ツバクロエイ

特徴

(写真:2018年8月中旬、三番瀬で採集。横幅約60cm。ルアー釣りで採集。ステルス戦闘機のような形だ。よく見ると短い尾が白と黒のシマ模様のようになっている)

レア度:★★★★★★★☆☆☆ 脊索動物門 軟骨魚綱 トビエイ目 ツバクロエイ科 学名:Gymnura japonica 英名:Japanese butterflyra よく見られる季節:6~9月

最大で全長1m、横幅は2m近くにまで達する。「ツバクロ」とはツバメを表す古語であり、横に大きく広がった体がツバメをイメージさせるため「ツバクロエイ」の名前が付いたらしい。また尾がシマ模様をしているのも本種の特徴。海底の色に合わせて体色もある程度変化させることができるらしい。

浦安周辺では水温が高くなる初夏~夏に河口や海沿いの浅い場所でしばしば目にする。以前、河口付近で横幅が1.5mはあろうかという巨大なツバクロエイを目撃したことがある。その時は生物採集していたら、自分のすぐ横にいきなりぬっと現れたのでかなり脅かされた。

また2018年8月のある日、三番瀬で「クロダイ」狙いのルアー釣りをしていたら、短時間にツバクロエイを3匹も釣ってしまったこともある。水温が高くなる時期の三番瀬の浅瀬には、想像以上にたくさんのツバクロエイがいるのかもしれない。

「アカエイ」などと同様、尾の付け根に毒針があり刺されると危険だが、毒針は小さく短い。こんな針で役に立つのかなと思ってしまう(下の写真参照)。

食性に関しては詳しくは分からなかったが、砂泥地に多く生息していることやルアーにもアタックしてくることから、貝類や、エビ、カニなどの甲殻類、小型の魚類などを捕食しているのではないかと考えている。

 

以下に、『改訂版 世界大百科全書』の『ツバクロエイ』の解説の引用させていただく。

『エイ目 アカエイ科 ツバクロエイ属 Gymnuraに属する海産魚の総称、またはそのうちの1種を指す。名は体板が広くツバメの飛ぶように見えることに由来する。英名はbutterfly rayでやはり広い体板にちなんでいる。

世界に10種ほど分布するが、日本近海にはツバクロエイG.japonicaとオナガツバクロG.poeciluraの2種が分布する。以前は別種とされていたメガネツバクロはツバクロエイと同物異名であることが判明。オナガツバクロは体板ほどのやや長い尾部をもつので、ツバクロエイと容易に区別される。いずれも体板の幅が長さの2倍あり、背びれと尾びれを欠き、うろこもなく、尾部に毒針のあるのが特徴である。

ツバクロエイは本州中部以南中国にまで分布するが、オナガツバクロは九州以南、東インド諸島、紅海にまで分布する。ツバクロエイは全長1mに達する。繁殖期は春で、卵胎生。胎児数は数尾。甲殻類、軟体類などの底生動物をおもな餌とする。毒針はあるが毒性は弱い。底引網で漁獲され練製品の原料となる。執筆者:谷内 透』

(2020年1月)

(2024年4月)

眼のように見える黒い部分は噴水孔といい、ここから海水を出し入れしている(エラは体の裏側(腹側)にある)。よく見ると眼はこの噴水孔のすぐ前にあるのがわかる(怖い眼つきをしているなぁ)。また体の表面は非常に滑らかで、小さな灰色の斑点がまばらにある
ツバクロエイの尾。黒と白のシマ模様のようになっている。尾の付け根にはとても短い毒針を持つが、こんなに短くて役に立つのだろうか?

採集する

サイズを考えると個人が採集するなら釣りが第一候補か。小型のものならタモ網ですくえるかもしれない。

釣りの場合どんなエサを好むかは不明だが、過去に死んだ「コノシロ」を1匹まるまる釣り針にかけ、海底に沈めておいたら釣れたことがある。また海底を擦るようにルアーを動かして釣れたことも数回ある。詳しい釣りの道具に関しては「アカエイ」のページを参考にしてほしい。

体の大きさに違わず引きは強烈で、弱い仕掛けだと釣り糸を引きちぎられてしまうだろう。もちろんタモ網の用意も忘れずに。