどを海水ごと体内に取り込み濾し取って食べ、出水孔(短い方)から海水や排泄物を出す。

実はシロボヤは食べられるホヤで、韓国では炒めたり鍋に入れたりして食べているらしい(個人的にはあまり食欲をそそられない見た目だが…)。

最後にホヤとはどんな生物なのか説明しておきたい。『Wikipedia』にの解説を引用させてもらうと、

『ホヤ』とは『餌を含む海水の入り口である入水孔と出口である出水孔を持ち、体は被嚢(ひのう)と呼ばれる組織で覆われている。成長過程で変態する動物として知られ、幼生はオタマジャクシ様の形態を示し遊泳する。幼生は眼点、平衡器、背側神経、筋肉、脊索などの組織をもつ。成体は海底の岩などに固着し、植物の一種とさえ誤認されるような外観を持つ。

成体は、脊索動物の特徴である内柱や鰓裂をはじめ、心臓、生殖器官、神経節、消化器官などをもつ。脊椎動物に近縁であり、生物学の研究材料として有用。血液(血球中)にバナジウムを高濃度に含む種類がある。現在確認されている中では、体内でセルロースを生成することのできる唯一の動物であり、これは遺伝子の水平伝播を示唆していると考えられている。

生活様式は、群体で生活するものと単体で生活するものがある。単体ホヤは有性生殖を行い、群体ホヤは有性生殖、無性生殖の両方を行う。世界中の海に生息し、生息域は潮下帯から深海まで様々。多くのホヤは植物プランクトンやデトリタスを餌としている。』とのこと。

ホヤという生物はヘンテコな見た目をしているが人間や魚と同じ脊索動物で、体内には多様な内蔵を持ち色々な研究に利用されているという、実はすごい生物なのだ。

(2020年2月)

刺激を与えると写真のようにグッとしぼむ。この状態での手触りはかなり硬く、表面は革のような感じ
自宅水槽で飼育していたら、糞をするシーンを撮影することができた。出水管からヒモ状の糞を出し、しばらくそのままかと思えば、突然それをヒュっと水中へ飛ばす

採集する

(写真:2本の水管を伸ばし呼吸するシロボヤ。上側の長い方が入水孔、下側が出水孔だ)

垂直護岸や岩の上、「マガキ」の貝殻に付着しているのをよく見かける。

採集するときは白ボヤがちぎれないようにやさしくむしり取る。スクレーパーなどを使ってシロボヤの根元からはがすと良いかもしれない。一番良いのはシロボヤが付着している基質(カキ殻や石など)ごと採集すること。

また浅瀬や波打ち際に、海藻などと一緒に転がっていることもある。

飼育する

(写真:2019年6月撮影。シロボヤを真上から撮影した)

三番瀬水槽では過去に何度か飼育したことがある。特別な世話をしなくても、かなり長期間生きている(半年以上)。

ただやはり水槽という環境ではエサとなるプランクトンなどがほとんどないため、栄養不足のためか、だんだんと体が小さくなっていってしまう。

シロボヤが他の生物に害を与えるのは見たことがないが、逆に「クロダイ」「メジナ」につつかれたり、かじられることが多い。

自分で移動することのできない生物だと思われがちだが、石などの近くに置いてやると、自分で石に登って?丁度良い位置に付着する。