イダテンギンポ

特徴

(写真:「浦安自然まるごと探検隊」提供)

レア度:★★☆☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 スズキ目 イソギンポ科 ナベカ属 学名:Omobranchus punctatus 英名:Muzzled Blenny よく見られる季節:4~10月

10cmほどまで成長する。海底や岩の上を素早く移動することから、走るのが得意な神様「韋駄天(いだてん)」の名前が付いた。浦安にはギンポと名のついた魚が複数いるが、そのなかでも本種は最もよく目にするギンポかもしれない。岩があるような場所やカキの貝殻が密集した場所、垂直護岸などに好んで生息しており、護岸に付いたカキ殻を調べると、その中に隠れていることも多い。

食性は雑食性で小型の甲殻類やゴカイ類、藻類などを食べるようだ。繁殖期は初夏で、カキの貝殻などの中に卵を産み、オスが卵を保護する。また下アゴには鋭いキバがあり、噛まれると地味に痛い。

このイダテンギンポ、めちゃくちゃタフな魚である。というのも2年ほど前、境川で大規模な赤潮が発生した際、他の魚に混じって多数のイダテンギンポが護岸上打ち上げられている場面に遭遇した。打ち上げられた魚たちの表面は乾いており、「かわいそうに…こりゃもう死んじゃってるな。せめて水の中に還してやろう…」と手を触れると、魚体がかすかに動いたのだ。「これは…!!」とすぐさまバケツに水をくんで、その中に干からびたイダテンギンポ入れると、乾燥わかめよろしく、復活して元気に泳ぎだしたのだ。

(2020年1月)

採集する

(写真:2020年1月中旬採集。全長約8cm。ペットボトルトラップ(びんどう)で採集したイダテンギンポ)

たくさんいるので採集はそれほど難しくない。ただ動きが素早いので、岩が組んであるような場所だとすぐに隙間に逃げられてしまい捕まえにくい。

垂直護岸をタモ網で下から擦り上げるようにすくうと捕れることが多い。あとは護岸に付いた大き目のカキ殻のかたまりを取って、その中を探すと見つかることもある。またタナゴ針など極小の針を使った釣りで岸壁際や岩の隙間などを狙うとよく釣れる。他にはカキの身をエサにしたペットボトルトラップ(びんどう)で採集したこともある。

飼育する

(写真:カキ殻から顔をのぞかせるイダテンギンポ)

先にも話した通り、浦安最強レベルのタフさを誇るので飼育は簡単だと思う。配合飼料もすぐに食べるようになる。

カキの貝殻など狭い隠れ家を好むので、飼育する際は準備してやると良い。ただ隠れるとなかなか表に出てこないので、鑑賞する楽しみは薄いかもしれない。はっきり言って地味である。「お、そういえばいたな」となりがち。