ニッポンモバヨコエビ

特徴

(写真:2020年4月下旬採集。体長約11mm(触角を除いた体の長さ)。生きた状態で撮影。素人目には「モズミヨコエビ」に似ているように見えるが、触角や第2咬脚の形態が異なる)

レア度:? 節足動物門 軟甲綱 端脚目 ヒゲナガヨコエビ科 学名:Ampithoe lacertosa 英名:? よく見られる季節:?

(同定にちょっと自信がありません。他の資料も参照してください)

2020年4月下旬の三番瀬で偶然採集した。どのように採集したかは覚えていないが、おそらく石か海藻などの表面にくっついていたのだと思う。この時は「モズミヨコエビ」「フトメリタヨコエビ」などに混じって写真と同様のヨコエビがポツポツと見つかった。

体は薄い茶色~緑色をしており、小さな黒い点が体中に散らばっている。写真の個体は、藻類を食べたのだろうか…外から消化管が緑色に透けて見える。触角は長く、副鞭を持たない。

『第1触角柄部第1節にはトゲ状の剛毛がある』そうだが、写真でいうと上側の2本の触角の、一番根元部分の節の前端下部に太く短い毛が生えている(動画で見るとちゃんと確認できるのだが)。腕のような太い第2咬脚は丸みを帯びた長方形で、鎌型のツメが伸びる。

ここでヨコエビとは何なのかということについて触れたい。ヨコエビとは「節足動物門 軟甲綱 端脚(たんきゃく)目 ヨコエビ科」に属する甲殻類の総称で、「エビ」と名前が付いているがエビの仲間ではない(エビ類は十脚(じっきゃく)目)。大きさは0.5cmほどから5cmと様々で、その種数は世界で7000以上おり、日本では300種ほどが確認されているそうだ。ほとんどは海に生息しているが、河川や湖、沼、畑などにも生息している。

ヨコエビの体は左右から押しつぶされたような平たい体をしているものが多く、石の上を横向きのままはい回る姿や水中を横向きに泳ぐ姿から「横エビ」の名前が付いた。

ヨコエビ類は非常に高密度で生息することがあり、海藻の上や泥の塊の中に巣を作って1㎡あたり数千~数万匹いることもある。そのためヨコエビ類は魚類など他の生物の重要なエサ生物になっている。

私は正直ヨコエビ類の同定には全然自信がない。ヨコエビの体はその小ささの割に、構造が非常に複雑で、種類を見分けるには実体顕微鏡などを使ってしっかりと各部の形態を見なくてはいけない。ヨコエビについてもっと詳しく知りたい方は「東邦大理学部 東京湾生態系研究センター」のHPで公開されている「東京湾ヨコエビガイドブック(小川洋 氏著)」を是非読んで欲しい(めちゃくちゃ詳しい & 分かり易いです。PDFがダウンロードできます。リンクを張らせていただきました。ご迷惑でしたら仰ってください)。

(2020年5月)

(2023年12月)

『第1触角柄部第1節にはトゲ状の剛毛がある』そうだが、写真でいうと上側の2本の触角の、一番根元部分の節の前端下部に太く短い毛が生えている(動画で見るとちゃんと確認できるのだが)
体の後半部を拡大