タマハハキモク
特徴
(写真:2023年3月中旬、三番で採集。長さ約80cm。今のところ(2024年6月)タマハハキモクのような大型褐藻類が三番瀬浦安側に生えているのは確認していないので、おそらく高洲のテトラ帯などに生えていたものが流されてきたのだろう)
レア度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆ オクロ植物門 褐藻綱 ヒバマタ目 ホンダワラ科 学名:Sargassum muticum 英名:Japanese seaweed よく見られる季節:冬~初夏(真夏は枯れてほとんど見なくなる)
(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)
海外では最大で4mにまで達する大型のホンダワラ類の一種。私は写真の海藻を長い間「スナビキモク」と勘違いしていたのだが、色々な人の話を聞いたり、資料を見返したり、実際にサンプルを採集してみた結果、「スナビキモク」ではなくタマハハキモクという結論にようやく行き着くことができた(思い込みはいけない。そして海藻怖い)。
このタマハハキモク、浦安市何の境川を挟んで高洲側のテトラポット下の敷石上にはたくさん生えているのに対し、日の出側の敷石にはほとんど(全く?)生えていない。おそらくこれは高洲側の敷石は大潮の干潮でも水没している(干上がらない)のに対し、日の出側の敷石は大潮の干潮時に完全に露出して干上がってしまうことが多々あることから、スナビキモクが生育できないのではと推測している。
ただ日の出側にも少しぐらい生えていても良さそうな気もするが…。もしかしたらそれ以外に潮の流れや、濁り、栄養塩(例えば見明川からの栄養が流れて来てるとか)など複数の要因が関係しているのかもしれない。
スナビキモクのようなホンダワラ類がたくさん生えている場所を藻場の中でも「ガラモ場」というが、ガラモ場は様々な生物の隠れ場所や産卵場所になったり、大型褐藻類が水中の窒素やリンなどの栄養を吸収して光合成を行うことで、水の浄化や酸素を供給する役割も果たしている。
また海藻自体が巻貝や小型甲殻類や微生物のエサになり、さらにそれを捕食する魚類も集まってくるため、ガラモ場は沿岸生態系にとって非常に重要な要素の一つとなっている。そして何より水中を泳いで観察すると色々な生物が潜んでいるのでめちゃくちゃ楽しい。
ガラモ場というには海藻の量や密度が少々足りないかもしれないが、それでも東京湾最奥の浦安にこのような環境があることに感動と嬉しさを感じた。
タマハハキモク特徴については以下の写真と解説を参照。
(2020年3月)
(2024年6月)
採集する
(写真:2020年2月下旬撮影。高洲の海岸のテトラポッド下の敷石上に繁茂するタマハハキモク?。やはりこういう大型褐藻類が生えていると「いい雰囲気」がする)
高洲から三番瀬浦安側の護岸ちぎれて流されてきたものが漂着しているのをときどき見かける。そういったものであれば見つけて拾えば良いだけ。
活きのいいものを採集したければ潮が大きく引いたときに生えている場所へ行って、スクレーパーなどで藻体の下部末端の付着器を傷つけないように剥がす。ただこの作業は非常に足元が滑りやすく、大事故に繋がる可能性があるのでおススメはしない。
あと地域によっては海藻類にも漁業権が掛かっている場合や、採捕してはいけない海藻類などが決められている場合もあるので事前確認が必要。それと海藻が無くなるということは様々な生物の”生存するための糧”を奪っていることと同意なので採り過ぎは慎みたい。
食べる
(写真:2023年6月中旬撮影。同年5月中に採集したタマハハキモクを自宅水槽4号に入れた時の様子。海藻を育てる設備が全くない水槽でも意外と長持ちした(1ヵ月ほど)。ただ海藻を食う生物がいるとすぐバラバラに細切れにされてしまう)
タマハハキモクと同じホンダワラ科の「アカモク」や「ジョロモク」などは地方で食べられているので、スナビキモクもいけるだろうと思い食べてみることにした。葉の部分は異物や砂がたくさん付いていそうなので、枝の部分をよく洗って生で食べてみることに。
食感は細いキャラブキのよう。噛むと程よい塩気と強い磯の旨みがしてくる。味の例えが難しいが、美味い。「ホンダワラ類の味」って感じだ(わかりませんよね)。食糧難になったら採集する生物リスト入りだなこれは。