ヒガンフグ
特徴
(写真:2019年7月上旬、三番瀬で採集。全長約7cm。ヒガンフグの若魚と思われる。海藻の塊の中に隠れていた。目盛りは5mm)
レア度:★★★★★★★★☆☆ 脊索動物門 条鰭綱 フグ目 フグ科 学名:Takifugu pardalis 英名:? よく見られる季節:3~7月?
(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください。間違っていたら教えていただけると嬉しいです)
全長40cmほどまで成長する。春の彼岸(春分の日の前後3日ほど)によく捕れることから「彼岸フグ」の名前が付いたという説がある。東京湾では本種を「アカメフグ」と呼ぶことも多い(ヒガンフグとは別に「アカメフグ」という別種もいるので注意)。
非常に味の良いフグとして知られており、高値が付くそうだが、筋肉以外(筋肉も弱い毒を持つこともある)の全身に毒があるので(特に内蔵は猛毒)、一般人が勝手に捌いて食べてはいけない。
ヒガンフグは春の彼岸の頃、丁度大潮の満潮と日暮れが重なるタイミングに、波打ち際の浅瀬で繁殖活動をする。浦安でもこの時期になると、すね丈ぐらい深さの貝殻浜に全長20~40cmぐらいのヒガンフグたちがぞろぞろと集まってくるのを何度も目撃したことがある。その光景はまるで、今から婚活パーティが始まる前のソワソワした参加者達のようだった(下の写真参照)。
そしてあたりが暗くなるなると、フグ同士が互いに触れ合うぐらいに密集し、バシャバシャと大きな音を立てながら産卵と放精する。私はその様子を至近距離で観察したのだが(フグが足に触れるほど近くで)、繁殖行動に夢中なのかライトを照らして撮影しても、フグたちはほとんど逃げなかった(下の写真参照)。
以下に、『改定新版 世界大百科事典』の『ヒガンフグ』の解説を引用させていただく。
『フグ目 フグ科の海産魚。アカメフグ(東京、館山、天草など)、ナゴヤフグ(三崎)などの地方名があるが、日本特産のアカメフグF.chrysopsとは別種である。北海道内浦湾から、朝鮮半島、沖縄、中国の長江河口付近にわたって分布。
体はずんぐりしていて、尾柄部も太い。皮膚に棘状(きょくじよう)突起はないが、一面に軟らかいいぼ状の小隆起がある。体の背部は褐色を帯び、濃褐色ないし黒色の斑紋が不規則に散在する。腹側は白い。全長40cm。
春の彼岸ころにもっとも美味であることからこの和名がある。フグ料理に用いられるが、毒性は比較的強いので注意。執筆者:日比谷 京』
(2020年1月)
(2024年4月)
採集する
(写真:2018年5月下旬採集。全長約1cm。体色と上で紹介した繁殖場所で採集したので私はヒガンフグの幼魚かな?と考えているが、自信はない)
初夏に写真のようなフグの幼魚を海藻周りなどで目にするが。ただこの時期には複数種のフグの幼魚が見つかり、またそれらが成魚と見た目もかなり違うので、写真の個体がヒガンフグの幼魚かは正直分からない。
ちなみにこれくらい小さなフグの幼魚たちは泳ぎも速くなく、簡単にタモ網ですくえる。また海底に沈んだ「オゴノリ」などの海藻の塊の中に隠れていることもあるので、それをタモ網ですくえば採集できる。
飼育する
(写真:2018年9月下旬撮影。飼育中ヒガンフグ?が白点病?にかかってしまった。フグが病気になりやすいというのは聞いていたが)
中層をゆっくり泳ぐので、水槽に入れると映える魚。初めは配合飼料を食べず、クリルや釜揚げ桜えびをあげていたが、しばらくすると粒タイプの配合飼料をモリモリ食べるようになった。
「これで安心して飼えるな」と思っていた矢先、写真のように白点病?にかかってしまった。他の魚は大丈夫なのにこのヒガンフグ?だけが真っ先に発症したのだ。その後このヒガンフグ?を中心に感染が広がり、水槽が一時壊滅状態に追い込まれた。
フグ類は白点病になり易いと聞いていたがこれほどとは。飼う際は水の汚れや水質の変化にかなり注意が必要だということを学んだ。