シモフリシマハゼ

特徴

(写真:2022年10月下旬、三番瀬で採集。全長約6.5cm。「アカオビシマハゼ」に非常に良く似る。そして「アカオビシマハゼ」同様、短時間に体色や模様がコロコロ変化する。その証拠に本ページに載っているシモフリシマハゼの写真は、全て同じ個体を撮影したものである)

レア度:★★★★☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 学名:Tridentiger bifasciatus 英名:Whitespot striped tripletooth goby よく見られる季節:?

(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)

全長10cmほどまで成長する。現在(2024年3月)のところ、私が生物採集をする場所ではあまり数は多くない印象。ただ姿が非常によく似た「アカオビシマハゼ」は大量にいるので、その中に紛れているシモフリシマハゼをスルーしてしまっている可能性がある。河口域や三番瀬最奥部などを探すともっと見つかるのかもしれない。

 

頭から尾びれの付け根まで走る2本の黒いシマ模様と、頭部の白い斑点が特徴で、この白い斑点が頭部側面~下面にかけて密在し、その様子が「霜降り模様」に見えることが名前の由来らしい。

ただシモフリシマハゼは体色変化の激しい魚であり、興奮したり、警戒するとすぐに体色が黒く変化する。そのため捕まえた瞬間は「チチブ」などと間違えてしまうこともある。ちなみにこのシマ模様は魚類学的には縦ジマとなる。

先に書いたが、浦安を含む東京湾奥にはシモフリシマハゼに非常によく似た「アカオビシマハゼ」という魚がいる。「アカオビシマハゼ」との違いとしては以下の3つが挙げられる。

まず頭部に見られる白い斑点の範囲の違いで、「アカオビシマハゼ」では頭部の下面に白い斑点が見られないのに対し、シモフリシマハゼでは頭部の下面にも白い斑点が密に見られる。

次に殿びれの違い。「アカオビシマハゼ」成魚の臀びれには赤い横ラインが2本見られるが、シモフリシマハゼの臀びれにはそのようなラインは見られない。

そして3つめは胸びれ。「アカオビシマハゼ」の胸びれは一番上の軟条が遊離しているが、シモフリシマハゼでは遊離は見られない。

本ページの写真の個体はこれらの特徴が当てはまったためシモフリシマハゼと同定したが、ちょっと自信がないというのが正直なところ。何故かと言えば「これが正真正銘のシモフリシマハゼですよ!!」という実物を見たことがないのだ。

 

シモフリシマハゼは砂地、砂泥地に岩などの障害物が点在するような場所や、カキ殻が密集した場所に多く生息しているそうだ。また水の汚れに非常に強い魚としても知られている。

食性は雑食性で、小型の甲殻類、魚類、ゴカイ類などの底生動物や小さな藻類なども食べる。繁殖期は春から夏で、石やカキ殻の下などに産卵しオスが卵を保護する。

ちなみに本種もハゼ釣りの外道として「ダボハゼ」と呼ばれる魚の1つである。

(2020年5月)

(2024年3月)

繰り返しになるが、以下の写真は全て同じ個体を撮影したものである(体色がかなり変化する)。シモフリシマハゼの頭部周辺を拡大。2本あるうちの上側の黒いシマ模様が薄くなっている。目盛りは5mm
体の後半部を拡大。目盛りは5mm
頭部の下面には白い斑点ががっつり確認できる。もうこれシモフリシマハゼでいいですよね…?
同個体の胸びれを拡大。私の目には一番上の軟条は遊離していないように見えた! 目盛りは5mm

同個体を腹側から撮影。警戒しているのか体色が真っ黒だ。他のハゼ類と同様、腹びれは1枚の丸い吸盤状になっている

同個体の尻びれを拡大。うん、「アカオビシマハゼ」で見られるような赤いラインはないな! 臀びれは黒っぽい感じでフチが明るい黄色をしていた

採集する

(写真:同個体。落ち着いたのか、体色は肌色っぽくなり黒いシマ模様もハッキリとしてきた。これが通常モードの色だと私は思っている)

あまり数を捕まえたことがないので詳しくは分からない。写真の個体は2022年の10月下旬に三番瀬の護岸際で穴釣りをしていたら偶然釣れたもの。貪欲な魚なので、海沿い、河口、河川下流、三番瀬で穴釣りをしていたらそのうち釣れるのではないのだろうか?

タモ網でも昔捕まえたことがあったっけ。本種が隠れていそうな岩などの障害物を見つけたら、その際で通せんぼをするようにタモ網を構え、岩の間に足を突っ込んんで網の中にかき込むようにすると採れると思う。

飼育する

(写真:同個体を正面から撮影。愛らしい顔をしているが、生態を知るとそうも思えなくなるかも…)

タフな「ダボハゼ」たちの例に漏れず、貪欲で、気が強く、環境の変化 & 水の汚れにもすこぶる強い。飼育は非常に容易な魚だと思う。エサも水槽に入れた翌日か、もしかしたらその当日に食い出すかもしれない。

エサは空腹にさせればいきなり配合飼料でいける。水温も低水温の方は分からないが、上は28℃ぐらいまでは全然平気。

飼育感は「アカオビシマハゼ」とほぼ変わらない。この魚の心配をするなら、他の混泳生物に危害が及ばないかを気に掛けた方が良い(シモフリシマハゼ好きな人すみませんね)。口に入るようなサイズの生物ならバクバク食べるので。