ウミグモの一種②
特徴
(写真:2024年7月下旬、三番瀬で採集。脚を伸ばした大きさ約13mm。生きた状態で撮影。写真上が前方となる。種類は不明だが、この辺りで割とよく見るタイプのウミグモだと思う(思うだけです))
レア度:? 節足動物門 ウミグモ綱 皆脚目 学名:? 英名:? よく見られる季節:?
種類不明。どのくらい大きくなるかも分からない。
写真のウミグモは、2024年7月下旬に三番瀬の岸近くの転石をひっくり返したらその裏にくっついていた(そこには「イボニシ」の卵嚢が産み付けられていた)。全てが同じ種かは不明だが、このサイズ感と見た目のウミグモ類は春から夏にかけての気温が高い時期にやはり転石の裏側からポツポツ見かけるように思う。
…てかそもそもウミグモって何なんだ? 自分がウミグモについて全く知識がないことに今更気が付く。なので、以下に『日本大百科全書』の『ウミグモ』の解説を引用させていただき、私も学びたいと思う。
『節足動物門 ウミグモ綱 Pycnogonidaの海産動物の総称。この動物群は、皆脚類(かいきゃくるい)、厚節(こうせつるい)ともいう。体に4対の歩行肢(し)をもち、外形がクモに似ているのでこの名がある。化石は古生代デボン紀後期に数種発見されているだけで、体の構造や発生の様式なども、クモ類をはじめほかの節足動物とは異なる。進化の系統は明らかでなく、特異な一群である。[中村光一郎]
形態 体は、頭、胴、腹の3部からなり、頭部には鋏肢(きょうし)、触肢、担卵肢の3対の付属肢がある。担卵肢は、ウミグモ類特有のもので、雄によく発達し、卵塊を保持する役目をする。また、頭部先端の吻(ふん)で食物を吸い込む。頭部背面には四つの単眼からなる眼丘が突出している。
胴部には4対の細長い歩行肢があり、雄ではセメント腺(せん)とよばれる粘着液を分泌する器官を備え、雌の産んだ卵をその粘着液で自分の担卵肢に付着させる。腹部は単節で小さく、先端に肛門(こうもん)が開く。消化管は鋏肢と各歩行肢のなかに分枝している。[中村光一郎]
生態 世界中の寒帯から熱帯の海洋に分布し、潮間帯から6000メートルの深海まで知られている。成体は自由生活をし、海中を遊泳したり、海底を歩行したりする。生殖は体外受精で、受精卵は雄の担卵肢に保持されて発生する。幼生はプロトニンフォンとよばれ、3対の付属肢をもち、甲殻類のノープリウス幼生に似ているが、両者の間の類縁関係はない。
プロトニンフォン幼生の多くは、ほかの動物に寄生し、そこで脱皮をして変態成長するが、脱皮のたびに歩行肢を1対ずつ増やしていく。ツメナガウミグモでは、受精卵が成熟するまでに約5か月かかるが、ほかの種についての生活史はほとんど知られていない。[中村光一郎]』
………オイオイオイ!!何だか想像の10倍ミステリアスで複雑怪奇な生物じゃないか!!脚の中に消化管が分岐してるって…。『四つの単眼からなる眼丘』って何かカッコいい。セメント腺ってネーミングもインパクトがある。あと幼生の名前も何だかクールだ。
ちなみにウミグモ類は世界で1300種以上が確認されており、大きなものだと体長30cmを超える種もいるとか。すごく興味が湧いてきた。
(Wikipediaの『ウミグモ綱』のページが恐ろしいほど詳しく、また面白かったです)
(2024年7月)