アミメハギ

特徴

(写真:2018年6月中旬採集。全長6cm。オスのアミメハギ。小型のカワハギの仲間で、これで既に大人サイズ)

レア度:★★★★☆ 脊索動物門 条鰭綱 フグ目 カワハギ科 ウマヅラハギ属 学名:Rudarius ercodes 英名:Whitespotted pygmy filefish よく見られる季節:6~?月

大きくても8cmほどまでにしかならない小型のカワハギ。その愛らしい見た目と泳ぎ方から、「ずっと飼いたいな~、でも浦安にはいないだろうな~」と思っていたが、2018年6月中旬のある日、河口付近で目に留まった海藻を何気なくタモ網ですくったら偶然捕れた。しかも2匹同時にである。6月は丁度繁殖期にあたるので、オスメスのつがいで行動していたのかもしれない(あとでよく見たらやはりオスとメスだった)。ちなみにオスの尾びれの付け根には太い毛が密集して生えている。

体の白い模様が網目に見えることから「網目ハギ」の名前がついたそうだ。海藻の生えた岩礁域や、「アマモ」という海草(海藻ではない)が生える「アマモ場」などに多く生息する。背びれと尻びれをカーテンのようにヒラヒラさせて、ヘリコプターのように上下左右にゆっくり移動することができる。また寝るときは海藻などを口でくわえて体を流されないようにして寝る。

産卵期は6~9月頃。食性は動物食性で、海藻(海草も)についた小型甲殻類などを食べるそうだ。

(2020年2月)

2020年9月撮影。全長約7cm。オスのアミメハギ。このアミメハギはマーレ水槽で飼育を開始して2年以上が経過した(2020年10月現在)。調子良く暮らしているのだが、食が細く痩せやすいのが悩み
2020年10月撮影。全長約5cm。メスのアミメハギ(と思われる。尾ビレの付け根に毛が生えていないので)。2020年3月下旬に採集した全長約3cmの個体を飼育して大きくした。小さい魚だけに、やはり成長は遅いように感じる

採集する

(写真:2018年6月中旬採集。全長約5cm。採集したばかりのアミメハギ。興奮のためか体に模様がなく、最初はアミメハギか分からなかった)

浦安で見かけることはほとんどないので、狙って採集するのは難しい。今回採集できたアミメハギもどこか遠くからやってきたのか、私が知らないだけでアミメハギが生息できる環境が近くにあるのかは分からない。どちらにせよ、シーズンになったら地道に海藻や障害物周りを網ですくっていくしかないと思う。

(追記:2021年7月25日)先に「浦安で見かけることはほとんどない」と書いたが、それから観察を続けた結果、現在は1シーズンに1~2回見かけるという印象に変わった。もちろん珍しいことに変わりはないのだが、激レアというほどではない気がする。

飼育する

(写真:2020年3月下旬採集。全長約3cm。アミメハギの幼魚)

私が今まで飼育した中で一番手間がかかった魚がアミメハギかもしれない。まず配合飼料に慣らすのに結構時間がかかる。そして体が薄っぺらく食い溜めができないため痩せやすい(痩せすぎると体力が落ちて死んでしまう)。さらに口が小さく泳ぎもそんなに速くないので、混泳魚がいるとエサを上手くとれないことがある。

自宅で毎日様子を見れる環境であれば大した問題ではないかもしれないが、自宅外にあり、生エサを保存する冷蔵庫もないマーレ水槽での飼育は非常に苦労した。水槽の環境と配合飼料に慣れるまでは隔離ケースに入れ、毎日自宅から冷凍のブラインシュリンプを持って行っては、箸でつまんでアミメハギの口元まで持っていってやった。

これが2ヶ月ほど続いただろうか。その9ヶ月後、採集した2匹うちの1匹が死んでしまったが(他の魚にエサを奪われていたようで、体力の低下に気づくのが遅れた)、もう1匹は配合飼料もよく食べるようになり、約2年経った今でも元気にしている(2020年4月現在)。また痩せやすいとは聞いていたものの、現在では週に3~4回のエサやりで調子を崩すことなく飼育できている。

