コブヨコバサミ

特徴

(写真:2018年6月中旬採集。約6cm(貝殻の大きさ))

レア度:★★★★☆ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 ヤドカリ科 ヨコバサミ属 学名: Pagurus infraspinatus 英名:? よく見られる季節:6~9月

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貝殻をいれると大人の握りこぶしぐらいにまで成長する大型のヤドカリ。正面から見るとハサミが横向きに見えるので「横バサミ」、さらにそのハサミにトゲ状の突起がたくさんあるので「コブ横バサミ」の名前が付いたらしい。しかし私にはハサミの向きに関して他のヤドカリとの違いがイマイチよくわからなかった。

私が今まで浦安で発見したコブヨコバサミは全て「アカニシ」の貝殻に入っていた。この辺りは「アカニシ」の個体数が多いので、宿として利用しやすいのだろう。というかそれ以外に大型の巻貝をなかなか見ないので、それぐらいしか利用できる貝がないのかもしれない(あとは「ツメタガイ」の貝殻を利用している個体も見たことがある)。別の地域だとどんな貝殻を利用しているのだろうか?

雑食性で様々なものを食べるようだが、具体的に何を食べるかまでは調べても分からなかった(飼育下だとフレークや粒タイプの配合飼料、クリル(乾燥エビ)、微小藻類、シアノバクテリア、生物の死骸など色々食べた)。

そんなに頻繁に見かけるヤドカリではないのでレア度はやや高めだが、時期によっては一箇所に2~3匹かたまって見つかることもある。

(2020年1月)

コブヨコバサミのハサミ。トゲ状の突起が多数あり、またその先端から太い毛が生えている
コブヨコバサミのハサミ。殻は硬く頑丈そうだ
2021年4月上旬採集。コブヨコバサミの子供。約1㎝(貝殻の大きさ)。三番瀬での調査採集中、小型の「ユビナガホンヤドカリ」に紛れて、雰囲気の違う1匹のヤドカリを発見。その後にそれがコブヨコバサミの子供であることが判明した。このようなサイズのコブヨコバサミが見つかることはかなりレアだそうだ。目盛りは5mm
コブヨコバサミの子供。約1㎝(貝殻の大きさ)。目盛りは5mm

採集する

採集はシンプル。見つけて手やタモ網で捕まえるだけ。

移動して逃げるようなこともほとんどなく、人間が近づくと貝殻の中に隠れて動かなくなる。偏光サングラスなどを装備して水中を見やすくすると発見しやすい。

目が慣れてくると、コブヨコバサミが入っている「アカニシ」の貝殻とそうでない貝殻の違い(雰囲気)が分かるようになってくる。

飼育する

(写真:新しい貝殻に引っ越したばかりのコブヨコバサミ)

大きな体の割に性格はおとなしく、三番瀬水槽では他の生物を襲ったりしたことはない(今のところ)。特別な世話をしなくても、石に生えた苔やエサの食べ残し、砂の中のデトリタスなどを勝手に食べて成長してくれる。一時期市役所水槽に赤いとろろ昆布のような藻類が大発生して困っていたが、コブヨコバサミがキレイさっぱり食べてくれたこともあった。

水槽には引越し用の貝殻をいくつか入れておくと良い。飼育を続けていると結構頻繁に引越しをし、サイズが合わない以外の理由でも引越しをするように思う。引越しという行為自体がストレスの発散やコブヨコバサミ自身に何か良い影響を与えるのかもれない。気になる貝殻を見つけると、内見のごとくじっくり時間をかけて貝殻をチェックする。しかし引越しは一瞬なのには笑った。

大きなヤドカリだが、やはり引越しの際は無防備になるらしく、過去に引越し中に「クロダイ」の餌食になってしまったことがあるので大型の魚類との混泳には注意したい。また「クロダイ」の他に同サイズのカニに襲われて死んでしまったもあった。

余談だが、ヤドカリ類は脱皮をするのだが、コブヨコバサミの脱皮殻は生きている姿とそっくりなので、脱皮殻を死体と勘違いしてしまうということが過去に何度もあった(下の写真参照)。個人的にコブヨコバサミはお気に入りの生物なので、脱皮の度にヒヤヒヤさせてくれる。

(追記:2021年6月1日)上に「性格はおとなしい」と書いたが、一概にそうとも言えないようだ。というのも、他の人の水槽で飼っているコブヨコバサミと接する機会があったのだが、そのコブヨコバサミは頻繁に動き回り、人の姿を見ると「エサをくれ!」と言わんばかりに水槽のカベを引っ掻く。さらに水槽に手を入れると、手に掴みかかり指をハサミで挟まれてしまった。力はなかなか強くかなり痛い。痛さレベルでいうと「イソガニ(♂)」以上、「イシガニ」未満といったところ。軽く血が滲むほどだった(笑)

これは個体差によるものなのか? 飼っている環境や混泳生物、水温などによっても行動は変化するのかもしれない。ちなみにそのコブヨコバサミは女性の握りこぶしほどあり、30㎝キューブ水槽で小さめのカニやエビと一緒に飼育されていた。当時の水温は25℃。自分を脅かす生物が水槽内にいないと、あんな風になるのかなぁ。

コブヨコバサミの脱皮殻。生きている時とソックリなため、これが水槽内に転がっていると「死んじまったか!?」と毎回ヒヤヒヤさせられる

非常に状態の良い脱皮殻で、第4?第5?胸脚も残っていた(写真右)