フサコケムシの一種③

特徴

(写真:2024年6月中旬採集。幅約8cm、高さ約6cm。一見海藻のように見えるが、小さな「個虫(こちゅう)と呼ばれる動物体が連なったもの。マリモのような塊になって岸近くの浅瀬で波に揺られていたのを拾った)

レア度:? 苔虫動物門 裸喉綱 唇口目 学名:? 英名:? よく見られる季節:?

種類不明。どれほどまで大きくなるかはわからない。ただ同様の見た目のものは割と頻繁に見かける印象がある(それらが全て同種かは不明だが)。

写真の個体は2024年6月中旬に三番瀬で採集したもの。岸近くの水深が30cmに満たないようなところを歩いていると、水中に赤黒いマリモのような塊を発見。見てすぐ「あ~よく見るコケムシ類だな」と思ったが、こんなにギッチリと詰まった塊を発見したのは初めてかもしれない。

こういったコケムシ類の塊の中にはドロクダムシ類やワレカラ類など様々な微小な生物が隠れているので、それらを目当てにこの塊を採集することにした。ちなみに自宅に持ち帰ってざっと調べて見ると、この塊の中からはヒラムシ類、ゴカイ類、ヨコエビ類、ドロクダムシ類、ワレカラ類、クモヒトデ類が出現した。

 

さて、このフサコケムシの一種は一見海藻のようだが、この姿は小さな「個虫(こちゅう)」と呼ばれる動物体が連なって、植物のような群体を形成している。触るとガリガリザラザラしており、脆く折れやすい針金のような感触だ。

浦安沿岸では薄い褐色をしたタイプのフサコケムシの一種がよく見つかるのだが、今回のような赤褐色をしたものや、暗い紫色をしたものも見つかる。

 

以下に『日本大百科全書』の『コケムシ』の解説の一部を引用させていただく。

『触手動物門の1綱Bryozoaおよびそれに属する種類の総称。水にすむ群体性の付着動物で、多虫類Polyzoa、外肛類(がいこうるい)Ectoproctaの別名もある。

個虫とよばれる体長1ミリメートル以下の動物体が無性出芽によって数を増やし、被覆状、樹枝状、塊状などさまざまな形の群体をつくる。群体は石、貝殻、海藻などの表面に固着し、一見、陸生植物のコケに似ているのでこの名があり、苔形(こけがた)動物ともよばれる。[馬渡峻輔]』

(2024年9月)

塊の上の方を拡大

さらに拡大。こう見るとミニチュア版サンゴのような見た目だ
群体の先端部を拡大。よく見ると先端にワレカラ類がくっついていた(「マルエラワレカラ」かな?)

群体の先端部をさらに拡大。小さな「個虫(こちゅう)」と呼ばれる動物体が連なって植物のような群体を形成しているのが分かる。