イトゴカイ科の一種①

特徴

(写真:2022年4月下旬、三番瀬で採集。長さ約70mm(ただしこれは体が途中でちぎれてしまっている状態)。「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんが砂を掘って捕獲。目盛りは1cm)

レア度:? 環形動物門 多毛綱 イトゴカイ目 イトゴカイ科 学名:Capitellidae sp. 英名:? よく見られる季節:?

2022年4月下旬に行われた三番瀬生物調査で、「浦安市三番瀬環境観察館」のスタッフさんが採集。このスタッフさんは東京湾の底生動物のスペシャリストである。その日は潮がかなり引き、加えて風も無かったため、三番瀬浦安側に広大な干潟が出現した(今まで見た中で一番かも)。

うーん、太い。そしてデカい。一般的なゴカイ類のイメージとはかなり違った姿をしている。ミミズのような見た目だ。

ちょっと私にはサッパリなので、以下に『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』の『イトゴカイ』の解説を引用させていただく。

『環形動物門 多毛綱 定在目 イトゴカイ科に属する種類の総称。体は糸状で細長く、体長1~30cm、体節数 70~150。

体表面に毛細血管が張りめぐらされているため、体は紅色をしている。頭部、胸部、腹部の3部に分れている。胸部は9~19節。疣足 (いぼあし) はあまり発達せず、非常に細い針状剛毛と鉤状剛毛をもっている。体後部に糸状の鰓をもつ種類もある。

一般に海岸の有機質の多い砂泥底中にすみ、特に本科の1種 Capitella capitataは環境汚濁の指標種とされている。日本に約 20種が知られている。』

みなさんにお伝えしなくてはならないことがある。ゴカイ類(多毛類)というのはまだまだ未知の部分が多い生物群で、研究者の数もが少ないため研究も十分には進んでおらず、さらにまだ発見同定されていない種(未記載種)が大量にいることが推測されている(2023年現在)。

またゴカイ類(多毛類)を正確に同定するには、その道のプロフェッショナルが顕微鏡下で「口の周りにある黒い点の数が~」や「体側にある疣足の先端の形状が~」というのを確認したり、動き方やどのような場所(底質)にいたかなど様々なファクターを総合して判断する必要がある。

つまり超マニアックな世界で、私などが「これは~ゴカイです!!」なんて迂闊には言えない領域なのだ!!…というのを現在(2023年)になってようやく自戒している。なのでこのページに書いてあることは話半分に聞いて、是非論文や専門家の方の解説等を参考にして欲しい!! ちなみにゴカイ類(多毛類)の研究者の間では採集したゴカイ類(多毛類)を生きたまま食べる風習があるとかないとか…(「魚に人気があるヤツはやっぱり美味いですよ!」って言っていたなぁ…)。

(2023年9月)

左側が頭部で前方となる。体(胴部)が途中でちぎれている。本来はどのくらいの長さだったのだろう? 目盛りは1cm
頭部~胴部を拡大。よく見ると、非常に細い針状の短い毛のようなものが体側に並んでいる
裏返した図。とはいっても私にはどちらが背側なのかよく分からないのだが…