イソミミズハゼ

特徴

(写真:2019年2月下旬採集。全長約6cm。河口の潮間帯の石の下に隠れていた)

レア度:★★☆☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 ハゼ科 ミミズハゼ属 学名:Luciogobius guttatus 英名:Flat-headed goby よく見られる季節:3~11月

私はずっと写真の魚を「ミミズハゼ」だと思い込んでいたのだが、どうやら「イソミミズハゼ」という種類のようだ。Twitterで詳しい人に教えてもらったのだが、「ミミズハゼ」は高塩分な場所にはあまりおらず、写真の魚は「塩分濃度が高い場所で採集されたこと」、「背鰭基底長が、尾柄部の水平長より短いこと」から(私も実際に確認した)、イソミミズハゼの可能性が非常に高いとのことだった。

ミミズハゼという名前の割に、そんなにミミズっぽく見えないのは私だけだろうか。上から押しつぶされたような頭に(実際に頭頂部は凹んでいる)、起伏のない体型をしており(一応胸びれと背びれ、尻びれはある)、体の表面はヌルヌルしている。

潮が引いた海岸や河口で石を引っくり返すとその下からよく見つかる。特に底面が平になっている石に隠れていることが多い。環境の変化に非常に強く、季節を問わず、石の下に残された深さ1cmに満たない水たまりの中でも生存することができる。

イソミミズハゼの幼魚?は全身が真っ黒で、一見ウナギか何かの稚魚かと誤解してしまう。大人のイソミミズハゼは体が茶色っぽいものや白っぽいもの、中には鮮やかな黄色をしたものなど、今までいくつかの体色を確認した。これらは生息環境や興奮状態で体色が変化したものであると推測される。実際に採集して水槽で観察すると、体色は黒っぽい色もしくは灰白色に落ち着くものが多かった。

食性は雑食性で、ゴカイ類や小型の甲殻類、藻類などを食べるそうだ。

ちなみに富山県ではミミズハゼ類を食用とするらしい。

(2020年5月)

2019年6月上旬採集。全長約3cm。ミミズハゼの一種の幼魚と思われる
2017年4月中旬採集。全長約6cm。この個体は鮮やかな黄色い体色をしていた
2020年5月中旬採集。全長約6.5cm。河口の小さな潮溜まりの中にいた。興奮のためか体全体がが黄色っぽくなっている。目盛りは5mm
真上から見るとこんな感じ
上の写真の個体を自宅水槽で飼育してみた。落ち着くと体色が黄色から灰白色に変化した
目は小さい。口の形が面白い。よく見ると下アゴ部分にに弓状の筋が数本見られる

採集する

(写真:2019年1月下旬撮影。全長約5cm。1つの石の下に3匹のイソミミズハゼが隠れていた)

採集は単純で、三番瀬や河口で潮が引いた時に石をひっくり返せばすぐに見つかる。体がヌルヌルしていて掴みにくいので、水槽用の小さな網などがあると捕まえ易い。

飼育する

(写真:2020年5月中旬採集。全長約6.5cm。自宅水槽にて。頭頂部が凹んでいるのがわかる)

三番瀬水槽では過去に数回飼育したことがあるが、水槽に入れてもすぐに石の下などに隠れてしまって滅多に出てこない。そのため飼育実態はよく把握できていない。数ヶ月~1年ほどは生存していたので、他の生物が食べ残したエサや水槽内に生えた藻類などを食べていたのかなと想像している。

(追記)2020年5月中旬に写真の個体を採集できたので、自宅水槽で飼ってみた。水温23℃、比重1.024の環境で問題はないようだ。予想通り、基本的には石や構造物の下に隠れていることがほとんど(海底と体が接している場所が落ち着くようだ)。始めは隔離水槽に入れたが、隠れる場所がなかったり隔離水槽の底面が透けていると落ち着かないようで、そこから逃げ出そうと激しく泳ぐ(実際逃げ出した)。

これらの特徴から当初はデリケートな魚なのかな?と思ったが、何と採集した翌日からエサ(ゴカイのミンチ、冷凍ブラインシュリンプ、クリル)をバクバク食い始めた。ただ食うだけなら問題ないのだが、エサをつまんだピンセットを執拗に追いかけ何度もつつく上、他の生物のエサを奪ったりもする。先に入居していた、「マコガレイの幼魚」やエビ類、「ユビナガホンヤドカリ」は非常に迷惑そうだった。以上の特徴はたまたま私が採集した個体だけなのかもしれないが、イソミミズハゼの印象がガラッと変わった出来事だった。