タイワンガザミ

特徴

(写真:2019年10月下旬採集。約15cm(甲羅の幅)。最大級のオスのタイワンガザミ。両ハサミを伸ばした横幅は50㎝に達する。スケールは30cm定規)

レア度:★★★★☆ 節足動物門 軟甲綱 十脚目 ガザミ/ワタリガニ科 ガザミ属 学名:Portunus pelagicus 英名:Swimming blue crab よく見られる季節:6~9月

最大で15cm(甲羅の幅)、両腕を広げると50cm近くになる大型のカニ。スーパーなどで「ワタリガニ」として売られているカニの1つ。一番後ろの足(遊泳脚)がボートのオールのようになっており、かなり速く泳ぐことができる。

オスの体は鮮やかな青色で、この青色が「暖かい熱帯域」をイメージさせることから「タイワン」の名前が付いたそうな(つまり外来種ではない)。一方メスは地味なオリーブ色をしており、またオスよりハサミ脚が短く近縁種の「ガザミ」とよく似ている。メスのタイワンガザミと「ガザミ」の見分けだが、ハサミがある脚の一番体側の節にあるトゲの数で見分けることができる。トゲの数はタイワンガザミは3本、「ガザミ」は4本だ(詳しくはWikipediaの写真を見てね)。

「イシガニ」ほどではないが、性格は獰猛で、ハサミの力は浦安トップクラス。挟まれると涙が出るほど痛い。肉食性で、そのハサミの力を活かし「アサリ」などの貝を割って食べることもある。

産卵期は春~夏で、交尾期は夏~秋。メスは交尾期にオスから受け取った精子を体内に貯め、翌年の越冬明けに受精、産卵を行う。

(2020年1月)

採集する

(写真:2021年10月下旬採集。下側に並んでいるオリーブ色をした3匹がメス。スケールは30cm定規)

昔は浦安を含めた東京湾奥でもたくさん捕れたそうだが、最近はたまに見かける程度。一晩カニ網をやって、「イシガニ」15匹に対しタイワンガザミ1匹ぐらいの確率か(個人的感想です)。水際にいる「イシガニ」と違って少し深い所にいるイメージがある。

採集方法は手づかみ、タモ網ですくう、カニ籠、カニ網、釣り。夜間の潮位が高い時の方が出会える確率が高い気がする。シーズン中、注意深く探していると、岸壁にしがみついていたり水面を泳いでいたりする。ライトの光を直接当て続けると逃げていってしまうので、一瞬光を当てて場所を確認したら、あとはさっと忍び寄り捕獲する。手づかみで捕獲するときは、恐れずに一気に両ハサミを掴んで自由を奪う。

捕まえたカニはそのままバケツに入れておくと暴れたり、他のカニとケンカして脚が取れてしまうので、ハサミと脚を輪ゴムで固定すると良い。また獲したカニは帰る時まで網袋に入れて海の中にぶら下げておくと鮮度が落ちない。

カニを食べる場合はなるべく生きたままカニを持ち帰ろう(カニは死ぬとどんどん不味くなる)。持ち帰る際は、短時間の距離あればバケツに海水をカニの甲羅が水面から出るぐらいまで入れて、カニを放り込んでおくだけでいい(エアポンプ無しでカニを海水に沈めてしまうと、最悪カニが酸欠で死んでしまう)。

暑い時期はバケツを発泡スチロールの箱に変えると、カニの鮮度をより保つことができると思う。また海水を入れるのが面倒という時は保冷材の入ったクーラーボックスなどにカニを直接ぶち込んでカニを冷やして仮死状態にして持って帰るのもあり(体温が上がるとまた復活するので)。

いろいろ書いたが一番効率が良いのは、「青潮」が発生したときに、酸素を求めて浅瀬に集まってきたカニたちを捕獲すること。

※場所によってはカニ籠、カニ網の使用が禁止されている場合があるので注意が必要です(「遊魚の漁業調整規則」にはカニ籠、カニ網の記載がありませんで、使用自体がグレーかもしれません。使用の際は覚悟を持って自己責任で)。またカニ籠、カニ網を使用する場合は簡単に切れない丈夫なロープを使って下さい。ロープが切れて仕掛けが水中に残されると、「仕掛けに入ったカニが死ぬ→その臭いに釣られて新たにカニが入る→そのカニが死ぬ→以下繰り返し」ということになる可能性があります。

 

食べる

(写真:タイワンガザミのトマトクリームパスタ)

めちゃくちゃ美味い。個人的にはカニNo.1かもしれない。カニは死ぬとどんどん不味くなるので、なるべく生きたものを調理しよう(これ大事)。まずは是非、蒸しガニで味わってもらいたい。

カニを家に持って帰ってきたら、冷凍庫へ入れる、氷水にブチ込む、串で急所を刺すなどして、カニの動きを止める(こうしないとカニを洗うときに手を挟まれるし、蒸したときに暴れてバラバラになってしまう)。そしてタワシや歯ブラシを使ってカニ全体をキレイに洗ったら、ふんどしの裏側に塩を少量塗りこんで、裏返しにして蒸し器に入れる(裏返すことでカニのエキスが漏れ出さない)。大きなカニでも15分蒸せば十分だと思う。

蒸し上がったら、濃厚なミソを味わうもよし、甘味の強い身を頬張るもよし、メスの内子をパクリとするのもよし(私はメスの内子が一番好き)。食べ終わった殻はさっと水で洗って、味噌汁の出汁に再利用できる。

余ったカニは蒸してからラップでピチッと巻いて冷蔵庫に入れれば、2日はそのまま食べれる。

蒸しガニの他にも定番の味噌汁、パスタなどもオススメ。