イソギンポ
特徴
(写真:2019年9月上旬採集。全長約7cm。体色や模様は魚の状態や個体によって変化する。これはやや興奮している状態。眼の上に伸びる細く枝分かれした皮弁(ひべん)が特徴的。目盛りは5mm)
レア度:★★★★★★☆☆☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 イソギンポ科 学名:Parablennius yatabei 英名:? よく見られる季節:5~9月
全長10cmほどまで成長するようだ。主に岩礁に生息する魚で、浦安では海沿いの、水中に岩が敷き詰められたような場所でよく目にする。他には岩に付着したカキ殻や、水中に沈んだ漁網に隠れている姿も見かける。
カエルのような大きな頭にギョロっとした眼、そして眼の上に生える角のような長い突起(皮弁(ひべん)という)が特徴的。イソギンポの仲間は種によって様々な形の皮弁を持っており、種を見分けるのに役立つらしい。しかし皮弁自体の役割はよくわかってないそうだ。
体にはウロコがなくヌメっとした質感で、体色は茶褐色や赤褐色、暗緑色っぽいものもいれば、薄い褐色をしたものなど様々で、またその濃淡や黒色斑により体全体が迷彩模様のようになっている個体もいる。さらに体全体に暗褐色や赤褐色の小さな斑点が散らばることもある。
ただイソギンポも、その時の興奮状態などにより体色と模様は少なからず変化するので、以上に挙げたものが個体の特色なのか、体色変化の範疇に収まるものなのかは不明である。
イソギンポの上アゴには大きな鋭いキバがあり、噛まれると痛いらしい。また水槽飼育をしているとこれを使って他魚を攻撃することもある。
雑食性で動物の他に藻類も食べるようだが、具体的に何を好んで食べるかは調べても分からなかった(飼育下では粒タイプの配合飼料をバクバク食う)。繁殖期は初夏~夏頃。
(2020年1月)
(2024年2月)
採集する
(写真:2022年10月上旬、三番瀬で撮影。岩に付着したカキ殻から顔を覗かせるイソギンポ。よく見ると皮弁が明るいオレンジ色をしている)
障害物が多い場所に生息しており、近づくと岩の間などに素早く隠れてしまうので、タモ網での採集はなかなか難しい。
イソギンポの採集が上手い人によると、「イソギンポがいそうな岩」というのがあり、その岩の際でタモ網を構え、足を岩と岩の間に突っ込みイソギンポを追い出しつつ、網の中に掻き込むようにすると捕れるらしい。
また水中に沈んだ漁網や海藻の塊に隠れていることも多いので、それをタモ網で丸ごと掬うと採集できる。
私は釣りでの採集が簡単で面白いと思う。夏頃にタナゴ用やテナガエビ用の小さな針にエサ(ゴカイ類やオキアミなど)を小さくつけて、岩の隙間など落とし込んでくと釣れる。
またペットボトルトラップ(びんどう)で捕まえたこともある。エサは周囲に付着している「マガキ」を叩き割ってその身を使うと良い。
飼育する
(写真:2016年2月撮影。全長約8cm。マーレ水槽で2~3年?飼育していたイソギンポ。イソギンポを水槽に入れて長期間飼っていると、何故かみな体色がこのような赤っぽい色に変化していった)
環境の変化や水の汚れにも強く、餌付きもとても良い。配合飼料もすぐに食べるようになるので飼育は容易。水槽内には隠れ家となるようなものを入れてやると良い。
物陰から頭だけを出し、キョロキョロと辺りを見回す仕草が愛らしく、三番瀬水槽でもイソギンポのファンは多い。
ただ他の生物をつつくなど攻撃的な面が強いので狭い水槽での混泳はあまりおススメしない。また食欲旺盛なので小型のエビ類やカニ類などを食べてしまうこともよく起こる。
さらに水槽内だと他の魚のヒレをかじるという習性が出てしまうようで、同居させていたカレイ類のヒレをボロボロにされてしまうことが何度もあった。なので現在はカレイ類との混泳はしないことにしている(これは縄張りや空腹によるものもあるのかもしれないが)。
そういえば、過去に三番瀬水槽で長期飼育したイソギンポたちはみな、だんだんと体色が赤っぽくなっていった。これはどういう理由だろう?