(追記:2020年6月)2020年3月下旬から自宅水槽で3cmほどのアミメハギ幼魚(♀)を飼ってみたのだが、可愛い見た目に反して、けっこう獰猛な性格で驚いた。動物性のエサで口に入るものなら何でも食べる。生きた小魚、ゴカイ類、カニ、プランクトン、貝類の肉…。特に稚魚をじゅるじゅるとすするように食べる姿にはちょっと引いた。またヨコエビ類への執着は凄まじく、ヨコエビを発見すると、それまで食べていたエサをほっぽり出して、すごい勢いで食いつく。おそらくアミメハギが暮らす藻場の海藻(海草)にはヨコエビ類が付着していて、常食しているエサなのだろう。

ちなみに高水温や水質の悪化にそこそこ強いようで、水温が25℃を上回ってもピンピンしている(食事量がやや低下したような気がするが)。

(追記:2020年10月)夏を超え、高水温にもかなり強いことがわかった。水温が28度を越えても、調子や食事量もあまり変化がない。見た目に反してなかなかタフな魚である。現在、2020年8月に捕獲した「カワハギ」の幼魚(全長約6cm)も同じ水槽で飼育しているのだが、それと比較すると、アミメハギの新たな特徴が見えてきた。まず泳ぐのが遅い(カワハギと比べて)。そして性格はやや気が弱い~温厚。あとはエサを食べるのが下手…というか、咀嚼力と飲み込む力が弱い。同じ粒タイプの配合飼料を与えても、カワハギはバクバクと食うのに対し、アミメハギはエサを一度飲み込んで吐き出したり、かじったりしてエサ柔らかくしてから食べることが多い(これは個体差もあるかもしれないが…)。

なので動きの素早い混泳魚がいると、上手くエサにありつけない。現在、「カゴカキダイ」「カワハギ」「マゴチ」(幼魚)という、気が強く貪食な魚たちと同居中なので、アミメハギが栄養不足にならないように、スポイトやピンセットで飲み込みやすいエサ(冷凍ブラインシュリンプやアサリのミンチなど)を与えている。

(追記:2020年10月16日)10月に入った頃から、自宅水槽で飼っているアミメハギ(♀)の体に変化が起きた。下の写真のように、腹部がだんだんと膨らんできたのだ。産卵期とは少しズレているので、もしかして「肝パン」だろうか? 「肝パン」とは主に釣り人が使う言葉で、秋~冬にかけて栄養を肝臓に貯め、肝臓が肥大した「カワハギの」ことを「肝パン」と呼ぶことがある。

アミメハギもカワハギと同じカワハギ科なので、肝パンになってもおかしくはないが…。それにしてもスゴい膨らみ様だ。肝臓が胃や消化管を圧迫しているせいか、この状態になってから明らかにアミメハギの食欲とエサを吸い込む力が落ちた(あんなに食いしん坊だったのに)。なので今は飲み込みやすい、冷凍ブラインシュリンプを主に食べさせている。

(追記:2020年11月24日)11月中旬、一日の寒暖差が激しくなってきたある日の朝、突然アミメハギが死亡した。いや、突然ではなく「肝パン」だと思っていた腹部の膨らみは、おそらく腹水病か何かだったのだろう。自分の無知が故に対策を怠ってしまった。亡骸は海に還そうかと思ったが、ベランダのプランターに埋めた。喪失感が漂う。

2020年10月中旬撮影。腹部が膨らんだメスのアミメハギ。産卵期とは少しズレので、もしかして「肝パン」だろうか?(「肝パン」とは主に釣り人が使う言葉で、秋~冬にかけて、栄養を肝臓に貯め、肝臓が肥大した「カワハギの」ことを「肝パン」と呼ぶことがある。)

※どうやらこれは腹水病か何か病気だったようです

その膨らんだ体を正面から見ると、何ともマヌケで愛らしい姿だ

※どうやらこれは腹水病か何か病気だったようです